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ドラッグ・ウォー

20140118

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2012年/中国・香港/1時間46分(劇場で鑑賞)
原 題  毒戰
英 題  Drug War
監 督  杜琪峰(ジョニー・トー)
出 演
孫紅雷(スン・ホンレイ) 古天樂(ルイス・クー)
黄 奕(クリスタル・ホアン) 鍾漢良(ウォレス・チョン)
李光潔(リー・グアンジエ) 林家棟(ラム・ガートン)
郭 涛(グオ・タオ) 林 雪(ラム・シュ)
葉 璇(ミシェル・イエ) 高雲翔(ガオ・ユンシャン)

<あらすじ>
ジャン警部(孫紅雷)がドラッグの運び屋を大量検挙した直後、覚醒剤密売業者テンミン(古天樂)が病院に運び込まれる。爆発事故のあった工場から逃亡する途中衝突事故を起こしたのだ。ジャンは彼に、減刑とひきかえに麻薬密売捜査への協力を提案、テンミンも承諾する。こうして、テンミンが仲介する麻薬密売ルートを割り出すために、ジャンが率いる津海警察と、密売先を所轄する粤江警察との合同捜査が行われる。

<感想など>
最初から衝撃的なシーンを叩きつけられた。捕まったバスの乗客たちが、飲み込んだドラッグのカプセルを出させられる。ジャン刑事が彼らをまんまと出し抜いた大手柄だが、ここでの活躍はほんの序の口に過ぎない。

表面だけざっと見れば、中国公安の威信を証明するような内容だ。でもいわゆるプロパガンダ的なものでないことは観てのとおり。大陸の公安側対香港の麻薬密売グループという構図が最後まで続くのだが、どちらかというと香港側の方に好感を持ってしまう。香港サイドの人物の背景の方が詳しく描かれ、人間的な面を見せているのに対し、刑事たちについては、職務以外の情報がほとんど伝わってこない。大芝居を打つジャンやベイ(黄奕)は素晴らしいが、私生活の方は全く分からない。物語が終わってもその実感がわかないのは、公安側が最後まで謎めいていたからかもしれない。あの芸達者な刑事たちが何者なのか(刑事には違いないが)知りたい思いがつのった。

執念のぶつかり合い、せめぎ合いにもくぎづけになる。
家族を失ったテンミンが生き抜くことに凄まじい貪欲さを見せているように、刑事たちも犯人逮捕に命を懸けている。特に死んでも離すものか、という意思を見せつけたあの手錠。ジャンの気迫が、職務を越えたところから発しているかのように見える。当然のことながら、罪を犯した者は悪、犯人を追う立場は善。でも執念深さの点では両者互角。

最後、「毒に始まり毒に終わったか…」と思わずつぶやいてしまった。でもこれで本当に終わるのだろうか。かつて、テンミンが家族とどんな日々を過ごしていたのか。七人組はどんな経緯で結びついたのか?刑事たちの人間関係は?サイドストーリーがあれば、物語がより膨らむのではないだろうか。このままでは消化不良だ。なによりあのラストは後味が悪すぎる。

この作品も続編をお願いしたい。過去にさかのぼった内容を是非!!

名探偵ゴッド・アイ

20140104

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2013年/香港・中国/2時間10分
(『冬の香港中国エンターテイメント映画まつり』で鑑賞)
監 督  杜琪峰(ジョニー・トー)
原 題  盲探
英 題  Blind Detective
出 演  
劉徳華(アンディ・ラウ) 鄭秀文(サミー・チェン)
郭 涛(グオ・タオ) 林 雪(ラム・シュ)
高圓圓(カオ・ユエンユエン)

<あらすじ>
警官のホー(鄭秀文)は、上司のシト(郭涛)の指示で盲目の探偵ジョンストン(劉徳華)を追跡して犯人逮捕にこぎつける。しかし事件解決による懸賞金が生活の糧である彼にとっては怒りがおさまらない。この縁でジョンストンと知り合ったホーは、彼の捜査を手助けすることとなり、共に連続少女失踪事件の真相を探り始める。実は、ホーが警官になるきっかけは、突然姿を消したシウマンという少女の行方を探すためだった。ホーはジョンストンのアドバイスから想像力を鍛えていく。

