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X-MEN: ファイナル ディシジョン

20120425

Xfinal2.jpg

2006年/アメリカ/1時間45分(レンタルDVD)
監 督  ブレット・ラトナー
原 題  X-Men: The Last Stand
出 演  
パトリック・スチュワート  ヒュー・ジャックマン
ジェームズ・マースデン  ファムケ・ヤンセン
ハル・ベリー  アンナ・パキン  ショーン・アシュモア
イアン・マッケラン  レベッカ・ローミン
ブライアン・コックス  ベン・フォスター

<あらすじ>
ジーン(ファムケ・ヤンセン)亡き後、スコット(ジェームズ・マースデン)はいつまでも立ち直れずにいた。X-MENメンバーはウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)、ストーム(ハル・ベリー)を中心に、学園からローグ(アンナ・パキン)も加わり、人類対ミュータントの新たな衝突に対処するべく訓練を重ねていた。そんな中、ミュータントを人間に変える新薬「キュア」が発明され、ミュータントの中でも方向性が分かれる。

<感想など>
前回の予想が当たってジーンが生きていることが判明。ところが彼女に別人格が現れ、ジーンにメロメロな男たちは翻弄される。スコットは彼女の声に吸い寄せられ、二度と戻ってこない。ジーンとスコットは好きなカップルだったのに~。こんな風に、気の毒なキャラクターが続出、シリーズの他作品に比べ、お楽しみ度は低かった。そんな中で大きな活躍を見せるのが、シルバーを身にまとうストームだ。眼を光らせて嵐を巻き起こす彼女は颯爽として、素敵なキャラクター。

さて、使用方法が問われる「キュア」。『ファースト・ジェネレーション』の時代、ビーストが自らを実験台にして失敗した経緯がある。元来ミュータントが幸せな日常をおくるために開発された新薬だが、今回は兵器として使われる。発射されたキュアの飛沫がミュータントたちに当たり、彼らは次々と人間化する。その一方で、キュアを求めて並ぶミュータントも多く、ローグもその中の一人。キュアをめぐる攻防は、シリーズが続く限り永遠の課題となりそうだ。

最後、学園には三つの墓石が並んだが、復活の可能性は捨てきれない。人間化したマグニートーの、チェス盤を前にちんまり座っている姿は意味深だ。彼の今後と、学園の代表となったストームがどんなリーダーシップを発揮するのかが気になるところ。

X-MEN2

20120422



2003年/アメリカ/2時間5分(レンタルDVD)
監 督  ブライアン・シンガー
原 題  X2
出 演  
パトリック・スチュワート  ヒュー・ジャックマン
ジェームズ・マースデン  ファムケ・ヤンセン
ハル・ベリー  アンナ・パキン  ショーン・アシュモア
イアン・マッケラン  レベッカ・ローミン=ステイモス
ブライアン・コックス  アラン・カミング

<あらすじ>
ホワイトハウス内に、瞬間移動能力を持つミュータント、ナイトクロウラー(アラン・カミング)が現れ、大統領暗殺を企てる。ミュータント対策本部顧問のストライカー(ブライアン・コックス)は、ナイトクロウラーが匿われていると思われる「恵まれし子の学園」の一斉摘発を実行、数人を拘束する。それは折しもローガン(ヒュー・ジャックマン)が旅から帰ってきた夜だった。彼は仲間と共に、ストライカーの根拠地であるアルカリ湖に向かう。

<感想など>
第一作から3年。ローグ(アンナ・パキン)は少女から大人への階段を駆け上がる途上にあり、「アイスマン」ことボビー(ショーン・アシュモア)と交際中。いくら好きでも触れることのできない辛い思いを、二人は共有している。また、ボビーはメンバーらと実家に身を寄せるが、ミュータントの危害を恐れた弟に通報されてしまう。家族からも見放される彼の姿が、マイノリティの苦悩として映し出されている。

スコット(ジェームズ・マースデン)は戻ってきたローガンにイラつき気味。隙あらばジーン(ファムケ・ヤンセン)に秋波を送るからだ。ジーンにも「あなたと先に会っていれば…」という気持ちがちょっとはあるのではないか。X-MENたちの活躍だけでなく、チーム内の微妙な人間関係にも興味津々。

