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楽園の瑕 終極版

20130807

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2008年/香港/1時間34分(劇場で鑑賞)
監 督  王家衛(ウォン・カーウァイ)
原 題  東邪西毒:終極版
英 題  Ashes of Time Redux
出 演  張國榮(レスリー・チャン)梁家輝(レオン・カーファイ)
     梁朝偉(トニー・レオン) 張曼玉(マギー・チャン)
     林青霞(ブリジット・リン) 楊采妮(チャーリー・ヤン)
     劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 張學友(ジャッキー・チュン)

<内容・感想など>(ネタバレです)
一昔前1994年版のビデオ鑑賞時、前半から爆睡して気づいたらTVがジージー鳴っていた。巻き戻しての再鑑賞はなかったと思う。記憶にあるのはブリジット・リンの高らかな笑い声。あの頃彼女は憧れのお姉さま、だった。(今もだけど:笑)

今回の終極版を「王家衛(ウォン・カーウァイ)Special」で鑑賞した。行きの電車で十分睡眠をとったので態勢は万全。おかげで全編、目を見開いてついていくことができた!!忘れないうちにややこしい多角関係と人物背景を書いておこう。

歐陽峰(張國榮)
 殺し屋の元締め。かつての恋人(張曼玉)が兄嫁になっていた。
黄薬師(梁家輝)
 歐陽峰の旧友。息子を持つ一人の女性を愛する。
慕蓉燕(林青霞)
 黄薬師の友
慕蓉媛(林青霞)
 黄薬師を愛する。
盲目の剣士(梁朝偉)
 妻を残して流浪。馬賊の討伐を請け負う。
洪 七(張學友)
 馬賊を討ち妻と共に去る。
孤 女(楊采妮)
 卵とロバをかかえ弟の敵討ちを依頼。
桃 花(劉嘉玲)
 盲目の剣士の妻。黄薬師との仲を疑われる。

話の筋が語りからしかわからないので字幕から目を離せない。しかしその語りも推量調なので、結局事実かどうかは確信が持てない。例えば桃花の黄薬師への気持ちもあやふやだし、東邪西毒(歐陽峰と黄薬師)の関係もよくわからないままだ。でもそういう不明瞭さにも、どうでもいいという気持ちになる。むしろ筋を追うよりも画面を堪能したい作品だと思う。

一番印象的だったのはやはり慕蓉兄と妹。一人二役を演じて愛する人を亡きものにしたいほどの気持ちって何よ?と突っ込むと同時に、神秘的な林青霞に惚れ惚れした。林青霞といえば私にとっては「どんふぁんぶっばい(東方不敗)」。本作品を鑑賞しながら今度は「スウォーズマン」シリーズを!などと思いを巡らせていた。

歐陽峰については、TVドラマの2002年版射鵰英雄伝に登場するキャラ(俳優は尤勇)が大好きで、ドラマ鑑賞時、悪人、卑怯者の中に一分の情があるところに惹かれたものだ。張國榮が演じる歐陽峰はもちろんそれとは違うが、原作にはない若かりし頃の歐陽峰、という設定がとても興味深かった。自業自得とはいえ恋人が兄嫁になってしまい、孤独な中で元締めをやっている。刹那的な表情やしぐさが荒涼とした砂漠に合っていた。年齢を重ねた後の歐陽峰がうっすらと想像できる一方で、切なさも湧く。

惹きつけられた場面の一つは、桃花が馬のつややかな脇腹をなでる姿。彼女の手つきや馬の毛並みが艶めかしくて、「馬=夫あるいは黄薬師」という錯覚にとらわれた。結婚相手や恋人が流浪するとなったら、別れたも同然なのね…。執念を燃やして追ってきた妻もいたけれど。

結局は愛憎交錯する恋愛物語だったなあと、終わってから思った。恋の唐突感に多少戸惑ったが、人の気持ちって案外そういうものなのかも…と妙に納得。またまた不思議な後味だったが、結構爽やかだった。

妖魔伝~レザレクション~

20130722

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2012年/中国/2時間11分(劇場で鑑賞)
監 督  烏爾善(ウー・アールシャン)
原 題  画皮Ⅱ
英 題  Painted Skin
出 演  周 迅(ジョウ・シュン)趙 薇(ヴィッキー・チャオ)
     陳 坤(チェン・クン) 楊 幂(ヤン・ミー)
     馮紹峰(フォン・シャオフォン)費 翔 (クリス・フィリップス)

