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王朝の陰謀 -判事ディーと人体発火怪奇事件

20120506



2010年/中国・香港/2時間8分(劇場で鑑賞)
監 督  徐 克(ツイ・ハーク)
アクション監督  洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
原 題  狄仁傑之通天帝國
出 演  劉徳華(アンディ・ラウ) 劉嘉玲 (カリーナ・ラウ)
     梁家輝 (レオン・カーファイ) 李冰冰(リー・ビンビン)
      超 (タン・チャオ) 秦迪羅賓(テディー・ロビン)
     呉耀漢(リチャード・ン) 姚 橹(ヤオ・ルー)

<あらすじ>
唐王朝の時代。洛陽では武則天(劉嘉玲)の即位を控え、通天仏の造営が急ピッチで行われていた。そんな中、奇怪な焼死事件が続発。武則天は国師の忠告を受け、投獄されていた判事のディー(劉徳華)を呼び戻して捜査に当たらせる。側近のチンアル(李冰冰)はディーの監視役に、小卿のペイ(超)はディーの補佐役となる。疑わしい人物は多く、中でも造営頭のシャトー(梁家輝)は、最初の犠牲者ジア(秦焰)の間近にいた上、持論を述べたことで、ペイにマークされる。

<感想など>
主人公は華麗なアクションも見せる文武両道の人。謎解きには他の人物も参加しており、真相は最後までわからず、ハラハラドキドキ!!疑わしきはほぼ全員(ディーは抜こうか…)である。

ディー判事は実在の人物。彼を主人公とした物語は、オランダの外交官ロバート・ファン・ヒューリック(1910~67年)の作品に続き、複数の作家によって書かれたという。中国ではドラマ化もされたとのことだが、映画のキャラクターとはかなり違うらしい。私としては初対面なので何の先入観もなく、アンディ判事の世界へ入っていけた。

舞台は唐代というが、なぜかこれまでの歴史作品とは違う感覚だった。タイトル「通天帝国」の語感からは「通天閣」を、通天仏の内部からは以前観賞した『火天の城』を連想し、李冰冰の服が日本貴族風の衣冠に見えた。そして闇夜に舞うのは、一回り大きな桜の花びら、地下に蠢くのは<闘う百鬼夜行(笑)>というぐあいに、日本を意識した作りも感じられた。また、冒頭で訪れる遠来の客や、後半でディーが授けられた西洋風の剣など、国際的雰囲気も満載。終わるころには架空の街の出来事に思えてくるのである。それは徐克監督作という予備知識から、ある程度予想していたことだ。

というわけで何でもアリ、何でもOKと、肩の力を抜いた鑑賞となった。2時間あまり、まったく飽きさせない展開で、奇抜といえばすべてが奇抜。中高年がアクションで魅せてくれるのも嬉しい。

最初に奇怪に思ったのは、事件そのものではなく、ペイの白塗りの顔ととんがった言動だった。演じる超の素顔を知っているだけに、ギャップが大きい。そんな奇妙なペイだが、ディーと行動を共にしていくうちに、だんだん人間らしくなっていく。ある人に恋心も抱いている様子。彼が変わっていく過程が面白い。

疑わしいといえば武則天が一番。何せあの極端なつり上り眉毛だ。残忍な人間性を象徴するような顔つきだが、忠言を入れ反省もする、素直な面も感じられる人だ。なぜ武則天にこうした二面性を持たせたのか。容赦のない政策は、女だからと甘く見るな、という考えの表れとも受け取れる。そのための代償も多かったはず。彼女のキャラにはいろいろな要素がつまっている。
よ~く見るとあの側近は彼女似ではないか?ひょっとして2人は…と想像がどんどん膨らんでいく。

この作品最大の魅力は、各キャラクターの個性が際立っていることだと思う。それぞれの背景がはっきりしており、本作を中心とした物語がどんどん作れそうだ。今後、ディー判事が再び地上に上がる日は来るのだろうか。こんなふうに続編もアリな話だ、と思っていたら、どうやら監督は序章となる作品を構想中らしい。

武則天の恋物語は?普通の眉をしていた頃は?…などと想像するのも楽しい。

レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳

20120430



2010年/香港・中国/1時間45分(レンタルDVD)
監 督  劉偉強(アンドリュー・ラウ)
原 題  精武風雲・陳真
英 題  The Legend Of Chen Zhen
出 演  
甄子丹 (ドニー・イエン) 舒 淇 (スー・チー) 黃秋生 (アンソニー・ウォン)
黃 渤(ホァン・ボー) 余文樂(ショーン・ユー) 木幡 竜
陳佳佳 (チェン・ジアジア) 霍思燕(フオ・スーイエン) Akira
周 揚(チョウ・ヤン) 倉田保昭

<あらすじ>
1925年の上海。レジスタンス活動をする陳真(甄子丹)は、第一次大戦で亡くなった仲間の名で、上海のナイトクラブ「カサブランカ」で働いていた。そんな中、彼はクラブの人気歌手キキ(舒淇)と恋仲になる。彼女の行動はどこか謎めいていた。やがて日本軍が反日中国人の名簿を発表すると、陳真は変装して街に出没、彼らの窮地を救うのだった。その「仮面の戦士」は一躍街の英雄に。日本軍はこれを捕えようと躍起になる。一方大佐の力石(木幡竜)は、父(倉田保昭)の仇を討つために陳真を探していた。