前回収監されたマグニートー(イアン・マッケラン)が解放され、プロフェサーX(パトリック・スチュワート)が捕えられるという、振出しに戻った展開に。ストライカーがプロフェサーXを利用してミュータント撲滅を狙うとは、何たる悪人ぶりか!!研究と称して人格を無視した施術を行う姿は、現実への警鐘とも受け取れる。彼はローガンの来歴にも深く関わっていて、それがわかっていく過程にはローガン共々テンションが上がる。でもすでにこの場面は『ウルヴァリンX-MENゼロ』で観ており、未見ならもっと盛り上がるだろう。

今回自分的に一番盛り上がったのは、ケリー・フー演じるレディ・デスストライクとローガンとの対決。互いに鋭い爪が肌に食い込むけれど、驚異的な治癒力で効果なし。(笑)空手の黒帯を持っているという彼女の動きは敏捷で、力でねじ伏せようとするローガンを上回っているように見えた。

『X-MEN』たちの犠牲的精神が、シリーズの見どころの一つ。今回もまた一人「亡くなった」が、それも確信が持てない。誰が復活しても驚きはしない。

X-メン

20120420



2000年/アメリカ/1時間44分(レンタルDVD)
監 督  ブライアン・シンガー
原 題  X-MEN
出 演  
パトリック・スチュワート  ヒュー・ジャックマン
ジェームズ・マースデン  ファムケ・ヤンセン
ハル・ベリー  アンナ・パキン  ショーン・アシュモア
イアン・マッケラン  レベッカ・ローミン=ステイモス

<あらすじ>
記憶を失ったウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)は、偶然出会った少女ローグ(アンナ・パキン)と共に「恵まれし子の学園」に滞在することになる。プロフェサーX(パトリック・スチュワート)が校長を務めるその学園では、人類との共存を目指す「X-メン」スタッフのもと、ミュータント能力を持つ多くの生徒たちが寄宿生活を送っていた。一方、プロフェサーXの元親友、マグニートー(イアン・マッケラン)は、ミュータント集団「ブラザーフッド」を率い、世界征服を企んでいた。彼らは、ローグが持つ能力を利用しようと画策、彼女を拉致する。

<感想など>
シリーズ最初に観たのが本作品。触れた相手のエネルギーを吸い取ってしまうローグ、眼から破壊光線を出すからサングラスを手放せないスコット(ジェームズ・マースデン)、相手の心に入り込むジーン(ファムケ・ヤンセン)、天気を操るストーム(ハル・ベリー)などなど、個性豊かなミュータントを覚えるだけでも一苦労。その上悪役も大勢登場、疾風怒濤の展開に翻弄されっぱなしだ。

そんな中、恋愛模様は一服の清涼剤のよう。ウルヴァリンは治療に当たったジーンに一目惚れ。彼女もまんざらではないという眼差しを向けるが、恋人(スコット)がいるからダメと言い放つ。心の読める彼女は、ウルヴァリンの情熱にグラリと来たのだなと想像できる。また、ローグは、最後身を挺して助けてくれたウルヴァリンを恋してしまうが、彼のジーンに対する気持ちは変わらない。二人の片想いがちょっと切ない。

迫害を受けるミュータントを保護し、育てるのが、プロフェサーXの仕事だが、いつもマグニートーという邪魔が入る。最初のうちはプロフェサーX共々悪人に見えた。スキンヘッドとポーカーフェイスが、かなり不気味。人の心を読んでしまうこと自体、反則だと思うのだけれど、そんなこと言い出したらみんな反則だ!(笑)

感想を書いている今、サイクロプス(スコット)が急に愛おしくなってきた。彼の過去を知ってしまったからでもあるが、ナイーブな彼が危うく見えて、つい庇ってあげたくなる。これ、もしかしてジーンの気持ち?サングラスを取った顔を是非見たい。(この希望は後日叶った!)

一件落着と言いたいところだが、捕えられたマグニートーがこのままで終わるはずがない。ウルヴァリンの記憶もまだ戻らない。続編に持ち越される課題は山積み状態!!