<あらすじ>
氷地獄の封印を解かれたキツネの妖魔小唯(周迅)は、人間の心臓を求めて彷徨う中、鎧に身を包んだ靖公主(趙薇)と出会う。靖公主は、辺境送りとなった元護衛の将軍霍心(陳坤)を追っていた。小唯は彼女の美しい心を感じとり、何とかその心臓を手に入れようと考える。靖公主には天狼国からの縁談があるが、想い人である霍心を忘れることなどできない。彼女は縁談の件を話し、彼の心を確かめようとする。

<感想など>(ラストに関してネタバレしています)
かなり前にDVD鑑賞した『画皮』はとっくに記憶の彼方。でもその時の趙薇と陳坤の役柄が頭に残っていて、その記憶が初めのうち邪魔になった。別ものとして観た方がいいかもしれない。

さて、妖怪ものを続けて観た(先日は『白蛇伝説』)が、今回の方が共感できた。先日の話は魑魅魍魎と人間との単なる悲恋で終わったが、今回は妖怪と人間の心の邂逅が細かく描かれており、かなりゾクゾクした。周迅、趙薇の妖艶かつスパークするような競演も見どころの一つ。その上、かつてはお坊ちゃまに見えた陳坤が、今回はずいぶん渋くなった。公主への想いを断ち切ろうとする苦しい表情に、しばし惹きつけられた。

どうしても人間になりたい妖魔と、愛する人のそばにいるために妖魔になりたい人間。両者の利害が一致するシーンを分岐点とすると、後半はかなり安直になってしまった感があった。人間と妖魔が互いの立場をよく理解し、気持ちをわかりあって、心が浄化されていく。こういう過程は心穏やかに見ることができる。ただ、妖魔の自己犠牲と人間のハッピーエンドという結末は予想通りで物足りない。かといってバッドエンドは辛い。(って、欲求不満の表れね:笑)

ところで妖魔研究家(馮紹峰)はなかなか面白いキャラクターだった。ラストをよ~くながめると、今までの波乱万丈は何だったの?…と、ちょっとアレレな気分だったが、彼がなかなかいい人だったのでこれでよしとする。またまたチェックすべき人物に巡り合ったのは収穫だった。(笑)

白蛇伝説~ホワイト・スネーク~

20130719

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2011年/中国・香港/1時間40分(レンタルDVD)
監 督  程小東(チン・シウトン)
原 題  白蛇傳説
英 題  THE SORCERER AND THE WHITE SNAKE
出 演
李連杰(ジェット・リー) 文 章(ウェン・チャン)
黄聖依(ホアン・シェンイー) 林 峯(レイモンド・ラム)
蔡卓妍(シャーリーン・チョイ) 徐若瑄(ビビアン・スー)

<あらすじ>
舞台は南宋時代の西湖のほとり。人間界に降りてきた蛇姉妹(黄聖依、蔡卓妍)が眼をつけたのは薬師の許仙(林峯)。妹の青蛇のいたずらによって溺れかけた許仙は姉の白蛇に助けられる。白蛇は白素貞と名乗り、相思相愛の二人はやがて結婚、幸せな日々を送っていた。しかし魑魅魍魎を退治している高僧の法海(李連杰)は、白素貞の正体を知り、両者を引き裂いてしまう。

<感想など>
暑い夏は妖怪もの!と単純な思いつきでレンタルしてみたが…。

白蛇伝と言えば杭州は西湖と雷峰塔。風光明媚な景色をほのかに期待したが、情緒的なイメージは皆無だった。すべてが同じ風景に見えてしまうのだ。VFXが多用されているからだろうか。人工的な画面はするりするりと目の前を流れていってしまう。

風景に比べると、それぞれのキャラクターはなかなか面白い。
蛇の姉妹は人魚姫。魑魅魍魎たちは吸血鬼。愛する二人はまるで「夕鶴」の与ひょうとつう。インターナショナルな白蛇伝となっている。極めつけは法海和尚。魑魅魍魎を退治する正義の味方、ではなくて、権力にしがみつく老僧に見えてしまった。なんだか愛し合う二人に嫉妬しているよう。制作側は決して悪人として描いているわけではないだろうが、彼の「阿弥陀仏」がなぜか偽善に聞こえてしまった。それに比べ弟子の能忍(文章)については、災難はあったが結果的に自分の人生を生きることになった点で共感できた。