<感想など>
おそらく、ブルースリー主演作のとらえ方如何で、本作の感想も違ってくることだろう。私は昔一作だけ観ているが印象に残ってないので未観のようなものである。

内容的には、甄子丹パワー全開!の物語。
1917年の冒頭では、渋いモノクロ画面から躍り出て、とび交う銃弾をよけ、敵をバッタバッタと斬りつける。もう超人である。最近ミュータントものを見続けてきたせいか、彼もまたそうかと勘違いしてしまうほどだった。この最初の展開が一番楽しめた。

そんな凄絶シーンから一変して、舞台は8年後の上海。優雅にピアノを弾く彼があの時の陳真には、とても思えない。演じる甄子丹はとても気持ちよさそうだ。その後の仮面姿といい、全身血まみれのシーンといい、すべてが彼のための演出である。とにかくあの年であのアクションは凄すぎる。無理しないで!と思わず叫んでしまいそう!

その一方で、恋愛や地下活動の描写は何とも中途半端。陳真は戦時中の写真を盗られるし、キキはピストルを落とすなど、両方とも極秘任務に携わる者としてあまりにも間抜けすぎる。ならば、こんなふうに任務が疎かになるほど恋愛に夢中かといえば、そうにも見えない。互いに気になる存在、くらいの雰囲気だ。もっとも、責務と情の狭間で苦しみもがくようなシーンが長ければ、作品全体が中途半端になるだろうから、このくらいの軽さでちょうどいいのかも。(笑)

なお、脇役として警官を演じた黃渤がよかった。彼のコミカルな、テンポのよい台詞回しは、観ていて気持ちがいい。陳真という濃すぎるキャラクターの後ろに埋もれず、シリアスな展開に光を差し入れる役割を果たしてくれたと思う。

最後に、悪役で魅せてくれた木幡竜さんについて。インタビュー記事から、彼の背景を知り、出演作を観ようという気になった。アクションシーンも中国語も、努力の成果があらわれていて、次のオファーがあるというのも納得だ。ますますの活躍を期待!

イップ・マン 誕生

20120325



2010年/香港/1時間40分(劇場で鑑賞)
監 督  邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
原 題  葉問前傳
英 題  THE LEGEND IS BORN - IP MAN
出 演  
杜宇航(デニス・トー)樊少皇(ルイス・ファン)洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
元 彪(ユン・ピョウ)黄 奕(クリスタル・ホアン)林 雪(ラム・シュー)
拳 也  葉 準(イップ・チュン)陳之輝(チェン・チーフイ)
陳嘉桓(ローズ・チャン)徐 嬌(シュー・チャオ)廖碧儿(Bernice)


<あらすじ>
イップ・マン(杜宇航)が義兄ティンチー(樊少皇)と父(陳之輝)のもとを離れ、チェン・ワースン(洪金寶)率いる詠春拳道場に入門してから10年。ワースン亡き後ツォンソウ(元彪)が継いだ道場で、二人はメキメキと腕を上げていた。やがてマンは香港のステファン書院に入学。そこで、故国を侮蔑したイギリス人学生を叩きのめして以来、彼の名は一躍有名になる。あるとき偶然入った薬局で、店主であり詠春拳の達人だというリョン・ピック(葉準)と手合わせをするが、その小さな老人に太刀打ちできず、マンは愕然とする。彼はリョンを師と仰ぎ、教えを請う。

<感想など>
『イップ・マン』シリーズの中でも、本作のメンバーがいちばん豪華に感じられた。イップ・マンの実の息子、葉準氏の存在が大きいからかもしれない。九十に近い年齢で「世界詠春聯會」代表とのこと。「詠春拳・中興の祖」と言われる梁贊の長男を、見事な台詞回しで演じている。年齢を感じさせない鮮やかさもまた、見どころの一つ。その年齢だからこその軽やかさ、と表現した方がいいだろうか。氏の父親は、手合わせしている「イップ・マン」。物語で氏が演じているのは、父の師匠と仲違いした人物の後継者。何だかややこしくなってきた…。(笑)

今回もまた、さまざまなエピソードが盛りだくさん。中でも、イップ・マンが、幼いころから身を置く道場と、新たな師匠との間で悩むところは興味深かった。リョン・ピックから習った改良技を仲間に教えたために、ツォンソウの怒りを買って破門の危機に。この流派をめぐる確執については、最後に解決とも思える展開が用意されており、物語の屋台骨的役割を果たしていると思った。

主演、杜宇航の出演作は観たことはあるが、彼自身をじっくり観たのは今回が初めて。スッとした顔立ちからは、武術家の姿がすぐには想像できなかったが、いったん動き出すと、空を切る長い手足に魅了される。
そんな彼を含め、タイプの違った達人たちの手合わせもまた、本作鑑賞の目的の一つ。
惚れ惚れとした対戦は次の通り。(出演順)
① 洪金寶×元彪…両者目隠しでの闘い。
② 葉準×杜宇航…葉準氏の台詞をもう一度ききたい。
③ 杜宇航×樊少皇…柔と剛の闘いに見えた。
ほかにも、いろいろな闘いが盛り込まれ、眼を楽しませてくれた。