ウルヴァリン: X-MEN ZERO

20120419

zeroX.jpg

2009年/アメリカ/1時間48分(レンタルDVD)
監 督  ギャヴィン・フッド
原 題  X-Men Origins: Wolverine
出 演  
ヒュー・ジャックマン  リーヴ・シュレイバー
ダニー・ヒューストン  リン・コリンズ
テイラー・キッチュ  ライアン・レイノルズ

<あらすじ>
1845年のカナダ。病弱な少年ジェームズは、父親が殺されるのを目撃した途端怒りが爆発、指先から伸びた鋭い爪でその殺人者を突き刺していた。男は死の間際、自分こそジェームズの父だと言う。その後ジェームズはローガン(ヒュー・ジャックマン)と名乗り、同じく不死身のミュータント能力を持つ兄ビクター(リーヴ・シュレイバー)と共に歴史的な戦争で闘う。やがて二人は軍人のストライカー(ダニー・ヒューストン)からチームXに勧誘されるが、ローガンは彼らの非人道的な行動に嫌気がさして脱退。数年後、彼は恋人ケイラ(リン・コリンズ)と生活を共にしていた。そんな中、ビクターがかつての仲間を抹殺しているとの情報が入る。

<感想など>
時系列で並べれば本作が最初である。制作年の関係で主人公が第一作『X-メン』よりも多少老けていても、不死身だから何の不思議もない。何でもアリの世界では、矛盾はあってないようなものだ。(笑)

シリーズ全般の骨格ともなる「ミュータント」(突然変異体)という概念に、ようやく慣れてきた。第一作を観た時は、衝撃を受けても傷一つ負わない、意志とは関係なく破壊光線が出てしまう、人の心を読む、といった能力に違和感があったが、二作(『X-メン』『X-MEN2』)を経て、安心して観ていられるようになった。極端におぞましい場面がないところが、自分にとっては都合がいい。

ストーリー展開は目まぐるしい。ローガンは兄に恋人を殺され、復讐を果たすために「ウェポン-X」計画に乗る。その時に与えられた認識票が「ウルヴァリン」である。破壊不能の金属「アダマンチウム」で骨格をつくる手術を受けるが、記憶を喪失させられると知って脱走。後に、ケイラとの出会いから彼女の死までが計画のうちだったと知った彼は大ショック!野性味あふれる彼が時折見せる繊細な心に、こちらのハートもキュンとなる。(笑)

元々ヒュー・ジャックマン目当てで観始めたシリーズ。左右が角状にとんがっているヘアスタイルはビミョーだが、ほかが圧倒的にカッコいいので、差し引いてもなお、おつりがたくさん来るほどだ。(笑)スピンオフ作品とはいえ、『X-メン』『X-MEN2』よりも格段に好き。ただ、主人公がなぜ実父ではなくビクターの父に育てられていたのかがよくわからなくてモヤモヤが残る。(見落としたのか…)その辺の事情は是非知りたいところ。

なお、兄も、復活した恋人も亡くなるが、後で復活(再復活)という事態も大いにあり得ると思うのだがどうなのだろう。原作を知らないのでかなり好き勝手なことを想像してしまう。

私の中ではしばらく「X-MEN祭り」が続きそうだ。

X-MEN: ファースト・ジェネレーション

20120417



2011年/アメリカ/2時間12分(レンタルDVD)
監 督  マシュー・ヴォーン
原 題  X-Men: First Class
出 演
ジェームズ・マカヴォイ マイケル・ファスベンダー
ケヴィン・ベーコン  ジャニュアリー・ジョーンズ
ローズ・バーン  ニコラス・ホルト
ジェニファー・ローレンス  ゾーイ・クラヴィッツ

<あらすじ>
エリック(マイケル・ファスベンダー)は少年時代、深い悲しみと怒りからミュータント能力に目覚め、母の仇(ケヴィン・ベーコン)を探している。一方、人の心を読む能力を持つチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)はミュータント研究をする中で、CIAエージェントのモイラ(ローズ・バーン)から、ミュータント能力で世界征服を企む集団が存在することを知らされる。チャールズは偶然知り合ったエリックと共に、世界に散らばるミュータント能力を持つ者を探し出し、人間との共存を目指そうとする。


<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
最近X-MENシリーズにはまり、本作の前バージョンを怒濤のごとく観賞、感想を書く余裕もないまま今回に到った。いやいやいやいやホントに楽しい!!今になってこういう近未来ものに夢中になるとは思ってもみなかった。でも昔々ウルトラマンシリーズや仮面ライダーを毎週欠かさず喜んで観ていたのを思えば、別に不思議なことでもない。

今回はシリーズのスピンオフ作品。プロフェッサーXとマグニートーが出会い、絆を深めるも決別するまでの過程が丁寧に描かれている。ようやく最初に観た『X-メン』とつながり、これを鑑賞していた時のモヤモヤが晴れた。というのも、プロフェッサーXとマグニートーは徹底的に敵同士でありながらつながりもうかがわれ、ずっと気になっていたからだ。