結局人間と妖怪はどこの世でも結ばれないとわかった。妖怪が完全な人間になるか、能忍のように中途半端ながら妖怪になってしまうかの、どちらかなのね…。

今度、封印された白蛇目当てに雷峰塔を再訪してみようか。
許仙を呼ぶ声が聞こえてきたりして。おお、コワッ…(笑)

レジェンド・オブ・トレジャー 大武当 失われた七つの秘宝

20130701

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2012年/香港/1時間40分(劇場で鑑賞)
監 督  梁柏堅(パトリック・レオン)
原 題  大武当之天地密碼
出 演  趙文卓(チウ・マンチェク)樊少皇(ルイス・ファン)
     杜宇航(デニス・トー)徐 嬌(シュー・チャオ)
     楊 冪(ヤン・ミー)

<あらすじ>
1910年代の中華民国初期。考古学者で武術家の唐雲龍(趙文卓)は娘唐寧(徐嬌)と共に移住先のアメリカから帰郷、中国武術の本山、武当山を訪れる。目的は、寧の大会出場のほか、この地に隠されているとされる秘宝と神剣を手に入れることだ。彼は、先祖代々の家宝を探す天心(楊冪)と協力関係を築く中、いつしか惹かれあっていく。一方、道士たちをおさめる白龍(杜宇航)は、野望を胸に、雲龍と天心を追う。やがて唐寧は、道士の水合一(樊少皇)と決勝で戦うこととなる。

<感想など>
1500円一律料金とは…。チケットを買う時まで気づかなかった私。せっかくファーストディなのに~

カンフーアクション、ラブストーリー、メロドラマ…と、いろいろな味がてんこ盛り状態で、正直食傷気味である。その上肝心の物語は完全に破たん。(と感じるのは気のせいだろうか。)せっかくの豪華な布陣が実にもったいない!!そう思いつつ観続けたのは、前半のワクワク感、けなげな徐嬌ちゃん、それに衣装と舞い(カンフー)の優美さがあったからだ。

それに、舞台は湖北省、世界遺産の武当山である。現在も数百人ともいわれる道士たちが日々鍛錬を重ねている場所だ。険しい峰々が連なる中に、鮮やかな色彩が浮かび上がる。そんな荘厳な風景を目にするうちに、期待も膨らんでいく。

最初のうちは、父と娘が何かやってくれるのでは?と楽しみだった。洋装の二人は周囲と明らかに違うし、何より徐嬌ちゃんのレディの雰囲気に興味をそそられる。武闘大会の時は、本当は親に頼りたいのに、心配をかけたくな一心で「大丈夫」と小さく笑う。なんていい子なの!!こちらは完全に徐嬌ちゃんの味方となり、後は応援あるのみ、だ。(笑)

なお、彼女のお相手となる、樊少皇演じる若者があまりにも純粋すぎて、笑う場面ではないのに吹き出しそうになった。邪悪な白龍とは対照的な描き方だ。お宝の力でパワーアップを目論む白龍に対し、水合一の方は修練に熱心で親孝行。あまりにもできすぎた人間で気味が悪い。解説には「二人(水合一と唐寧)が惹かれあう」とあったが、いやいや、まだまだそういう気持ちの手前だろう。それを語るならパパの方だ。

さてそのパパ雲龍と天心のコンビネーションはなかなか面白かった。ワイヤーアクションなのだろう。まるでバレエで男性が女性をリフトするように、二人で宙を踊るような戦いぶりだ。強者同士では、背中で戸を破って崩れ落ちるシーンが多すぎて飽きてしまったが、二人一緒の動きは華麗で、新鮮な感覚があった。

ところで、これまで観たお宝さがしストーリーで印象深いのは、喜劇的要素が強くコミカルな話だったように思う。勧善懲悪ものでも両者の闘いの中では必ず笑いどころがあって、最後はオチがつく、というもの。一方、シリアスな物語の多くは、正義の名のもとに誰かが犠牲になるパターンで話が成立する。今回は、結果的に良すぎて呆気にとられた。もしかすると、当初予定されていた結末が、途中で変わったのでは?物語が展開するにつれて収拾がつかなくなって、超常現象をたくさん使って何でもアリにしてしまったとか…?

