ロスト・イン・北京 : 夢の国・亞洲文化宮

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ロスト・イン・北京

20120317



2007年/中国/1時間49分(レンタルDVD)
監 督  李 玉(リー・ユィー)
原 題  蘋果
英 題  Lost in Beijing
出 演  范冰冰(ファン・ビンビン)  梁家輝(レオン・カーファイ)
     佟大為(トン・ダーウェイ) 金燕鈴(エレイン・チン)

<あらすじ>
マッサージ店に勤める劉蘋果(范冰冰)は、泥酔して入り込んだ部屋で、社長の林東(梁家輝)に襲われてしまう。これを、外側で窓拭きをしていた彼女の夫、安坤(佟大為)が目撃、慰謝料を請求する。しばらくたって蘋果は妊娠。嬰児が林東の子と判明した場合の金銭授受契約を両家族間で交わし、林東はすっかり父親気分。やがて、生まれてきた男児は血液型判定で安坤の子とわかる。安坤は医者を買収して偽の血液型証明書を作成、契約通りの金額を手に入れる。大喜びの林東の陰で、彼の妻王梅(金燕鈴)の心は荒び、また安坤は父親の立場を徐々に意識し始める。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
過激なシーンや拝金主義の描写が物議をかもしたようだが、その詳細については他サイトにおまかせするとして、ここでは映画の内容を中心にみていきたい。

北京五輪前後の、人心の荒廃を描いた作品をいくつか思い出した。いずれにも社会背景が及ぼした影響を強く感じ、本作品も例外ではないと思う。でもそればかりではない。実質的な主人公、安坤の異常な執着心には、観終わった今も寒気がする。

彼の仕事は、美しい妻の監視目的だったのか。
蘋果が安坤に対し、自分の職場近辺をうろつくのを咎めるシーンがある。そのときは全く気にも留めなかったが、業務中の目撃場面で思い出し、単なる偶然ではないような気がしてきた。彼は日々、ビルの外側から妻の気配を感じようとしていたのではないだろうか。
彼にとって妻は愛玩する「モノ」だった。ところが彼女が自分の手を離れたと思い込むと、今度は「カネ」に執着する。

妻は夫に「人間」を求めるが、夫は妻を「道具」としかみていない。彼にとっての妻は、自分に快楽を与えるモノに過ぎなかった。美しい妻をおおっぴらに自慢できない不満も渦巻いていたことだろう。安坤のつるんとした顔の内側に、どうにもならない冷たさを感じて怖くなった。こういう人間は、時代が作り出したというより、もって生まれた性向と言った方が適切かもしれない。

そんな安坤に比べれば、林東の方がまだ人間味がある。終盤、傷ついた蘋果が胸に飛び込むシーンで、彼は彼女の背中を優しくたたいていた。もちろん、子どもの売買契約を結んだ彼を許す気はさらさらないが、まだ救いがあると思う。

王梅の存在感も大きい。
蘋果の痛ましさが前面に押し出された感があるが、実は林東の妻、王梅の苦しみの方がはるかに深い。彼女は親戚一同を前に嬰児を抱え、母親を演じなければならないのだ。子孫を残そうとする夫の執着心に沿うこと自体、彼女の限界を超えている。蘋果の横っ面をはたいた瞬間の顔は、鬼のようだった。

蘋果はこれから一人で男児を育てていくことになる。人間らしい子に育ってほしいと祈るばかりだ。

社会の闇を描こうとする意欲は伝わったが、作為的な感じは否めない
蘋果は後輩の不遇に怒り、勤務時間をはさんだ昼食でヤケ酒を飲む。こうして誤って寝込んで悲劇に巻き込まれるのだが、この一連の場面が不自然に感じられてならない。後に続く子ども売買契約のために、かなり手の込んだことをやっている、という印象である。
拝金主義や子孫への執着を問題視するのが目的なら、何もこうした映画でなくてもいいのでは?と思えてくる。

嫌いな作品ベスト・テンにも入ってしまいそうな作品だが、俳優たちの体当たり演技は称賛に値するだろう。佟大為の演じる屈折した人物は実に迫真的。以前もドラマで狂気をはらんだ人を演じる彼を見たことがあって、地味な顔だが胸に焼き付いた。范冰冰はいつもの美しさを全部封印してしまったかのよう。梁家輝はよくこの役柄をOKしたなあと思う。金燕鈴は凄まじくて見ていられないほどだった。

今度はこのメンバーで喜劇をお願いしたい。


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