配役は、将来の髪が予想されるジェームズ・マカヴォイっていうのが、眼の大きさをさしひいてもドンピシャ(ごめんなさい、ファンの方)。また、前作(『X-MEN: ファイナル ディシジョン』)でウルヴァリンから「毛玉」なんて呼ばれていたビーストの過去もわかり、ちょっと切なくなった。こんなふうに、前の作品を思い起こすシーンが楽しめる。

困るのが、名前と姿がなかなか一致しないことだ。本名とコードネーム、それに顔と能力をセットで記憶にとどめるのが実に難しい。シリーズ第一作での混乱の理由はまさにこれだろう。やはり一作ずつゆっくり丁寧に観ればよかったかな。

米ソ冷戦時代が舞台で、実際の画像も使っているところから、時には歴史ものを見ている気分になった。絶対多数の人間を滅ぼし世界征服を狙うというのは、戦争の起爆剤ともなる発想。ありえない光景の連続でありながら、その世界観は現実に近く、引き込まれる。

特殊な能力、容貌を持つ「ミュータント」が抱えるマイノリティとしての苦悩は、実際の社会をも照らし出し、決して物語だけの世界ではないという叫びが聞こえてきそうだ。それはシリーズの根幹にあるテーマで、永遠の課題となるのだろう。


灼熱の魂

20120326

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2010年/カナダ・フランス/2時間11分(劇場で鑑賞)
監 督  ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原 作  ワジディ・ムアワッド
原 題  Incendies (戯曲四部作の第二部)
出 演
ルブナ・アザバル  メリッサ・デゾルモー=プーラン
マキシム・ゴーデット  レミー・ジラール
アブデル・ガフール・エラージズ

<あらすじ>(ネタバレを含みます)
カナダに住む双子の姉弟、ジャンヌ(メリッサ・デゾルモー=プーラン)とシモン(マキシム・ゴーデット)は、公証人ルベル(レミー・ジラール)から、亡き母ナワル(ルブナ・アザバル)の遺言を託される。それは、死んだと聞かされていた父と、存在も知らされていなかった兄を探し出し、それぞれに手紙を渡してほしいという内容だった。母に対する反感が強く気乗りしないシモンを残し、ジャンヌは直ちに母の故郷中東へと飛ぶ。

ジャンヌが知った母の情報は次の通り。
異教徒の恋人を殺されたナワルは、二人の間にできた男児を、祖母を通じ孤児院に託した後、叔父宅に身を寄せて大学に通う。しかし内戦の勃発で大学は封鎖され、学生運動も断念。彼女は男児捜索のため故郷に向かう。ところが男児がいたとされる場所はことごとく破壊されていた。彼女は絶望感から復讐目的でキリスト教右派のリーダーを殺害。以後15年にもわたる監獄での過酷な生活が始まる。

<感想など>
最近ラストでびっくりすることが多いが、本作ほど衝撃的なラストはおそらく初めてだろう。ハッピーでも、バッドでもないエンド。余韻を感じる余裕もない。周りは泣いていたが私は全くその気分ではなかった。制作側の真意を考えさせられたのは、エンドロールが終わったとき(正確な表記は覚えていないが)「祖母たちに捧ぐ」という一言を目にした後だ。

物語は、母の人生と、これを追うジャンヌの道中を交互に映し出す。母娘の外見がそっくりなので、時として混同してしまう。例えば、娘が母の通った大学付近を歩いている様子、青系のシャツにスラックス姿で廃墟を尋ねる様子などだ。ミステリアスな展開の中に、ジャンヌのはやる気持ちを感じた。

ミステリー感覚は「遺言は聖なるもの」という公証人の言葉から始まった。「人探しなんて面倒だから早く開封したい」というシモンを諭した言葉だ。また、途中の謎めいた台詞も興味深い。数学を専門とするジャンヌは、序盤で担当教授から「純粋数学を目指すなら行かなければならない」といった意味のアドバイスを受ける。また、後半、監獄から解放されたナワルは「いつか子供たちから救われるだろう」という内容の言葉をかけられる。姉は「1+1=1」を弟から教えられるとは、全く予期できなかっただろう。