ありえないと思っていた「蘇り」さえアリなのだ。ならばみんなの願いをすべて叶え、究極のハッピーエンドにしてほしかった。唐寧ちゃんの想い人はどうしたのだろう。ダディの再婚はありえるのか…。いや、そんな些末にこだわるよりも、この4人で悪に立ち向かうチーム(ファミリー)を組むことにしました!という結末でいかがでしょうか。


グランド・マスター

20130612

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2013年/香港・中国・フランス/2時間3分(劇場で鑑賞)
監 督  王家衛(ウォン・カーウァイ)
原 題  一代宗師THE GRANDMASTER
出 演  梁朝偉(トニー・レオン)章子怡(チャン・ツィイー)
     張 震(チャン・チェン)王慶祥(ワン・チンシアン)
     趙本山(チャオ・ベンシャン)張 晋(マックス・チャン)
     ソン・ヘギョ  小瀋陽(シャオ・シェンヤン)
     
<あらすじ>
1936年、イップ・マン(梁朝偉)が住む佛山に、北方の武術家ゴン・パオセン(王慶祥)がやって来る。武術界の団結を願い、南方の武術を北に伝える人物を探すためだ。イップ・マンはゴン・パオセンとの一戦で勝ち、希望を託される。一方パオセンの娘ルオメイ(章子怡)は父の敗北が我慢ならない。イップ・マンに挑戦状を突きつけた彼女は僅差で勝利。二人は東北での再会を約束したが、日中戦争の勃発に阻まれる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含んでいます。)
いつものようにあらすじを書いてみたが、これは解説の受け売りである。観ただけでは書きようもない。実は1回目に思いっきり寝てしまい、再鑑賞でのレビューとなった。その間にパンフを読んで予備知識十分のはずなのに、まだまだあやふやなところが多い。

私にとっての王家衛作品は、好みが極端に二分する。好きなのは『花様年華』と『欲望の翼』。苦手なのは『2046』とか『恋する惑星』、『天使の涙』。刺激の強い光線や唐突感に弱いのかも。本作品はといえば、好きな部類に入る。情緒的な場面やゆったりした音色に、ちょっとくすぐられている気分。色彩(特に白!)も印象深い。

カンフーシーンでは、イップ・マンやルオメイの優美な舞い、カミソリ(張震)の切れ味鋭い動き、また、金楼で次々と披露される、武術家たちの一挙手一投足に魅了された。野望を露わにするマーサン(張晋)も見逃せない。再鑑賞ではすべてに釘づけだった。もしかすると観るごとに新たな発見があるかもしれない。

その「発見」の一つが章子怡。今まであまり関心がなかったが、今回初めてステキだと感じた。こんなお医者さんならかかってみたい。(笑)幅広い年齢をごく自然に演じているところがいい。特に終盤、やつれた顔を懸命に化粧してイップ・マンに会いに行く場面。真紅のルージュとくぼんだ目の周りが痛々しい。「好きだった」という告白は付け足しの感はあるが、彼女の口から出ると真実だと思える。今度は彼女の物語を観たい。

もしルオメイの物語を創るとすれば、一線天(カミソリ)の存在が欠かせない気がする。彼は今回、強烈な印象を残しながらイップ・マンとの絡みがなく完全な脇役だった。ではルオメイとはどんな関係だったのだろう。テロップにはただ二人が「知り合った」とだけあったが、いやいや、それだけではないだろう。(考えすぎ?)演じる張震は厳しい鍛錬を重ね、八極拳の中国大会で優勝したのだとか。ならばその映像も観たい。また、「白バラ理髪店」の動向も知りたい…。

こんなふうに、観ながら妄想を重ねてしまうから肝心の物語が疎かになってしまうのだ。(笑)

チャイニーズ・フェアリー・ストーリー

20121207

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2011年/香港・中国/2時間5分(レンタルDVD)
監 督  陳嘉上(ゴードン・チャン)
原 題  畫壁
出 演  鄧 超(ダン・チャオ) 孫 儷(スン・リー)
     閆 妮(イェン・ニー) 曾志偉(エリック・ツァン)
     安志杰(アンディ・オン) 鄭 爽(ジェン・シュアン)
     鄒兆龍(コリン・チョウ) 包貝尓(バオ・ベイアル)