<感想など>
ここ数か月の中では一番笑った作品。劉徳華、鄭秀文のコンビネーションが抜群。かつてダイエットしようとする男女を演じたのもこの二人だったのでは?息つく間もないマシンガントークとテンションの高いパフォーマンスを見せてもらいお正月気分も最高潮!(でも元に戻るのがたいへん…)

いわゆる名探偵もののように、綿密な推理が物語の核となるわけではない。まるで、ストーリーの方がジョンストンの想像通りになっていくようで、こちらは明るい結末を待っている気分。でも安心はできない。

コメデイなのだが、よ~く観ればシリアスな話が核になっていると思う。ジョンストンが視力を失ったきっかけや、未解決事件の真相、現在のシウマンなど、笑いや妄想の中に見え隠れする現実感が、目を覚ましてくれるよう。

いちばんキュンときたのは、「I love you」と言われたホーが、ベッドの上で蝦みたいに丸くなって、伸び縮みしながら喜んでいるところ。

両主役が心から演技を楽しんでいるのを観て、こちらも心が浮き立った。

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東京に来たばかり

20131119

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2013年/日本・中国/1時間40分(劇場で鑑賞)
原 題  初到東京
監 督  蔣欽民(ジャン・チンミン)
出 演  倍賞千恵子  秦 昊(チン・ハオ)
     中泉英雄   張鈞甯(チャン・チュンニン)
     田 原(ティエン・ユエン) 

<あらすじ>
来日したばかりの吉流(秦昊)は東京の生活になかなかなじめない。故郷中国では天才棋士と呼ばれていたが、碁を打つ機会もない。ある日彼は碁石を誤って道にばらまいてしまうが、一人の行商の婦人に助けられる。彼女は五十嵐君江(倍賞千恵子)といい、千葉から農作物を売りに来ていたのだった。彼女は吉流のアルバイトの世話をしてくれた上、家に招いてくれる。その縁で孫の翔一(中泉英雄)とも出会い、徐々に交友関係が広がっていく。そんなとき、関東アマチュア囲碁選手権大会に出場するチャンスがおとずれる。

<感想など>
スクリーンに広がる風景は、今自分がどっぷりつかっている日本とは少し違って見えた。描かれているのは当然今現在の日本に違いないが、どことなく、しっとりとした古さが漂っている。

今回は映画制作の意図をあらためて考えさせられた。
監督の目から見た風景の中には、囲炉裏、和服、祭りといった日本の伝統が息づき、心根の優しい日本人が多く登場する。日本滞在中に、倍賞千恵子さん演じる老婦人のような人に世話になったのではないかと思えるほど、彼女に対しては敬意があふれていた。

一方で主人公が抱える戸惑いも正直に語られる。
カプセルホテルでのアルバイトでは、日本人授業員の叱責を受けるなど苦労も多い。ほのかな好意を抱いた同僚の女性(田原)が男性と一緒の場面を見て苦しんだり、囲碁選手権では対局が始まった後に参加資格が問われたり。日本で暮らす留学生が共感する場面も多いのではないだろうか。

そんな監督の実体験が映し出されるストーリーの中で、いくつかきいてみたいことがある。
その一つは、アルバイト先の同僚で、日本姓を名乗っている受付嬢の背景だ。彼女の日本語は吉流よりは上手だが明らかに外国人の話す発音である。まるで彼の前で日本人の振りをしているように見えるのである。後で「私は中国人なの」と泣く場面を見て、なぜ彼に中国語で話しかけなかったのだろうと、ふと思った。本音で語ることのできない複雑な背景を持つ人物なら、これ以上の深追いはやめよう

もう一つは、君江の孫、翔一が、重傷を負いながら病院へ行かなかった理由だ。事件隠しのためだとしてもあまりにも無謀で、観ているこちらが痛くなる。私は勝手に「不治の病で後が短いと知った彼の刹那的な人生」と思い込んでいた。碁を捨てたのもそのせいではないかと。彼の結末にはどうしても納得がいかない。