キリスト教系、イスラム教系、それぞれの武装勢力による対立抗争を背景に描いているが、制作側の意図は、それがもたらす悲劇というよりは、一人の女性の最期の決断にあると思う。彼女の死期を早めたほどの驚愕の真相は、鑑賞者としても受け入れがたいものだった。今後遺された彼らが幸せになれる保証もない。けれども子供たちへの愛情、報復の虚しさは、何としても伝えたい、という強い気持ちは伝わってきた。

そんな風に考えていくうちに、男女の双子という設定に大きな意味を感じるようになった。

ところで、途中ジャンヌが母の故郷で通訳を介して意思の疎通を図る場面があるが、その土地の言葉が訳されなかったことが非常に残念だった。特に、ジャンヌの母の名を聞いた村人たちが血相を変えて口にする言葉はぜひとも知りたかったが、通訳は全てを忠実に訳しているわけではなさそうだ。作品全般にわたり、フランス語しか解さない人々が<聴き取れない>部分は、鑑賞者も<聴き取れない>。数ヶ国語が使用される作品にはよく見られる現象で、そんなときはいつもジレンマを感じてしまうのだが、今回は特にその思いが強かった。

最後に、ナワルの墓前に佇む人の姿が映し出されるが、全員が同じ場所に集まるときはくるのだろうか。今もって考えはまとまりそうにない。きっといつまでたっても堂々巡りのままだと思う。

ペーパーバード 幸せは翼にのって

20120323



2010年/スペイン/2時間3分(レンタルDVD)
監 督  エミリオ・アラゴン
原 題  PAJAROS DE PAPEL/PAPER BIRDS
出 演  イマノール・アリアス  ルイス・オマール
     ロジェール・プリンセプ  カルメン・マチ
     フェルナンド・カヨ  ディエゴ・マルティン

<あらすじ>
1930年代のスペイン。喜劇役者のホルヘ(イマノール・アリアス)は内戦で妻子を失い、相方エンリケ(ルイス・オマール)にも行方を告げず忽然と姿を消す。二人が再会したのは、戦争も終結した1年後。劇団での再起を考えていた矢先、二人は両親を失ったという少年ミゲル(ロジェール・プリンセプ)を団員として迎え入れ世話をする。ホルヘは亡き息子が忘れられず、ついミゲルにつらく当たってしまうが、ミゲルは着々と腕を磨く。世はフランコ独裁政権下。監視の目は劇団にも注がれるようになる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
上に掲載した写真の三人は満面の笑みだが、物語では三人が同時にこうした笑顔を見せることはほとんどない。特に主人公ホルヘは終始額に皺をよせ、難しい表情だ。妻子が健在だったときも舞台以外では笑わず、息子への躾も厳しい。それが愛情からくる厳しさであることは、後の展開からもよく理解できる。

ミゲルを見て思い出したのが『ニュー・シネマ・パラダイス』の「トト」。好奇心むき出しの様子や、大人に対する態度が彼と重なった。けれども本作の少年ミゲルはトトのように無邪気な子どもではいられなかった。

ミゲルは時には子供であることを武器に、その時々を切り抜ける。そんな知恵者の彼にたくましさを感じる反面、可愛らしいとは思えなかった。表情が明るければ明るいほど、彼の過酷さに胸が痛んだ。

それはきっとホルヘの気持ちでもあるのだと思う。彼はどんな世の中でも子供は教育を受けるべき、子供は子供らしくあるべきだと考えている。その気持ちは冒頭で明らかだ。しかし当時は、子供を早く大人にさせようとする時世である。ミゲルも早く一人前の芸人になろうと、必死にホルヘにしがみつく。

ミゲルを邪険に扱うホルヘも、息子に対する躾同様、食事時のマナーや口のきき方など細かく注意をする。彼を父のように思うミゲルもその言葉に従う。つながりが見え始めた二人をさらに結びつけたのは、ミゲルがスクリーン上に母の姿を見つけ、初めて子供らしい顔をした時だった。ミゲルの母親を探し出し、すでに記憶をなくしてしまった彼女にミゲルの将来を約束するホルヘの表情は、これまでに見せなかった慈悲深さに包まれていた。