<あらすじ>
書生の朱孝廉(鄧超)は、付き人後夏(包貝尓)と共に科挙の受験に向かう途中、山賊(鄒兆龍)に遭遇。3人は、不動和尚(曾志偉)が住職を務める古寺に転がり込む。朱孝廉は中に掛けてあった絵に疑問を持ち、奥の洞窟へと進む。すると、可愛らしい女性が倒れているのを発見。牡丹(鄭爽)というその仙女の案内で、彼は天上界に足を踏み入れる。そこは、姑姑(閆妮)と呼ばれる権力者が支配する、男子禁制の世界だった。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
古典『聊斎志異』中の「畫壁」を題材とした物語というが、古典らしい渋みはまったくなし。きらびやかな御殿、怪獣、親切な亀の親子、無数の艶めかしい美女、などなど、次から次へと珍しい光景が繰り広げられる。モノクロの山水画からは想像もできない、色とりどりの世界である。

そんな奇想天外な世界に、一人の純朴な男が迷い込む。恋とは全く無縁だった彼が、想い、想われ、真実の愛に目覚めていくという話だが、その想いがいまひとつ伝わってこない。最初は、彼を匿った罪で幽閉された牡丹を熱烈に愛しているようだったが、やがて、牡丹の身代わりになった芍薬(孫儷)の方が本命になる。その間、付き人や山賊まで天上界に転がり込んで、恋愛関係はどんどん複雑に。早く終わらないかなあ、と時計を見てしまった。

主人公目線なら彼の成長物語。ではその目線を権力者姑姑に移すとどうだろう。彼女はどうやら、昔恋愛で痛い目にあったため、苦しみのない世界を築こうとしたらしい。男子禁制とはいえ彼女に傅く男は存在する。でも仙女たちの恋愛はご法度だ。しかし権力を誇示するほど、孤独感は増すばかり。キンキン声とお化けメイクは浮世離れしているけれど、世の権力者との共通点は案外多いのではないだろうか。天上界を芍薬に託した場面は、まさに<政権交代>である。

和尚の<魔法>でみんな仲良くなりました、という結末。夢落ち(あるいは幻想?)とはずいぶん都合のいい展開だ。その<不思議>の世界を超えて、和尚と一緒になったはずの姑姑が「粋のいい姐さん」みたいな役柄で登場したら、もっと面白くなるだろうに。

なお、鑑賞目的の一人、安志杰の役柄(猫頭鷹)が気の毒でならない。彼が一途に愛するのは芍薬だが、彼女は書生一筋。思いがかなう可能性は限りなくゼロに近い。彼の寿命がどれだけあるのかは不詳だが、永遠とも思われる長い年月を、片想いで過ごさなければならないなんて、あまりにも可哀そうだ。こうやって書いていくうちに、作品からどんどん離れていく気がしてきた。

最後に。書生は無事科挙に合格できるだろうか。お勉強できるキャラには見えないが、一夜の経験が思わぬ能力を発揮させるかもね。

秋瑾 ~競雄女侠~

20121204

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2011年/香港・中国/1時間54分(レンタルDVD)
監 督  邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
原 題  The Woman Knight of Mirror Lake
中文題  競雄女侠・秋瑾
出 演
黄 奕(ホァン・イー) 杜宇航(デニス・トー) 黄秋生(アンソニー・ウォン)
鄭嘉頴(ケビン・チェン) 陳嘉桓(ローズ・チェン) 夏文汐(バット・ハー)
徐天佑(チョイ・ティンヤウ) 黄又南(ウォン・ヤウナム) 林 雪(ラム・シュ)
劉兆銘(ラウ・シウミン) 熊欣欣(ホン・ヤンヤン)

<あらすじ>
清朝末期。幼少から強い意志で文武に励んできた秋瑾(黄奕)も、結婚は親の意向に沿うこととなった。資産家の息子、王(鄭嘉頴)との間に二人の子が生まれたが、彼の放蕩癖に悩む日々が続く。やがて彼女は民衆の貧しさを見るにつれ、社会の変革を考えるようになる。後に単身日本に留学、光復会副会長の徐錫麟(杜宇航)と行動を共にして、革命活動を広げていく。やがて、秋瑾は徐錫麟から託された紹興の《大通学堂》で若者たちを訓練。徐錫麟は官僚に変装して武装蜂起の機会を狙っていた。

<感想など>(結末に関するネタバレあり)
何の予備知識もなく観始め、終盤あたりで『イップ・マン序章』出演者の顔ぶれが多いことに気づいた。黄奕、杜宇航、陳嘉桓、林雪。冒頭で瀕死の男が杜宇航とわかっていたら、もっと早く気づいたかも。『イップ・マン序章』を観たのは今年3月末だが、もうずいぶん昔のことのよう。今年はいつもより1年が長い。なぜだろう…