腑に落ちない点は多少あっても、監督の日本に対する想いの方に強く惹かれ、細かいあれこれは記憶の彼方になった。日本の良さを伝えたいという気持ちが、観客としてはとても嬉しい。このような友好につながる製作もまた、目的の一つなのだと思った。

<追記>
倍賞千恵子出演作をスクリーンで観るのはたぶんこれが初めてだろう。凛とした君江さんが大好きになってしまった。後日TVの寅さんシリーズで、だいぶ若い時の倍賞さんに会えた。優しい物腰の中にキリリとした姿勢が見えて、とってもステキ。中国でファンクラブ発足というエピソード、わかる気がする。

バレット・ヒート 消えた銃弾

20131109

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2012年/香港・中国/1時間47分(DVD鑑賞)
監 督  羅志良(ロー・チーリョン)
原 題  消失的子弾
英 題  The Bullet Vanishes
出 演
劉青雲(ラウ・チンワン) 謝霆鋒(ニコラス・ツェー)
楊 冪(ヤン・ミー) 井柏然(ジン・ボーラン)
廖啓智(リウ・カイチー) 江一燕(ジャン・イーイェン)
鄭希怡(ユミコ・チェン) 呉 剛(ウー・ガン)
高 虎(ガオ・フー) 王子義(ワン・ズーイー)

<あらすじ>(ラストに関するネタバレを含みます。)
兵器工場で、銃弾盗難の嫌疑をかけられた女性工員が、工場長(廖啓智)に強要され銃で自殺する。その後工場では連続射殺事件が発生。遺体に銃弾が残っていない奇怪な状況は「呪われた銃弾」と恐れられ、刑事の松東路(劉青雲)、郭追(謝霆鋒)、小五(井柏然)が捜査を開始。法医解剖担当の医師李佳(鄭希怡)の協力も得て様々な推測を重ねるが、なかなか解決にはいたらない。

<感想など>
この作品、レンタルショップで見つけて即借りた。都内の劇場で今月末から限定公開されると知ったのはその直後。ただその時期はほかの興味ある作品が目白押しなので、劇場鑑賞するかどうかは微妙なところだ。一度だけでは理解できない局面もあり、劇場からレンタルショップに足を運ぶ人も多くなるかも。

トリックの数々についてはさておき、それぞれのキャラクターは興味深かった。推理をめぐらせる劉青雲、スナイパーの謝霆鋒はなかなか息の合ったコンビ。二人の後ろをついて回る井柏然はおっとりしていて、かわいらしい。そして何と言っても工場長を演じる廖啓智!憎々しさ全開で、早く消えてしまえ!と何度思ったことか。

シックな色調も効果的。工場の埃っぽさや、街中の猥雑さ、細い路地の湿っぽさが、事件に対する恐怖感をあおっているようにみえる。そんな中、工場長の白い服や、収監されている女性(江一燕)の透き通るような肌が印象深い。

呪われた銃弾をめぐって試行錯誤するところよりも、真犯人が解明した終盤の方が、はるかに長く感じられた。過去を振り返るシーンと双方が対峙する場面は、まるで時間が止まったようだった。つきとめた人同様ガックリ!だ。ホームズ&ワトソンのどちらかが犯人だったら物語破綻でしょ…。情が深くなると身の破滅をまねく。それを証明するような展開だった。

今これを書きながら「結果的に一番得をした人が怪しい」という主人公の言葉を思い出し、即、先日レビューを書いた『コールド・ウォー』が頭に浮かんだ。終わった時点で一番得をした人…。郭富城演じる主人公?でもいくらなんでも黒幕が主役なんてありえん!と思いつつ、それもアリか?と混乱する私。(笑)はやく続編を!