世の中は、独裁政権を打倒しようとする者、またこれを密告しようとする者が動き回る暗黒の時代。劇団内にも、総統暗殺を企む者や内偵者が影を潜めている。その中で喜劇を続けようとするホルヘたちの気概に惹きつけられる。ホルヘもエンリケも、長年コンビを組んでいる勘で、窮地をアドリブで切り抜けていく。さまざまな事情を抱えた人々で構成される劇団は、綱渡り状態ではあるが一つのファミリーのようだった。彼らが繰り広げる数々のショーは、大きなスクリーンで鑑賞したかった。

タイトルの「ペーパーバード」には、「幸せを乗せる翼」の意味が込められているのだろうが、ラスト前には散りゆく命を感じてしまった。悲観的過ぎるだろうが、それしか浮かばなかった。

けれども、後年のミゲルが登場し、広い観客席に見覚えのある面々が次々と姿を現したとき、ペーパーバードはやはり幸せを乗せるのだな、と思った。当時の彼らの想いが、長い年月をかけてここまで飛んできたのだな、と。

緑鮮やかな草原が、いつの世も、どこまでも広がっていけばいいのに、と思うラストだった。

ヤコブへの手紙

20120311



2009年/フィンランド/1時間15分(レンタルDVD)
監 督  クラウス・ハロ
原 題  POSTIA PAPPI JAAKOBILLE/LETTERS TO FATHER JAAKOB
出 演  カーリナ・ハザード  ヘイッキ・ノウシアイネン  
     ユッカ・ケイノネン 

<あらすじ>
1970年代のフィンランド。終身刑を言い渡されていたレイラ(カーリナ・ハザード)は、恩赦で12年間服役していた刑務所を出る。身寄りのない彼女は、ヤコブ(ヘイッキ・ノウシアイネン)という盲目の牧師の家で暮らすことになる。手紙を読み、代筆することを頼まれたレイラだったが、元々不本意だった彼女は来た手紙を捨ててしまう。郵便配達人(ユッカ・ケイノネン)も牧師宅には来なくなる。こうしてヤコブへの手紙は途絶え、差出人への返信ができなくなった彼は、意気消沈する。

<感想など>
蒼みがかった風景が印象に残る。ヤコブの家の中、草むら、どんよりとした空、教会の中。登場人物たちの顔も、周りの色を受けて蒼い。暗いが心静まる色だった。

レイラの罪状については最後まで明かされない。どんなに親切にされてもその気持ちに応えようとしないし、ヤコブを助けようともしない。これほどまでに人を拒否する心はどこからくるのか。彼女の過去を知りたい気持ちがどんどん募る。

ヤコブは盲目ながら身の回りのことはすべて自分でこなす。レイラにお茶を出しパンを切る動作も手慣れたもの。聖書の言葉もよどみなく口から出てくる。これは称賛に値すると思うのだが、レイラはそうは受け取らない。ヤコブが崇高であればあるほど、彼女は引いてしまうように見える。ヤコブの差出人に対する完璧ともいえる返答。差出人のヤコブに対する絶対的な信頼感。そんな状況にレイラはいらついている。

主な登場人物はレイラとヤコブ、そして郵便配達人の三人。あとの二人は出所後の彼女が接する人物だが、この二人が好対照。全面的にレイラを信頼しようとするヤコブと、彼女を見たとたん顔を引きつらせる郵便配達人。大柄で無愛想な外見がマイナスイメージを引き起こすのかもしれないが、それにしてもあの反応はオーバーだ。「信頼」する心の有りようが人によって全く違うことを思い知らされた。

ヤコブの生活は、レイラとの出会いで大きく変わったことになる。彼は差出人の悩みに応える義務があり、何もかも与える立場だと思っていた。けれども終盤で、それが与えられたものであると悟る。手紙が来なくなった真相ははっきりしないが、これがレイラとヤコブの距離をつめるきっかけとなったのは確かだ。神の導き、という概念が、自然に心に浮かぶ。
レイラは、自身の心を吐露するヤコブに初めて共感し、初めて人のためにできることをしたいという気持ちが芽生える。
レイラの告白シーンでは、彼女とともに思わず涙してしまった。どれほど長い間、本心を封印してきたのだろう。その長さと心の鎧、さらに彼女の今後を考えずにはいられなかった。

レイラの手に初めて触れたときのヤコブの表情が忘れられない。大きな掌、力強い腕力は、彼の想像の中にあっただろうか。彼の顔は、安堵と喜びに満ちていた。ヤコブは幸せな生涯を閉じたといえると思う。