俳優陣はかなり豪華。
主演黄奕は、きりっとした〈女侠〉がよく似合っていた。だいぶ前のドラマで、特徴ある鼻にかかった声で男に甘える役柄を見たことがあり、その〈イヤな女〉がかなりはまっていたのを思い出す。両極の役柄を自分のものにできる役者だと思う。彼女が熊欣欣演じる役人との間で繰り広げられるバトルシーンは見どころの一つ。どう見ても熊欣欣の方に分があるが、果敢に挑む姿に惹きつけられた。

杜宇航は、前半はインテリの印象が強かった。いつ武術を披露してくれるのかと期待して待っていると、終盤、熊欣欣との一騎打ちで魅せてくれた。力で押していく熊欣欣と舞うような杜宇航のシーンに、しばらく映画のストーリーを忘れていた。

黄秋生演じる李鐘岳は、心では秋瑾の活動を応援しながらも、役人という立場で処刑を執り行い、後に自害してしまった人物。苦しい胸の内を表情で語る様子が印象深い。こうした清廉な人物の対極に、林雪演じる喜福のような小人物などもいて、役人の個性も色分けされて面白い。

物語はラストシーンに始まり、回想をつなげる形で進んでいく。その中で嬉しかったのは、秋瑾の和装や日本の街並みが綺麗だったこと。これまで、海外作品が描く日本の文化に違和感を覚えることが多かったからなおさらだ。秋瑾の思想、態度が一貫しているところもいい。ただ一つ、彼女の夫の描写には疑問が残る。最初チャラ男っぽかったのが、ある時を境に子供の面倒をよくみるマメなお父さんになっていた。いったいいつから?どうして?革命に身を投じる秋瑾に感化されたとか?最後は、自分が死んだら処刑された秋瑾と共に埋葬してほしいと、涙ながらに言う。「家族に恵まれながらあえて革命に生きた秋瑾」を、強く印象づける役割を果たしていると思った。

そのうち、杜宇航の弟子だという陳嘉桓の秋瑾もみてみたい。今回、武術も素晴らしかったが、何より走る姿がかっこよかった!

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアン・モンキー

20120812

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1993年/香港・台湾/1時間30分(レンタルDVD)
監 督  袁和平(ユエン・ウーピン)
原 題  少年黃飛鴻之鐵馬騮
英 題  Iron Monkey
出 演  甄子丹(ドニー・イェン)  于榮光(ユー・ロングァン)
     王静瑩(ジーン・ウォン) 曾思敏(ツァン・カーマン)
     任世官(ヤン・サイクーン) 袁信義(ユエン・シュンイー)
     李 輝(リー・ファイ) 

<あらすじ>
19世紀、清代の杭州。「鉄猿」(于榮光)と呼ばれる盗賊が指名手配されていた。彼は金持ちから金品を奪っては、民衆に分け与えているのだ。この土地に到着したばかりのウォン・ケイイン(甄子丹)、フェイフォン(曾思敏)父子は一斉取締りに遭い、フェイフォンは獄中に入れられてしまう。ケイインは息子を助けるため鉄猿と闘うが、鉄猿を英雄視する民衆は彼に冷たい。やがて、鉄猿の正体が百草堂の医師ヤンであること、住民が役人に搾取されていることを知ると、ケイインはヤンとともに立ち上がる。二人は、監督官ハンホン(任世官)の必殺技「金剛手」にさんざん苦しめられる。

<感想など>
中身の濃~い1時間半だった。久々に血沸き肉躍り、鑑賞後はすっきり爽やかな気分!勧善懲悪劇の中で、各登場人物のキャラクターがしっかりと描かれ、アクションシーンも盛りだくさん。サービスという点では今まで観た中のベストテン入りかな。そうだ、今度はそういう項目も考えてみよう!