イップ・マンとウィンセン(黄奕)との馴れ初めから結婚までは、意外に順調だったと思う。マンを「武人」と軽蔑していた副市長(ウィンセンの父)も、彼の人となりを知ってからはたいへん気に入った模様。事件はあったものの、ウィンセンの勇気がすべてを決定づけ、障壁はほとんど感じられなかった。武術メインの物語だから、このくらいの軽さでちょうどいいのだと思う。

三角関係については余計な気もしたが、マンの鈍感さを表現するのに必要な展開なのかもしれない。それにしてもメイワイ(陳嘉桓)のエピソードは気の毒すぎる。何とかならなかったのか。

終盤を一言で表せば、
「地球を乗っ取るためにやってきたエイリアン、中国に上陸!」。
悪役は一応日本人だが、今まで登場した日本人とは異質だった。次元の違う世界から来た「日本人」を語る異星人という感じだ。裏切り者を演じた人も、内心戸惑っていたのではないだろうか。(あくまで主観です。)こういう物語の悪事ネタも、そろそろ尽きてきたかな~、と感じた一幕だった。

山中傳奇

20120220

shangzhongchuanqi5.jpg

1979年/香港/1時間57分(レンタルDVD)
監 督  胡金銓(キン・フー)
英 題  Legend of the Mountain
出 演  石 雋(シー・チュン)張艾嘉(シルビア・チャン)
     徐 楓(シュウ・フォン)田 豊(ティエン・フォン)
     徐彩虹(レインボー・シュウ)佟 林(トン・リン)

<あらすじ>
宋の時代。書生の何雲青(石雋)は高僧から託された写経のため、宿を探していた。途中出会った崔鴻至(佟林)の案内で、彼は山中の屋敷に落ち着く。ここで王夫人(徐彩虹)と娘の楽娘(徐楓)のもてなしを受けるうちに、雲青は意識が朦朧となる。気がつくと、そばにいた楽娘から一晩を共に過ごしたと言われ、責任を取る形で彼女と結婚。ところが楽娘の行動はどこか怪しげだ。ある日雲青は崔と酒店へ行ったときに、王夫人と楽娘が妖怪であると告げられる。また、酒店の娘荘依雲(張艾嘉)には見覚えがあった。

<感想など>
『楽日』を思い出した。映画館で若き日の自分を観ていた石雋が、本作品の主人公。あの作品で初めて胡金銓の名を知り、いつか『血闘竜門の宿』はじめ、この監督作品を観たいと思っていた。その願いが一つ叶ったことになる。
今回鑑賞した普及版とは別に、3時間に及ぶ完全版もあるとのこと。機会があれば是非そちらも観たいものだ。

さて、書生のいでたちから連想したのが『チャイニーズ・ゴーストストーリー』。それで美女との恋物語を期待していたものの、前半の展開ではがっかり。結婚相手が不気味だし、雲青は彼女に恋なんかしていないのだから。責任上とはいえ、なんだかいい加減な男だなあ。

コミカルなやりとり、美しい映像、音楽の音色、昔懐かしい爆破シーンなど、色々な見せ場を作りながら、物語は進行する。
楽娘の母親、王夫人の一挙手一投足が面白い。どぎついメイクの楽娘と、お多福みたいな母親は、似ても似つかない“迷コンビ”。これに腰抜け書生が加われば、お笑いトリオだ。笑いを取るつもりなどないのだろうが、笑ってしまった。

ドタバタ劇の一方で、自然を映し出した映像は目に鮮やか。カマキリが葉の上を伝う様子、蓮の葉が日の光を受け輝くところ、また木々の緑や山の尾根など、動植物のドキュメンタリーを見るようだった。

物語も半ばを過ぎたあたりで、ようやくヒロインが登場。酒店の娘を演じるシルビア・チャンが実にかわいい。健気で賢くて、ぼんくら書生を一途に案じるのだ。雲青は彼女に目を奪われるが、すでに結婚している身。さあ、ここから二人の道ならぬ恋が始まるのか、と思いきや、そういう展開にはならない。雲青自身に情熱的な恋の気配がないからだと思う。この書生、主人公でありながら没個性なのが不思議。

妖怪、道士の戦いは、太鼓、シンバル合戦となり、耳にうるさい。早く終わってくれ~というこちらの気持ちを感じているのかのように、彼らは耳をギュッとふさぐ。妖怪たちは、苦手なものを投げられると、シュワシュワ~と没してしまう。これでもう出てこないよね、と確信できるとホッとした。子どもの頃は怪獣モノを見てよくそう思ったものだ。

ラストは、序盤の一場面から十分に予想できる展開だったが、なんだか物足りない。今までのアレはなんだったんだ~?と、思わず問いたくなった。(でも答えは一つしかないのよね…)妖怪ものだけどほのぼのとして、いつか忘れてしまいそうなお話である。

ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ/烈火風雲

20120211

LastHero.jpg

1993年/香港/1時間46分(レンタルDVD)
監 督  王 晶(バリー・ウォン)
原 題  黄飛鴻之鐵鶏鬥蜈蚣
英 題  LAST HERO IN CHINA
出 演  李連杰(リー・リンチェイ:ジェット・リー) 張 敏(チョン・マン)
     梁家仁(レオン・カーヤン) 張衛健(ディッキー・チョン)
     陳伯詳(ナット・チャン) 袁詠儀(アニタ・ユン)
     徐忠信(アラン・ツィ) 劉家輝(リユー・チャーフィー)