75分という短い時間で、台詞も少なかったが、たくさんのメッセージを感じた作品だった。

マシンガン・プリーチャー

20120219

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2011年/アメリカ/2時間9分(劇場で鑑賞)
監 督  マーク・フォースター
原 題  Machine Gun Preacher
出 演  ジェラルド・バトラー  ミシェル・モナハン
     マイケル・シャノン  スレイマン・スイ・サヴァネ
     キャシー・ベイカー  マデリーン・キャロル

<あらすじ>(ラストに関するネタバレを含みます。)
1990年代初めの頃。サム・チルダース(ジェラルド・バトラー)は麻薬やアルコールに溺れ、荒んだ生活をおくっていた。しかし信仰を持つ妻子と共に赴いた教会で洗礼を受けたことが転機となり、地道に働くようになる。あるとき、サムは教会で聞いたウガンダの牧師の講話に動かされ、北部ウガンダで建設のボランティアに参加。ここで出会ったスーダン人民解放軍の兵士デン(スレイマン・スイ・サヴァネ)の案内で、スーダンの難民キャンプに赴く。神の抵抗軍(LRA)の残虐さに慄然としたサムは、帰国後故郷のペンシルバニアに教会を設立、次いでスーダンでの孤児院設立に奮闘する。

<感想など>
サム・チルダース氏の実話に基づいた物語である。
それ以外は何の予備知識もなく鑑賞に突入、最初のシーンの残虐さや、ガンを振り回す主人公の異様さに、観る作品を間違えたかと思ったほどだ。

まず前半で驚いたのがサムの改心だった。彼は殺人を犯したと思い、罪の意識に苛まされる。サムに傷つけられた男は実際には病院に収容され命は助かったが、サムの苦しみは続く。そんな中で家族の働きかけや牧師の言葉に突き動かされるように洗礼を受け、以後は家族のために懸命に働く。この180度ともいえる転換がかなり唐突に見えたが、実際には画面で見るよりも時間を要しているのだろう。信仰の持つ意味について考えさせられる展開でもあった。

次に、アフリカでの長期紛争についても驚愕の連続だった。台詞の言葉に、知らないことが多すぎて、理解に苦しむのである。後で調べてみても理解が及ばないことに愕然。

サムがデンに案内された難民収容所には、神の抵抗軍(LRA)の襲撃で重傷を負った人々がひっきりなしに運び込まれてくる。LRAとは、コンゴ、ウガンダ北部、南スーダン一部地域で活動している、ウガンダの反政府武装勢力のこと。現実を目の当たりにしたサムは、自分にできることはないかと思案する。
帰国したサムの変化を、家族は喜ぶ。教会を設立したサムを、周りの人たちも心から敬服する。けれども、サムの行動はとどまることを知らず、そのために故郷では家族崩壊の危機、スーダンでは命の危機や孤立化にまで発展。

ペンシルベニアでは、豊かであること自体に疑問を投げかけ、ついには私財を手放すまでに。ここでは遠いアフリカに想いを馳せる。
スーダンでは大勢の子供たちを守るためにLRAの少年兵を射殺。信仰と行動の矛盾とに苛まされる。そんなときウィリアム少年の衝撃告白が彼の心を救い、遠くにいる家族に想いを馳せる。
アメリカ、アフリカの両方に根を下ろしていく主人公の心が、こちらにも伝わってくる。

武装勢力に対しては武装もやむを得ないという考えが、反発を招いているのも確かだ。最後の「誘拐された子供を自分が取り戻すと言ったらあなたは何と答えるか?(略)」という問いかけからは、チルダース氏の苦しい胸中もうかがえる。

エンドロールにはチルダース氏ご本人や家族も登場、あらためてこれが実話なのだと思わせる一場面だった。プログラムには、チルダース氏と彼を演じたジェラルド・バトラーの並んだ写真が載っており、どことなく風貌が似ている。思い返せば、ジェラルド・バトラーの演技は、何かにとりつかれたかのように見えるときがあった。今なお活動している人を演じるプレッシャーは相当なものだろうが、これを乗り越える、というよりは自分の血肉にしてしまった、と表現した方が適切かもしれない。

最後、人間をここまで突き動かす力は何なのかと考えると、もう一度最初の展開が時系列に浮かんでくるのだった。

黄色い星の子供たち

20120208

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2010年/フランス・ドイツ・ハンガリー/2時間5分(レンタルDVD)
監 督  ローズ・ボッシュ
原 題  La Rafle
英 題  The Round Up
出 演  メラニー・ロラン  ジャン・レノ
     ガド・エルマレ  ラファエル・アゴゲ
     ユーゴ・ルヴェル  オリヴィエ・シヴィ
        