話がだいぶそれてしまいました…。

アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ

20131022

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2013年/中国・香港/1時間42分(2013東京・中国映画週間で鑑賞)
監 督  陳可辛(ピーター・チャン)
原 題  中国合伙人
英 題  American Dreams in China
出 演  黄暁明(ホァン・シァオミン) 鄧 超(ダン・チャオ)
     佟大為(トン・ダーウェイ) 杜 鵑(ドゥ・ジュアン)

<あらすじ>
1980年代前半、農村出身の成冬青(黄暁明)は二浪で燕京大学に合格。代々留学生を輩出する家系に生まれた孟暁駿(鄧超)、パワフルに遊ぶ王暘(佟大為)らと仲良くなり学生生活を満喫していた。やがて彼はアメリカへの出国を目指すが、ビザを取得できたのは孟暁駿だけで、激しく落胆する。その後大学講師となるが失職。そんなときファーストフード店で開いた英語教室が人気を集め、王暘の提案で廃工場に教室を移す。生徒たちの心をつかむ授業は大盛況、帰国した暁駿も加わり、彼らは事業をさらに拡大させる。開校場所が違法だと指摘されたり、教材をめぐってトラブルになったりするなど、彼らの前には次々と困難が立ちはだかるが、三人三様の能力を発揮してこれらを突破する。

<感想など>
実際に英語学校を展開する実業家三人をモデルに作られたサクセスストーリー。その人たちとはたぶん同年代で、しかも好きな俳優が演じているとなれば観ないわけにはいかない!と、お化け字幕覚悟で足を運んだ。でも嬉しいことに化けてはいなかった!上映時間1時間42分はあまりにも短い。

とにかく80年代のエネルギーあふれる中国が懐かしい!
洗面器やら布団やらを抱えた黄暁明が着ているのは、赤で「中国」と書かれたシャツ。これ着ている人、たくさんいたなあ。斜め掛けにした布の鞄もよく似合い(笑)、ダサイ恰好がホントにきまっている!
青の詰襟服を着ている教授からは、尊敬するL先生を思い出した。かの事件で休講の間、特別授業をして下さったのだ。メガネをかけた顔も似ている気がして、鄧超、佟大為に心の中で「先生を怒鳴らないでよ~」と叫んでいた。(笑)
スクリーンを見ているうちに頭に浮かんでくるのはあの頃の光景…。重くて軋む自転車とか、ピンポン玉がカチカチ響く卓球台とか、女学生のひらひらした白のワンピースとか…。蘇芮も流行っていたっけ。ああ、何もかも懐かしい。色彩がややカラフルなところには多少違和感があったけれど、あの時代を充分再現していると思う。

そんな中、ビジネスのノウハウもさりげなく語られる。
例えば黄暁明演じる冬青の腰を90度まで曲げたお辞儀!これを生徒相手にやるのだ。上から目線ではなく、相手を尊重している態度をはっきり見せる、という意味にとれた。

得意分野で生徒たちの信頼を獲得する作戦も興味深い。孟暁駿は出国にあたっての個人面談、王暘は実生活での会話で、生徒を惹きつける。

友情とビジネスが両立している成功例とも言えよう。
プライベートで親交のある友人と一緒に大規模なビジネスを展開していく例は、そう多くはないと思う。冬青の喉を振り絞るような男泣きが、友情とビジネスの間でもがき苦しむ代表者の辛さを物語っていた。その一方で争いの最中に結婚式の招待状を渡した王暘のタイミングは絶妙で、友情がヒョイと戻ってきて、ついでにビジネスもコロッとうまく転がるのでは?という期待感を抱かせた。彼らの関係は、自分が考える以上に、互いの人生の奥底にまでがっしりと根を下ろした結びつきなのだと、あらためて思った。

昔を懐かしがる回数が増えたら年を取った証拠、と言われたことがあり、今回それを実感した。でも同年代の彼らは、振り返りながらも前をしっかり見ていることだろう。そんな3人の姿勢から、自分も前向きに生きていこう、と強く思った。

公開されるとしたら、また観たい!!

101回目のプロポーズ~SAY YES~

20131021

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2013年/中国・日本/1時間46分(劇場で鑑賞)
監 督  陳正道(レスト・チャン)
原 題  101次求婚
出 演
黄 渤(ホアン・ボー) 林志玲(リン・チーリン)
秦海璐(チン・ハイルー) 高以翔(カオ・イーシャン)
武田鉄矢  王 迅(ワン・シュン)