<あらすじ>
清朝末期。黄飛鴻(李連杰)は広州に到着早々、弟子のフウ(梁家仁)とソウ(張衛健)に、「寶芝林」に適する物件を借りるよう命じる。しかしそこが娼館の隣だったので、風紀の乱れを心配した飛鴻は弟子たちの外出を制限する。娼館を経営するウォン(陳伯詳)は飛鴻への弟子入りを強く希望するが、飛鴻は承知しない。そんな中、飛鴻は高官(徐忠信)の招きに応じるが、彼の態度に不穏な空気を感じる。ある晩娼館に、大道芸を披露していたエマ(張敏)が逃げ込んできた。妹を救うため父と能仁寺へ行ったが父が捕えられたという。ウォンは妹のガウ(袁詠儀)らと寺に乗り込む。

<感想など>
李連杰主演のワンチャイシリーズの番外編という位置づけらしい。あの一連のシリーズに比べると娯楽的要素が満載で、歴史的描写やストーリー展開は二の次に見えた。おなじみの主題歌『男兒當自強』は、娼婦たちがお色気たっぷりの替歌にしてしまっているし、弟子たちもふざけ過ぎ。外国人の印象も強くない。そうしたゆるい雰囲気だからか、お気楽な鑑賞となった。でもアクションシーンではピリッとする。

黄飛鴻対「義和拳」の悪者という、明確な勧善懲悪は、非常に分かりやすかった。闘いの場面はそれぞれが見所である。
了空真人(劉家輝)と黄飛鴻とのガチ対決には目が釘付け!了空真人は悪の権化だが、途中でぷつっといなくなってしまい、中途半端な感が残る。実は徐忠信演じる高官と混同してしまった。最後に闘ったのが高官のルイフェイ。真っ赤なランタンの中で不気味な笑いを放つのが了空真人。彼には最後までいてほしかった。

飛鴻は弟子がお茶に混ぜた薬のせいで耳が聞こえなくなるが、エマの父のおかげですっかりよくなる。耳の完治を知らないエマは、飛鴻の耳元で愛の言葉をささやく。飛鴻は聞えないふりをしてにんまり。飛鴻、あなたには“叔母さん”がいるでしょ?彼女を本気にさせたら罪だよ~と、観ている私は一人ぶつぶつ…。

さて飛鴻は、ここで飼われている鶏がムカデを捕まえる姿から、鶏拳なる武術を発見、あのムカデに対抗するのだ。
鶏の被り物に、センターグリップ式の円盾、つま先には金属製の爪、という飛鴻の格好が、何とも奇妙。なんだか学芸会みたいだな。一方のムカデはよくできていて、大勢の足並みがそろっているのが素晴らしい。前の闘いで敗れた飛鴻としては落とせない対決だが、見た感じムカデの方がずっと強そう。けれどもムカデの甲羅(?)は意外と脆くて、鶏の爪先でビリビリと破れてしまう。何本もの刃も、鋭い足爪で折られてしまう。この「鐵鶏」と「蜈蚣」の闘いは、対決というより、見せ物の要素が強い。でもなぜか、手に汗を握ってしまう。

最後は飛鴻とルイ・フェイが、白熱した戦いを見せてくれる。爪を傷つけられて危うし!という場面。切り札として繰り出した酔拳の、強いこと!前から思っていたのだが、ゆるゆるに見える酔拳に、なぜこんなに威力があるんだろう。そういえば、酒に酔った勢いで髪に墨をつけて書いた書法が傑作になった、なんていう書家(張旭)のエピソードがあったっけ。緩急の差が大きくなって相手を惑わせるのだろうか。

かっこいい飛鴻とビミョーな飛鴻が同居しているが、どちらかというと後者の印象が残る作品だった。

三国志英傑伝 関羽

20120130

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2011年/香港・中国/ 1時間49分
監 督  莊文強(フェリックス・チョン)麥兆輝(アラン・マック)
原 題  関雲長
英 題  THE LOST BLADESMAN
出 演
甄子丹(ドニー・イェン)姜 文(チアン・ウェン)孫 儷(スン・リー)
安志杰(アンディ・オン)王柏傑(ワン・ポーチエ)邵 兵(シャオ・ビン)
董 勇(ドン・ヨン)聶 遠(ニエ・ユエン)王学兵(ワン・シュエビン)
陳 紅(チェン・ホン)方中信(アレックス・フォン)銭小豪(チン・シュウホウ)

<あらすじ>(ラストに関するネタバレを含みます)
3世紀初頭。劉備(方中信)が袁紹側に下った後、曹操(姜文)は劉備の甘夫人(陳紅)、糜夫人(趙柯)、許嫁である綺蘭(孫儷)を捕える。張遼(邵兵)の配慮もあり、関羽(甄子丹)も捕虜に甘んじる。そんな中、関羽が袁紹軍の顔良(銭小豪)を討つ大手柄を上げると、曹操はますます関羽に惚れこみ、自分の配下にと強く誘う。しかし劉備に対する強い義侠心から、関羽にはその熱い期待に応える気持ちは全くない。あるとき彼は、綺蘭(孫儷)を利用した劉備裏切り策に憤懣と危機感をおぼえ、曹操の元を辞する決心をする。