今回の一押しは、于榮光演じる鉄猿君。于榮光といえば、私が見た範囲では悪役が多いのだが、このきりりとした正義の味方が一番似合っている気がする。何でもっと早く観なかったのだろう。アクションのキレも素晴らしく、容貌もステキ(なんて今まで思わなかったが)。かなり自分好み!(笑)

ケイイン、フェイフォン父子は本当の親子に見えた。顔つきだけでなく、正義感の強さ、茶目っ気、情の厚さに、共通するものを感じる。このコンビで続編もお願いしたいものだと思って調べてみると、な~んと、息子を演じた曾思敏は女の子というではないか!武術大会で腕を磨き、後に香港警察に所属したのだとか。あの子が世のために働いていると思うと、応援したくなる。

さて本筋に戻ろう。
はじめのうちヤンとシュウラン(王静瑩)の関係がよくわからなかった。師弟のようでもあり、兄妹のようでもある。娼婦だった彼女をヤンが身請けした過去シーンを見てからは、二人のさりげない表情が気になりだした。こういう控えめな愛情表現には好感が持てた。

本作の見どころは何といってもアクションシーン。強い男が二人がかりで悪者一人に挑む場面は、もちろん対決にほかならないのだが、三人の息の合った連係プレーに見えるのだ。最後、火の海に林立する柱での決選では、それぞれが幾度も落ちそうになる中、ぎりぎりのところでバランスを取りながらの攻防が繰り広げられる。

スクリーンで観たらもっともっと楽しめただろう。どこかで再上映してくれないかしら~ 


バタフライ・ラヴァーズ

20120701



2008年/香港/1時間42分(レンタルDVD)
監 督  馬楚成(ジングル・マ)
原 題  武侠梁祝/剣蝶
英 題  Butterfly Lovers
出 演  呉 尊(ウー・ズン) 蔡卓妌(シャーリーン・チョイ)
     胡 歌(フー・ゴー) 庾澄慶(ハーレム・ユー)
     狄 龍(ティ・ロン) 熊欣欣(ホン・ヤンヤン)
     邵 兵(シャオ・ビン)譚俊彥(ショーン・タム)

<あらすじ>
祝家の一人娘言之(蔡卓妌)は、武術修行のため男装して逍遙山を訪れる。そこで彼女を親身に世話してくれたのが師兄の梁仲山(呉尊)。彼女は彼に恋心を抱く。仲山も言之が女性と知ると、ますます愛情を募らせる。正式入門を許されて間もなく言之は帰郷。実家では幼馴染である馬承恩(胡歌)との婚礼準備が着々と進んでいた。仲山を想う言之は激しく抵抗、駆け落ちを試みるも失敗に終わる。承恩により両親(狄龍、李勤勤)は監禁され、彼女も屋敷に閉じ込められる。そんなとき逍遙山の草頭(庾澄慶)が仮死状態になる薬を言之に渡し、葬儀のとき解毒作用のある薬草を持って助けに行くと言う。ところが彼は間もなく殺され、婚礼の日、何も知らないまま彼女はその薬を飲む。言之死去の知らせに仲山は悲嘆にくれ、すぐさま馬の屋敷へと向かう。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
京劇でも演じられる『梁山泊と祝英台』を下敷きにした作品。同じ題材『永遠の恋人たち』(呉奇隆、揚釆妮主演)は記憶の彼方だが、悲劇だったことだけは覚えている。前半はコミカルに、後半はシリアスに進み、結局「あの世で一緒に」という筋書きは変わらない。肝心なラストは、前作同様インパクトがなく、しばらくたったら忘れてしまいそうだ。

とはいえ、主演の呉尊はよかった。特に魅力的なのが血管の浮き出た前腕部。ほっそりした顔からは想像できない太さ、逞しさ。コツンとぶつかってくる言之のおでこをやさしくはねかえしている。(好きなシーンだ:笑)体のキレもいい。矢が刺さっても剣で突かれても走り続け、敵に向かっていく仲山のファイトは、武侠もののお約束として楽しめた。

赤い提灯で彩られた馬承恩邸での闘いは、その色彩が幻想的な雰囲気を醸し出している。言之が横たわる真っ白な空間とは対照的だ。布団が血塗られる光景に、もはや生への望み薄し、という悲劇的結末が頭に浮かぶ。

仲山の宿敵、承恩が意外に脆くて残念だった。仲山が正義の人なら、承恩は狂気の人。もっともっと悪の道をひた走り、仲山と対極にいる存在でいてほしかった。最後の最後で諦めたのか、「医者を呼ぼうか」なんて間の抜けた台詞を吐いている。何が何でも言之の遺体(?)を奪い去ろうとする気迫があってもいいのではないか。