<あらすじ>
1942年のフランス。ユダヤ人のジョー(ユーゴ・ルヴェル)は両親(ガド・エルマレ、ラファエル・アゴゲ)、2人の姉と共にアパートでつつましく暮らしていた。近所に住むシモン(オリヴィエ・シヴィ)や彼の弟ノノと毎日元気に遊ぶ一方、勉強も頑張り、充実した日々を過ごしていた。しかしある日突然警察により、彼らを含む1万3000人ものユダヤ人が一斉検挙される(ヴェル・ディブ事件)。ジョーたちが移送された冬季競技場の環境は劣悪で、ユダヤ人医師、シェインバウム(ジャン・レノ)や赤十字から派遣された看護師アネット(メラニー・ロラン)が病人の治療にあたったが、死者は増える一方だった。彼らにはさらに過酷な運命が待っていた。

<感想など>
「黄色い星」とはユダヤ人がつけることを強制された星型ワッペンのこと。様々な施設への出入りを規制するための印だときくと暗澹たる気持ちになる。しかし冒頭の「黄色い星」をつけた子供たちに、暗さは微塵もない。ジョーの父親は、むしろユダヤ人であることを隠さない方が身のためだと言う。他国で辛酸をなめた彼からみれば、フランスは人権の国であり、身の危険はないと信じているのだ。ところがそのフランスに、彼らは裏切られることとなる。

第二次世界大戦中の一時期、フランスがナチスの支配下にあったのは知っていたが、フランス(ヴィシー政権)がユダヤ人を検挙したことは全く知らなかった。フランス政府がこの事実を認めたのが1995年で、それまではナチスドイツによる迫害だととらえられていたという。元ジャーナリストの監督が3年の月日をかけて準備したというだけあって、説得力のある映像が続く。

彼らが生活していたコミュニティでは、民族の別なく自然なご近所づきあいが行われていた。ユダヤ人に対する規制が厳しくなっていくと、そのコミュニティが崩れ出し、彼らと親しくしているフランス人もまた、憤りを露わにする。この時代、政権を執る者ではなく、庶民の方が人権に対して敏感だったのは、当然と言えば当然か。危険と知りながら検挙を知らせた人々の勇気にも、頭が下がる。

物語の核にはその「勇気」がある。
看護師のアネットや、自らも検挙されている医師、シェインバウムは、いずれも献身的だ。生来の正義感や人道的な考えに加え、互いの存在が、行動力の源泉になっているようにも見えた。特に、アネットは自分のやつれた姿を知事に見せて、食料の増量を嘆願したり、高熱にもかかわらず子供たちの世話をしたりする。
また、最初の検挙を逃れた少女は、家族への差し入れを強制収容所の有刺鉄線越しに渡す。
ジョーの母は、息子に「何があっても生きろ」と身体を張って言う。ジョーは母の「遺言」を実行に移す。

前半ではやんちゃな姿が印象的だったジョーも、物語が進むにつれ表情に翳りが見え始める。強制収容所の監視員に対する眼は怒りに燃え、理不尽に憤然とする姿がりりしく映る。脱走を決意して、親友と別れる場面では、その親友シモンのジョーに向かって弱々しく振る手のひらが、いつまでも頭の中でひらひらして、やりきれない思いだった。

もっと切ないのは、猛然とダッシュするノノの姿。母親の死を知らない彼は、いい子にしていれば母親に会えると信じ、強制収容所から移送されるトラックに向け、一番乗りで駆けつける。けれども出発の時に、心のよりどころであるアネットの姿がない。再会したのは終戦後だったが、その時の彼は言葉も表情も失ってしまったかのようだった。

ジョー少年は実在の人物。昨年、そのジョセフ・ヴァイスマン氏(80歳)が来日し、若者を前に体験を話す場もあったとのこと。過去の過ちを伝える役目が、若い人々の間に広がっていくことが大事なのだと思う。と言う自分も戦争を知らない世代。ヴァイスマン氏と同年代の母が、昔まだ子供だった私に戦時中の苦労を話したことがあったが、私の方は「またか」という感じで真剣に聞いていなかった。今度ちゃんとききに行こう。

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