<感想など>
今回三国志のおさらいをするために参照したのが≪ビジュアル版三国志武将大百科≫(全3巻)。

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<蜀の巻>表紙の関羽(下・右端)が、ドニー関羽と似ている、と思いながら映画に突入したからか、キャラクターに対する違和感は特になかった。

物語は、関羽の死を悼む曹操の姿(三国志演義第77回)から一気に、20年前へと遡る。今回メインとなる場面は、演義第27回<美髯公千里単騎を走らせ 漢寿公五関に六将を斬る(井波律子訳『三国志演義』より)>である。前半では曹操の関羽に対する熱い想いが語られ、これまで観たことのある三国志に比べ曹操の人間性が深く表現されている。関羽もまたそんな曹操を買っている様子。敵同士でありながら認め合っている二人が、重厚に映る。

ところが後半で、前半部分のよさが崩れてしまっている。皮肉にもそれは、関羽の見せ場が続いている時だ。アクションは素晴らしい。でもストーリーがついていかない、という感じなのだ。原因は登場人物によると思う。

その一人は、劉備に嫁ぐ予定の綺蘭である。関羽は昔彼女のことが好きで、今なおその気持ちを引きずっている。彼女の方は、最初のうちは関羽を裏切り者呼ばわりするが、やがて彼に心が傾いていく。(そりゃ、あんなに体張って守られればそういう気持ちにもなるわな)そしてついに愛の告白!!(なんて無茶な!)彼の立場を考えれば絶対口に出せない言葉だ。自分の気持ちしか見えない姿はエゴイストそのもの。そんな女性に惚れこんだ関羽にも、大いに違和感アリ、だ。

もう一人は献帝(王柏傑)クン。果たしてこの物語に彼は必要だろうか。曹操の掌中にあるが、多少の野心もある、という設定にしたかったのだろう。でも中途半端で、後半がグタグタ。かえって、小さな背中しか見せない方が、存在感のなさを表現できでいいのではないか。

かわりにもっと出番を多くしてほしかったのが、邵兵演じる張遼。いやあ、ほんとにカッコイイ!!映画では語られないが、彼もまた、関羽とは深い信頼関係にあるのだ。曹操、張遼、関羽。この三者が一緒にいる場面を、もっともっと増やしてくれればよかったのに!!

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ガチ対決最大の見どころは、何といっても、関羽対孔秀(安志杰)だろう。東嶺関の関所を守る孔秀は、命令だからと、果敢に関羽に切りかかる。原作での登場場面はほんの1ページ、あっという間に倒される。でも本作では安志杰がキレのいいアクションを見せてくれて、印象に残るシーンとなった。

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犠牲者を増やしたくない、という関羽の願いは、テーマの一つだろう。ただ、最後に見せた曹操の不敵な笑みも気にかかる。平和への道はまだまだ遠いという、憂慮を感じさせる最後でもあった。

さて今になって忘れ物に気づいた。劉備の二夫人である。本来関羽が守らなければならないあの人たちは、どこへ行ってしまったのだろう。展開を見過ごしたのかもしれないが、わかるように説明してくれないと安心できない。(笑)

運命の子

20111228

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2010年/中国/2時間8分(劇場で鑑賞)
監 督  陳凱歌(チェン・カイコー)
原 題  趙氏孤児
英 題  SACRIFICE
原 典  司馬遷『史記』
出 演
葛 優(グォ・ヨウ) 王學圻(ワン・ シュエチー)
黄暁明 (ホァン・シァオミン)范冰冰(ファン・ビンビン)
海 清(ハイ・チン) 趙文卓(チウ・マンチェク)
張豊毅(チャン・フォンイー)趙文浩(チャオ・ウェンハオ)
王 瀚(ウィリアム・ワン) 鮑国安(パオ・グオアン)

<感想など>(ラストの関するネタバレを含みます)
あらすじはDVD鑑賞時のレビューで書いたので省略。
DVDを観たから劇場鑑賞はもういいか、なんて思ったこともあったが、今回は行ってほんとうによかった。大画面で黄暁明を観られたのが第一の理由(笑)だが、ほかにもたくさんの収穫があった。

とにかくキャストがいい。
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「程勃」として育った趙武(王瀚、趙文浩)は、重厚な祖父趙盾(鮑国安)、剛毅で誠実な父趙朔(趙文卓)、聡明な荘姫(范冰冰)の血を明らかに受け継いでいると、断言できるような成長ぶりだった。さらに彼は、育ての親である程嬰(葛優)の細やかさや、屠岸賈(王學圻)の武勇をも、自身の血肉としているのがわかる。少年を演じた二人が溌剌としているのも、周囲を固めるベテラン勢が魅せてくれるのも、それぞれの相互作用なのかなと思った。

『運命の子』という邦題が最初は腑に落ちなかったが、だんだんその意味が浸透してきた。
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趙武は、義父屠岸賈に剣を向ける理由として「自分の身代わりになって死んだ程勃のため」と言う。このとき、彼は趙武と程勃の二人分を生きる運命を背負っていると思った。前半では程嬰の息子こそ≪亡くなる『運命の子』≫だと単純に解釈したが、趙武もまた『運命の子』なのだ。15年前、城内のすべての赤子が、彼を探し出すという理由で人質になった。趙武はその子たちの運命をも握っていたことになる。すべてを知った15歳は、すでに統率者の顔をしていた。