<あらすじ>
舞台は上海。塗装業者のホアン・ダー(黄渤)は99回目のお見合いの日、偶然、賃金未払いの取引先社長(王迅)が美しいチェリスト、イエ・シュン(林志玲)を口説いている場面に遭遇。彼女を助けたのが縁で、二人は度々会うようになる。ホアン・ダーは恋に落ちるが、イエ・シュンは、事故で行方不明の婚約者シュー・ジュオ(高以翔)を忘れられず、新たな一歩が踏み出せない。けれども、ホアン・ダーの仕事仲間やイエ・シュンの親友(秦海璐)の後押しもあり、二人の距離は徐々に縮まっていく。そんな中シュー・ジュオが生存しているとの情報が入る。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
1991年の武田鉄矢、浅野温子主演のドラマは今も記憶に新しい。「努力は必ず報われる」と希望を持たせてくれる作品だった。そして20余年を経て中国語で描かれた本作もまた、前向きな気持ちにさせてくれる物語になっている。

黄渤といえば、おちゃらけたイメージが強いが、今回の彼は真剣そのもの。役設定は「醜男(ぶおとこ)」なのだろうが、なぜか、めちゃくちゃカッコイイ!!ひたすら尽くす男性にはハートを揺さぶられる、ということか。

おそらくこの物語は主役である「美女と野獣」の「野獣」にかかっていると思う。美女の方は完ぺきな美と守ってあげたくなるはかなさを持っていればいい。でも野獣には幾重にも立ちはだかる壁を一枚一枚ぶち壊していくだけの力が要求される。黄渤演じるホアン・ダーは、人柄と執着心で壁を崩しながら、一歩一歩彼女に近づいていく。観客が応援したくなるキャラクターだ。その意味で、ホアン・ダーの思い切った告白と、大事な所で身を引いてしまう残念な謙虚さは、観る者の心をグシャッとつかんだと思う。

20余年前ホアン・ダーと似たような道筋をたどって見事ゴールインした星野達郎が、どんなふうに登場するのかも楽しみの一つだった。武田鉄矢、黄渤、林志玲三者の会話では、中国語、日本語の混じったテンポのいい掛け合いが面白かった。ついでに星野さん、奥さんも一緒だったらいいのに、と思ったが、混乱する気もした。(笑)星野さん曰く、奥さんにアタックしたかっこいい男たちも20年たてばみんな俺と同じ、というのは、あの頃の共演者たちをさしているのかな。(笑)

残念だったのは、シュー・ジュオの顛末だ。
彼の出現で、ホアン・ダーのそばにいたイエ・シュンが一瞬にして遠くなる。この難関を突破して二人が一緒になるには、いったいどんな展開が必要だろう、と考えていた時に、事態はまた一瞬のうちに、ホアン・ダーの方に傾く。
フェアじゃないと思う。
シュー・ジュオをヘタレにしてはならないと思う。
シュー・ジュオには、潔く身を引いてほしかった。
あれ、私はシュー・ジュオに傾いているのだろうか。(笑)

またまた気になる俳優さんが出現!!中国語映画の旅はまだまだ続きます。

燃えよドラゴン

20130728

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1973年/香港・アメリカ/1時間40分(TV視聴)
監 督  ロバート・クローズ
原 題  ENTER THE DRAGON/龍争虎闘
出 演  李小龍(ブルース・リー) ジョン・サクソン
     ジム・ケリー  石 堅(シー・キエン)
     楊 斯(ヤン・スエ) 鐘玲玲(ベティ・チュン)

<あらすじ>
少林寺で修行していたリー(李小龍)は、ミルター・ハン(石堅)が所有する島の内偵を依頼され、武術トーナメントへの参戦を理由に島に乗り込む。実は彼には、ハンの部下に襲われ自死した妹の復讐という目的があり、試合で敵討ちを果たす。やがてハンが麻薬製造など地下活動のための人材を探している事実をつきとめる。アメリカから来たローパー(ジョン・サクソン)もハンに目をつけられた一人。ウイリアムズ(ジム・ケリー)の無残な死を見せつけられた彼は恐れおののく。

<感想など>
リーの妹が大勢の男たちに追いかけられるシーンから、ふと思い出したことがある。

中学生のころ、週一回の課内クラブで護身術を習っていた。指導してくれたのは空手が黒帯だという20代の先生。彼女が「夜道ではいつも襲われた時の技を思い描いてるんだけど誰も襲ってくれないの…」とがっかりした言い方をするので、私たちは「センセイみたいにスキのない人はコワくて襲えませんよ~」と笑ったものだ。あの時の先生に、大勢を前にしたらどうする?ブルース・リーをどう思う?と、今になってきいてみたくなった。