最後はファンタジーの世界だった。
穴の中に並ぶ二人に、弟子たちは土をかけ続ける。息を吹き返した言之に、なぜ彼らは気付かなかったのか~…なんてつぶやいてもしょうがないか。「あの世」は蝶の舞う桃源郷で、二人は幸せそうな表情を浮かべている。でもその前に、仲山に添うことを決意した言之の安らかな表情が、どうしても美しくは見えないのである。
「あの世で一緒に」というのは、舞台だからこそ映える展開のように思う。

ムーラン

20120624



2009年/香港・中国/1時間44分(レンタルDVD)
監 督  馬楚成(ジングル・マ)
原 題  花木蘭
英 題  Mulan
出 演  趙 薇(ヴィッキー・チャオ) 陳 坤(チェン・クン)
     胡 軍(フー・ジュン) 房祖名(ジェイシー・チェン)
     于榮光(ユー・ロングァン) 劉雨欣(リウ・ユィシン)
     李玖哲(ニッキー・リー) ヴィタス

<あらすじ>
5世紀半ば、南北朝の時代。柔然と領土争いを続ける北魏は、一世帯一人の兵役を課す。武術に長けるムーラン(趙薇)は病身の父(于榮光)に黙って男装し、戦場に赴く。それを知っているのは幼なじみのシャオフー(房祖名)だけだ。ある日盗難騒ぎで全員衣服を取るよう命令されたとき、ムーランは思わず名乗り出てしまう。これを機に副営長のウェンタイ(陳坤)にも素性を知られ、互いに意識するようになる。二人は次々と手柄を上げ共に昇進するが、恋心は押し殺したままだ。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
原典は中国の伝承文芸「木蘭従軍故事」。小説、戯曲、ドラマ化されており、ディズニーアニメでもよく知られているとのこと。

ムーランを知っていれば、男装がみえみえでも「お約束」だと割り切れるかもしれないが、初めての私には違和感があった。特に最初は、趙薇のつぶら過ぎる瞳や高い声が気になって仕方がなかった。でも徐々にその感覚は薄らいでいった。戦闘より、押し殺した恋愛感情の方を重視した物語だから、むしろ彼女の女性らしさが垣間見える方がいいのかも、と。

恋愛絡みの戦闘ものでは落胆することが多いが、これは違った。ある意味予想が大きくはずれたからだろう。画面を見つめながら考えていた展開は次の通り。

・ムーランは柔然のモンドゥ(胡軍)に捕まり結婚させられそうになるがそこへウェンタイが駆けつけ、モンドゥ×ウェンタイの大バトルとなる。
・ウェンタイ、ムーラン、柔然の姫(劉雨欣)の間のドロドロ三角関係。
・ウェンタイは生涯の大半が捕虜の身。年老いてようやくムーランと再会。

こんなふうに、いつものごとく想像はどんどん膨らんでいったが、いずれもすべてハズレだった。でも外れた気分はむしろ爽快だった。

兵は皆、身分証として顔が書かれた木札を持っている。将軍であるムーランとウェンタイは、戦死者の木札を川に水で洗い干すのが習慣となっている。いつも並んでいるのに距離をとる二人。恋愛が命取りになることは双方百も承知だ。互いに相手の気持ちを確かめようとする場面がいくつかあるが、いつも一方は頑なな態度を装って苦しい拒絶をする。この連続には見ている方も苦しくなる。

ムーランに立派な指揮官になってほしいと願うウェンタイは、重傷を負ったとき「自分が生きていてもムーランには死んだことにしておいてくれ」とシャオフーに頼み、身を隠して彼女の復活を待つ。また、劇的再会を果たした後のウェンタイは、ムーランを献身的に看護する。そして国のためを思い自ら人質を願い出るのである。ウェンタイは女子好みの理想像として描かれており、演じるチェン・クンに無関心だった自分でも心がぐらついた。(笑)

さてここからはムーランの、怒涛のウェンタイ救出劇が展開!!
そんな中あっけなかったのは、超悪役モンドゥ(胡軍)の最期。天龍八部の蕭峯をそのままワルにしたような胡軍には、これまでの「イイ人」をかなぐり捨てるほどの迫力があった。だからもっと見ていたかったが、その悪漢ぶりは目に余るものがあったから、あっさりといなくなってホッとしたのも事実。

ラストには不満も残るが、背景にムーランと柔然姫との絆が存在したことを考えれば、この結末しかないだろう。ならば、二人の女性の邂逅があってもいいのにと、またまた想像が膨らむ。他作品には想い合う男女が結ばれる展開もあるようで、そちらにも手を伸ばしてみたい。

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孔雀の森

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