なお、DVD鑑賞の時は余計だと感じたラストが、今回は必要な部分だと思えた。屠岸賈の「死の苦しみを味わうがよい」、「我が子を差し出したことが親として最大の罪」(順不同)といった内容の台詞を受けての場面だと感じたからだ。とても重い言葉だった。程嬰は死の淵で亡き妻子を見る。しかし二人との距離はどんどん離れていく。これこそが屠岸賈の言う「苦しみ」、犯した「罪」の結果ではないか。彼は常に、いつか自分は殺されると思っていたのではないだろうか。死を意識していた屠岸賈らしい台詞だった。

今回は各人物の言葉が心にしみて、レビューを書いている今もなお残っている。

さて、終わってから何か忘れものをした気がしてきた。そうだ、韓厥(黄暁明)だ。彼はあれからどうしたんだろう…。どうでもいいと言う人もいるかもしれないが、私にとってはどうでもよくない。(笑)

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1911

20111107

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2011年/中国・香港/2時間3分(劇場で鑑賞)
総監督  成 龍(ジャッキー・チェン)
監 督  張 黎(チャン・リー)
原 題  辛亥革命 / Xinhai Revolution
出 演
成龍(ジャッキー・チェン) 趙文瑄(ウィンストン・チャオ)
李冰冰(リー・ビンビン)孫淳(スン・チュン)陳沖(ジョアン・チェン)
胡歌(フー・ゴー)寧靜(ニン・ジン)余少群(ユィ・シャオチュン)
王子文(ワン・ズーウェン)姜武(ジャン・ウー)黃志忠(ホァン・ジーチョン)
房祖名(ジェイシー・チャン)杜宇航(デニス・トー)梅婷(メイ・ティン)
     

<あらすじ>
20世紀初頭の中国清朝は衰退の一途をたどっていた。危機感を募らせる革命家たちは、孫文(趙文瑄)を中心に決起。1911年4月、孫文の右腕である黄興(成龍)は広州の総督府を襲撃するが、激しい銃撃戦で多くの仲間を失い敗退する。このとき彼を支えたのが後の妻、徐宗漢(李冰冰)だった。同年10月には湖南省武昌で再び革命の銃声が鳴り響く。清朝側は袁世凱(孫淳)に革命軍の鎮圧を要請。激しい戦いの中、各省は次々と独立していった。やがて孫文は選挙により中華民国の臨時大総統に就任する。このとき彼は、皇帝を退位させた者に大総統の地位を譲ることを宣言する。

<感想など>
ここ1~2年で、孫文を主人公とした作品を三作観たことになる。『孫文~百年先を見た男』、『孫文の義士団(ボディーガード&アサシンズ)』、そして今回の『1911』である。『孫文』と『1911』はともに趙文瑄が孫文を演じている。前者の孫文は白が映える引き締まった体型をしており、後者の彼は重厚で恰幅があった。孫文の思想を主としたこの二作品に対し『孫文の義士団』はアクション重視のエンタメ作品。鑑賞後に、そうした違いを考えるのは楽しいものだ。それぞれ雰囲気は異なるが、革命烈士に対する賛美の気持ち、革命家たちの「滅私」は大きな共通点だと思う。

最初に当時の状況を映し出す手法はわかりやすかった。列強諸国がじわじわと中国を侵食していく様子が頭に叩き込まれる。次は秋瑾(寧靜)が刑場に赴く場面。なるほど、秋瑾のキャラクターと寧靜は合っている、でも年齢が違うかなあと思いながらやつれメイクの彼女に見入る。導入部分が丁寧だったからか、集中力が途切れることはなかった。

黄興に孫文が付随している感覚になることがあった。前線で指揮を執る黄興の方が、海外を巡って説く孫文よりも強い印象を受けるのだ。実際、袁世凱に大総統の地位を譲ろうとする孫文を、黄興が強く非難した時、黄興の言の方に説得力を感じた。ジャッキー・チェンの演技自体に、凄みがあったことも、そう感じる一因かもしれない。もちろん、孫文になりきっている趙文瑄は、彼ならではの迫力に満ちて、主役の貫録十分である。二人は車の両輪だ。

革命側、朝廷側、そして袁世凱側の立場や関係性が細かく描かれており、歴史に対する真摯な姿勢がうかがわれる。だからこそ、もう少し予備知識を仕入れておくべきだった。人物名が表示されても、知った名はわずかである。徐宗漢、林覚民(胡歌)、張振武(房祖名)は、知っていればよかったと思った人物の一部。徐宗漢は革命家だったというが、映画の中では黄興の支えの立場しか描かれていないのが少し残念。

袁世凱は予想よりも可愛げがあった。(笑)思い描いていた彼は、もっと脂ぎって目がぎょろっとしていて、顔を背けたくなるような、嫌な人物である。皿の上にドカンと大きなお尻をのせるところや、息子をたたくところなどは、喜劇タッチに見え笑ってしまった。おそらく、今回描かれない第二革命以後で、いやらしさを存分に発揮してくれることだろう。(笑)

汪兆銘(余少群)の出番が少なかったのは残念。孫文と袁世凱との間で交渉する場面がちらっと出てきたが、存在感はあまりない。袁世凱が皇帝の退位を迫った背景に、汪兆銘の働きがあったのは確実なのだから、もう少し丁寧に描いてほしかった。線の細さも気になるところ。もっとも、売国奴扱いされた面があることから、こうした描写が精いっぱいなのかもしれない。