当時はブルース・リー作品の全盛期。ショートカットが中途半端に伸びると「ブルースリーカット!」なんてからかわれるほど、知名度は抜群だった。流行りのヌンチャクは、2歳下の弟がいくつか持っていた。興味を持ってもよさそうな環境だったにもかかわらず、ブルース・リー出演作を通して観たことはなかった。なぜだろう…。結局今回がブルース・リー初鑑賞である。

前半で筋骨隆々とした男(楊斯)が警戒を怠ったとされる警備員たちを次々に<へし折る>シーンには、その容赦のなさに背筋が寒くなった。グキッという音が男の残虐性を露わにしていたが、悪者を前にしたときのリーの心も同様だ。危険度がアップするほど冷静沈着になっていくところも超人的。まるでロボットのような正確さで敵の弱点をついていく。爆発寸前の怒りを拳やつま先にこめているように見えた。

ブルース・リーの不敵な面構えを見ているうちに、このヒトは絶対に負けない!と、妙な安心感を持ってしまう。これまで観てきた作品では、いくら強いヒーローでも必ず窮地に立たされる場面があって、ハラハラドキドキしたものだが、今回はそのハラハラドキドキがほとんどなかった。勧善懲悪の善の側であるブルース・リーにも、容赦が全く見られなかったからかもしれない。

当時のスーパーヒーローものでは、変身したり、<なんとか光線>を使ったりと、普通の人間ができないことをやらせて魅せるのが主流だった。でもブルース・リーの場合は100パーセント生身の人間である。しかも厳しい訓練によってその域に達したのである。

前置きが長くなってしまったのは、そんな努力の甲斐を当時の自分にちょっと見せてやりたかったからだ。それで人生変わるとは思えないけれども。(笑)

三姉妹~雲南の子

20130528

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2012年/フランス・香港/2時間33分(劇場で鑑賞)
監 督  王 兵(ワン・ビン)
原 題  THREE SISTERS
     
<内容・感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
雲南省の洗羊塘村という貧しい地域に住む三姉妹(特に長女)を中心としたドキュメンタリー作品。

着続けて黒ずんでいる服、穴あきの靴、男児と見間違う二女三女の短髪…などなど、豊かな環境からは想像もできない光景が次々と映し出される。しかも10歳の長女が6歳、4歳の妹たちの世話をしながら生活を維持しているのだ。母は家出、父は遠方に出稼ぎをしに行ったまま長期間留守という状況が、すぐには理解できない。

ドキュメンタリーというと、カメラ目線の登場人物たちが制作側と談話する姿が思い浮かぶが、本作品では制作側の存在感はほとんどない。作り手の感情をはさまず、見たままの光景のみが描かれる。だからか、子どもに対しても容赦がない。長女インインは無表情で黙々と日々の作業をこなす。彼女は好きとか嫌いといった感情を出すことをとっくに諦めてしまったかのように、機械的に体を動かす。駄々をこねる妹たちとは全く次元が違う。

三姉妹は時には伯父一家と一緒に食事をするが、厄介者扱いをされているのは明白だ。それでもインインは頼るべき場面では頼る姿勢を通す。また、彼女は近所の女性から「うちの子をいじめるな」と罵られるが、負けずに言い返す。こうした場面から、周囲も彼女を子どもとは見ていないのがわかる。子どもだが必要不可欠の労働者。そんな彼女を、カメラはただ追うだけである。

唯一彼女が子どもらしい表情を見せるのは、学校で授業を受けている時だった。しかし勉強する姿を見た祖父は、「勉強なんかして」と非難する。肉親から見ても、彼女は小学生ではなくて労働者なのだ…。

出稼ぎから帰ってきた父が持ってきた土産物も、二女三女向けの服が多く、長女がもらったのは靴だけだ。それも、姉がぼろぼろの靴しか持っていないのを知る二女が「お姉ちゃんに」と父に頼んだものだ。父は再び出稼ぎに行くときに二女三女を連れていく。時がたち戻ってきた彼女たちが着ていたのは、出て行った時新品だった服。顔も肌も前よりも黒ずんでいるように見えたのは錯覚だろうか。いったい街でどんな生活をしていたのだろう。