脇役で目についたのが、清国駐英大使の娘唐曼柔を演じた王子文。きっと孫文に惹かれたのだろう。父親のビンタを食らっても孫文をサポートする姿勢が健気で、つい応援したくなる。可愛らしい外見の中に、凛とした面が感じられて好印象だった。

隆裕皇太后(陳沖)と宣統帝溥儀が登場すると、やや息抜きができた。(笑)清朝の最期を看取った皇后とのことだが、悲壮感はない。屈託のない溥儀も同様。泣けば周囲がひれ伏す光景が何ともユーモラスだ。革命家や袁世凱に比べ、朝廷側が軽く描かれているのも特徴的。

「妻との決別書」と呼ばれる、林覚民から妻陳意映(梅婷)にあてた手紙の文字が、観終わった今も頭から離れない。書き手である林覚民は前半で姿を消してしまったが、彼の想いは最後まで貫かれていた。海辺ではしゃぐ革命家たちの姿は、今の若者と大して変わらない。その前半の光景がフラッシュバックする。

最後は、プロパガンダ的雰囲気の中で、昨今の情勢を念頭に、平和への希求が説かれていた。予想していた締めだった。

映像、音楽、ストーリー展開のいずれにも惹きつけられた。エンドロールで流れる歌は、歌詞をじっくりきこうという気持ちにさせてくれた。終わり方がややきれいすぎる感もあるけれど、こういう後味は好きだ。
私にとっては、今年のベストテンに入る作品だった。

新少林寺/SHAOLIN

20110802



2011年/香港・中国/2時間11分(劇場で鑑賞)
監 督  陳木勝(ベニー・チャン)
原 題  新少林寺
英 題  Shao Lin
出 演  
劉徳華 (アンディ・ラウ) 謝霆鋒(ニコラス・ツェー) 范冰冰 (ファン・ビンビン)
成龍 (ジャッキー・チェン) 呉京(ウー・ジン) 于海(ユー・ホイ)
熊欣欣(ホン・ヤンヤン) 余小群(ユィ・シャオチュン) 陳之輝(チェン・チーフイ)
釋延能(シー・イェンノン) 師小紅(シー・シャオホン) 島田瑠那

<はじめに>
試写会での鑑賞。開場30分前に到着したがすでに長蛇の列。まさか入れない、なんてことに…という心配は杞憂だった。外の蒸し暑さが嘘のように、中はヒンヤリして寒いくらい。最初隣席との間の狭さが気になったが、スクリーンに惹き込まれ、いつしか些細なことは忘れていた。11月の公開を待つつもりだったが、どうしても言いたいことが出てきて書くことに。

<序盤のあらすじ>
辛亥革命後、軍閥が割拠する中国。軍閥の司令官候杰(劉徳華)と部下の曹蛮(謝霆鋒)は、裏切り者の霍龍(陳之輝)を追って少林寺にやってくる。候杰は霍龍に対し「宝物のありかを示す地図を渡せば助命する」と言って彼が持っていた地図を奪うが、その言を翻し射殺。帰還した候杰は、結束を理由に、一人娘勝男(島田瑠那)を義兄宋虎(師小紅)の息子と婚約させる手筈を整える。しかし実は婚約式の席上で宋虎を暗殺することを企んでいた。その当日。候杰は合図後勝男と逃げるよう、妻顔夕(范冰冰)に指示。一方で曹蛮には兵の配備を命じていた。

<感想など>
陳之輝目当てだったので、何でまたこんなに早くいなくなるんだ~~??と、冒頭から落胆。錦衣衛のときとまったく同じではないか。(怒)惚れたきっかけはドラマでの丸刈り姿。それを思って密かに少林寺の僧侶役をキャスティングしていたのだけれど、「いまさら」な希望であった。(最初からわかってたんだけどねっ:笑)映画が終わるころ彼の存在をはっきりと覚えている人がどれだけいるだろう、と、前回と同じことを考えていた。

さて、ここで頭を切り替えて、と。
カンフー作品と言えば、その多くが勧善懲悪のストーリー。格闘後悪者が退治されるのがお決まりのコースだった。だから、今回のように悪事をはたらいた者が改心する話はとても斬新に思えた。その人物候杰が「悪人」だった時期はストーリー全体の半分以下だろうか。僧侶姿ばかりが印象に残り、終わってみると軍服姿の彼の記憶がほとんど消えていた。

こうした印象を与えるのも、改心の過程が丹念に描きこまれているからだと思う。かつて非道な行為をした少林寺に駆け込み、僧侶に娘の救命を懇願。それが叶わないとなると自暴自棄になり、妻からは因果応報だとなじられる。そんな彼が厨房を預かる悟道(成龍)との出会いを通して「人」となっていく。そして、最終的には彼を拒否していた僧侶たちに認められるまでになる。この一連の流れが性急ではないので、納得できる展開として脳裏に刻まれるのだろう。

正直のところ、残虐な場面、女性や子供にも容赦のない暴力には、目を覆いたくなった。それでも最後まで観ていられたのは、物語を貫く強い主旨と、時折挿入される笑いどころのおかげとも言えるだろうか。ジャッキー・チェン演じるシェフ(?)は、カンフーこそできないが意表をついて相手を倒してしまう。それも子どもの修行僧の命令に従って、である。そんな滑稽な姿が、先日観たばかりの『ラスト・ソルジャー』と重なった。候杰と一緒の場面では、主人公である彼を完全に食っていた。

出演者それぞれが深い印象を残している。
謝霆鋒については、役柄の非情さから『PROMISE』での白装束を思い出したが、本作品の彼にはあのひらひらした軽さはない。彼が裏切り者に転じた経緯も説得力がある。一体この狂気はいつまで続くのかと、暗い気持ちにさせられた。

于海、呉京、余小群、釋延能らが演じる僧侶は、それぞれの働きが明確で個性的に映る。特に呉京演じる浄能の最期が壮絶すぎて貧血になりそうだった。また曹蛮側につく最強の使い手(熊欣欣)も、悪人顔にインパクトがあって、かつての出演作が思い出された。

決して、からっとした気持ちの良いエンディングではない。
暴虐の限りを尽くす西洋人は放置されたままだ。
また、ある人物の犠牲のもと、尽きるはずだった命を与えられた者がいる。彼は今後、どのように生きていくのだろう。その眼は暗く、悲しげに光り、これまでに見せたことのない表情を作り出していた。彼が後半生を人として生きる道も、十分に考えられる。
現代の人間に対する警鐘、メッセージをも感じさせる作品だった。



ラスト・ソルジャー

20110717

dabingxiaojiang2.jpg

2010年/中国・香港/1時間35分(レンタルDVD)
監 督  丁 晟(ディン・シェン)
制作・総指揮  成 龍(ジャッキー・チェン)
原 案  成 龍(ジャッキー・チェン)
原 題  大兵小将
英 題  Little Big Soldier
出 演  成 龍(ジャッキー・チェン) 王力宏(ワン・リーホン) ユ・スンジュン
     杜玉明(ドゥ・ユィーミン) 林 鵬(リン・ポン) 徐冬梅(シュー・ドンメイ)
     晋 松(ジン・ソン) 王強宝(ワン・チアンバオ) 于栄光(ユィー・ロングアン)

<あらすじ>
戦国時代の中国。衛軍、梁軍は、死闘の末どちらも全滅状態になる。そんな中死んだふりをして生き残った衛の兵士(成龍)は、負傷した梁の将軍(王力宏)の捕縛に成功。敵の将軍を捕虜として梁に連れ帰れば褒美がもらえるのだ。こうして二人の珍道中が始まる。あるときは、美しい歌姫(林鵬)を助けるものの、彼女に眠り薬を飲まされる。またある時は強盗団に荷物すべてを奪われる。一方、梁国の公子(ユ・スンジュン)は衛兵(杜玉明)と共に兄の行方を捜していた。

<感想など>
兵士と将軍のやりとりが楽しめる。容貌も含め両者はすべてが対照的で、衝突が絶えない。時には傷口に塩を塗りこむようなことまでやる。しかし互いが互いを必要とするような関係性ものぞかせ、観ていて飽きない。

戦場での死を名誉と考える将軍に対し、兵士はどうやっても生きようと考える。文武共に秀でている将軍に対し、兵士の方は、腕は立たないし文字も読めない。強盗に襲われたときに兵士が将軍を「できのいい息子」と言ったように、どこから見ても将軍の方があか抜けている。

けれども、立場は兵士の方が上である。彼の生き方はほとんど父の教えに基づくものだ。特別な教育を受けてきた将軍よりも、自然と向き合って生きてきた兵士の方が、言葉に含蓄があって行動は実際的だ。将軍は彼から多くを学んだはず。原題『大兵小将』の意味が今更ながらよくわかった。

二人を付け狙うのが、衛国の公子と衛兵の一行である。この公子がまさに冷血な殺人鬼。衛兵に操られている彼は、衛国王の地位を狙っており、邪魔者である兄の暗殺を企んでいる。将軍が実は皇太子!なるほど、そういう顔立ちだ。このまま即位させたい気分!

兄弟が骨肉相争う仲となってしまったのは残念。ところ弟がコロッと変わってしまう出来事が起こる。少数民族の統領(晋松)が愛する人(徐冬梅)を殺され、かたき討ちに来るのだ。彼らが狙うのは弟である文公子。弟が危機に陥るのを見て、咄嗟に加勢する兄。「兄弟牆(かき)に鬩(せめ)げども外其の務(あなどり)を禦ぐ」(兄弟は家では喧嘩しても外では協力して敵に対抗する、という意味の諺)とはまさにこの状況。今までの兄弟げんかが嘘のよう。そして弟が思いもよらない行動に出る。

衛兵の死によって呪いが解けた、とでも言おうか。弟はまるで生き返ったように「仇である俺を殺せ」と言う。しかし統領は手を下すことができない。すると…
え~っ、何でそうなるの?これまで嫌な臭いを振りまいてきた弟だったが、最後の最後でグ~ンとイメージアップ。それまで顔を見る気もなかったが、よく見ればかなりのイケメンくん。韓流スターだったのね!!

最後の秦軍侵攻は蛇足だと思う。歴史説明もくどい。平和な生活が待っている、と思っていたところにあの場面で、正直がっかり。たとえ史実と大幅に違っても、心揺さぶられる別れの後、両国が一時的にも友好関係を保つような展開であってほしかった。

プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
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