再出発は、「子守」の女性、その娘との同居生活である。長女はごく自然に彼らと一緒に労働する。すべて運命として受け入れる、という淡々とした姿勢だ。二女は「母」が来た喜びを歌うが、彼女からはどうやら疎まれている様子。甘え方がわからない悲しさが伝わってくる。

ラストシーンはどう解釈したらいいのだろう。女性は女の子(二女だと思うのだが…。それとも実の娘?)の襟を引っ立てているが、女の子の方は、彼女の腰に手を回して甘えているように見える。二人の行く手は荒涼としていて、明るさなど微塵も感じられない。そのときのざらりとした感覚を、私はいまだに引きずっている。「その後」が気になって仕方がない。

『無言歌』『鉄西区』(2,3部のみ)に引き続き、同監督作品を観て思うのは、音響効果の素晴らしさだ。特に人々の咳き込む音が、不快であるはずなのに(不快だからか)耳について離れない。吹きすさぶ風の音も同様である。これに満員の場内から時折もれるため息が加わって、聴覚がだんだん敏感になっていくようだった。

人間(じんかん)万事塞翁が犬

20130330

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2012年/台湾・日本/1時間49分(劇場で鑑賞)
監 督  李天爵(リー・ティエンジュエ)
原 題  命運狗不理
英 題  Legend of The T-dog
出 演  王柏傑(ワン・ボージエ) 林若亞(リン・ルォヤー)
     黑 莓(ブラックベリー) 豬頭皮(チュウトウピー)
     小 柯(シャオクー) 袁艾菲(ユェン・アィフェイ)
     丫 頭(ヤートゥ) 邱彥翔(チウ・イェンシャン)
     蘇 達(スーダー)

<あらすじ>
病院勤務のアドウ(ワン・ボージエ)は好青年ながら不運に見舞われ損ばかりしている。憧れのライ医師(林若亞)にはずっと片想いのままだ。そんな彼の元に一匹の黒い犬(黑莓)がやってきた。黒皮(ハッピー)と名付けられたその犬は、今まで劇団員、富豪、タレントなどと暮らしてきたが、49日目に必ずその飼い主たちに不幸をもたらしてきた。さて、アドウは可愛い黒皮とずっと暮らしていけるのだろうか。

<感想など>
王柏傑クンといえば私の中ではとんがったイメージだったので、本作の頼りなさそうな青年と、すぐには結び付かなかった。でも彼が演じるアドウという主人公、話が進むにつれ、しぶとさも垣間見えてくる。そして最後はやっぱり王柏傑クンだった。(笑)

実は途中ウトウトしてしまい、占い師みたいな、詐欺師みたいな、胡散臭い男の詳細が一部頭から抜けてしまっている。49日目の不幸はその男の仕業?と疑いたくなるような不気味な行動が気になった。一方で、キューピット的人物も現れる。やっぱり人生わからない、と理解しておこう。

一つはっきりしているのは、黒皮(ハッピー)の演技がほんとうに素晴らしいこと。
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人にすり寄っていく仕草が可愛くて、思わずなでなでしたくなった。飼い主を慕って救急車を追う場面、タレントと一緒に写真に納まる場面、などなど、人を惹きつける名演に心の中で拍手していた。そして予測される自分の不運より犬を選んだアドウにも!

終わってみると、「人間の幸不幸は予測しがたい」意味の邦題に、なるほど!と思った。<ハッピー>の由来が三国志演義で劉備が乗った的蘆(てきろ)である(馬と犬の違いはあるけれどね)とか、黄石公と張良のエピソードだとか、コミカルな展開の中で歴史のお勉強もできてよかった。(笑)あまり印象に残る作品ではないけれど、こんな気持ちいいハッピーエンドならDVDの再鑑賞もアリかな。

レディースデイの初回、たぶん5人くらいしかいなかったと思う。49枚用意されていたというお守りもしっかりゲット。1週間限定の公開で、観客動員はどうだったのか、気になるところ。

ところで劇場のポスターで『GF*BF(女朋友。男朋友)』の上映を知った。5月24日(金)〜26日(日)/31日(金)〜6月2日(日)にシネマート六本木で開催される(アジアンクィア映画祭)の中でとのこと。やった!

奪命金

20130211

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2011年/香港・中国/1時間46分(劇場で鑑賞)
原 題  奪命金
英 題  Life Without Principle
監 督  杜琪峰(ジョニー・トー)
出 演  劉青雲(ラウ・チンワン) 任賢齊(リッチー・レン)
     何韻詩(デニス・ホー) 胡杏兒(マイオリー・ウー)
     蘆海鵬(ロー・ホイバン)蘇杏璇(ソー・ハンシェン)

<あらすじ>
警部補のチョン(任賢齊)は、妻コニー(胡杏兒)がマンション購入の件を相談しても、いつも仕事優先で話は先延ばし。彼女は夫に相談せず購入資金を工面しようとする。
銀行員のテレサ(何韻詩)は営業成績を伸ばそうと、投資経験の少ない中年女性(蘇杏璇)にリスクの高い金融商品を売るが、その直後ギリシャの債務危機が起こる。
ヤクザのパウ(劉青雲)は仲間の保釈金を工面するため奔走、投資会社社長の旧友、ロン(姜皓文:パトリック・タン)を頼る。ところが株価暴落に正気を失ったロンは口座の不正操作に失敗、大陸マフィア(尹子維:テレンス・イン)に大損させてしまう。パウは高利貸しのユン(蘆海鵬)から強奪しようと彼の車中に潜伏。ところが直前ユンが何者かに殺される。パウはユンの金の入ったバッグを盗み出す。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
すべてはカネだ~!一攫千金!!と息巻く人々の姿が、時には喜劇的にも描かれ、終始釘づけだった。そのカネへの執着心も人それぞれ。さあ、自分は誰に近いだろうと考えてみると、やはりあの慣れないおばちゃんかな(笑)契約を焦るテレサに対する一挙一動が、ちょっと儲けてみたい人々の心を代表しているように映る。

しばらく前、同じく金融市場を扱った『盗聴犯~死のインサイダー取引~』で、限りない欲望の果てに身震いした経験から、本作品でも相当覚悟していた。けれども、今回は人々の醜さを映しながらも笑いどころがあったり、それぞれの人生が描かれていたりして、多少救われた思いだった。

前後する時系列の配置も、興味を掻き立てる一因だろう。時間が遡ることでパズルピースの一つ一つがカチッとはまるところに快感を覚えた。中盤での一番の謎は、貸金業者ユンが殺された背景だ。この事件を巡って登場人物の動きがだんだん詳細になり、ユンの人物像が浮かび上がる。最初テレサのもとを訪れた調子よさそうなおっさんが、ドラマ全体の鍵を握っていたわけだ。現場に居合わせたパウとテレサは、立場は違うし、会う機会もないが、瞬間考えたことは同じ。元々自分自身の富にはほとんど無関心だった二人が、多額の現ナマを前に変貌する。特に、忠義心の塊であるパウが、傷ついた友人を放って時間稼ぎをした結末に、胸がざわついた。そして、最初と最後が重なった。

劉青雲、任賢齊、何韻詩の3人は主演でありながら、言葉を交わす場面はない。こんな展開も珍しい。

パンフによれば、大陸での上映作とはラストが違うとのこと。でもそんな風につけ足したものより、今回の鑑賞作の方が断然いいと思った。パウとテレサに対し、もう地球の果てでも、どこへでも、飛んでけ~と、秘かに叫んだ私だった。あ、でも犯罪に加担するつもりは全くありません。念のため(笑)

<追記>
・顔に似合わず(スミマセン)シャキッとしたスタイルの劉青雲を、初めてステキだと思った。特に赤のハーフパンツが似合ってるなあ、と。

・ガス漏れ場面で、隣席のおニイさんが咳き込んでいた。任賢齊になりきっていたのかな。

・昨年末オープンしたばかりの新宿シネマカリテに初めて行った。座席はフワフワで前にも余裕がある。隠れ家的なこのミニシアターに、また行きたい。

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