ヤコブへの手紙 : 夢の国・亞洲文化宮

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ヤコブへの手紙

20120311



2009年/フィンランド/1時間15分(レンタルDVD)
監 督  クラウス・ハロ
原 題  POSTIA PAPPI JAAKOBILLE/LETTERS TO FATHER JAAKOB
出 演  カーリナ・ハザード  ヘイッキ・ノウシアイネン  
     ユッカ・ケイノネン 

<あらすじ>
1970年代のフィンランド。終身刑を言い渡されていたレイラ(カーリナ・ハザード)は、恩赦で12年間服役していた刑務所を出る。身寄りのない彼女は、ヤコブ(ヘイッキ・ノウシアイネン)という盲目の牧師の家で暮らすことになる。手紙を読み、代筆することを頼まれたレイラだったが、元々不本意だった彼女は来た手紙を捨ててしまう。郵便配達人(ユッカ・ケイノネン)も牧師宅には来なくなる。こうしてヤコブへの手紙は途絶え、差出人への返信ができなくなった彼は、意気消沈する。

<感想など>
蒼みがかった風景が印象に残る。ヤコブの家の中、草むら、どんよりとした空、教会の中。登場人物たちの顔も、周りの色を受けて蒼い。暗いが心静まる色だった。

レイラの罪状については最後まで明かされない。どんなに親切にされてもその気持ちに応えようとしないし、ヤコブを助けようともしない。これほどまでに人を拒否する心はどこからくるのか。彼女の過去を知りたい気持ちがどんどん募る。

ヤコブは盲目ながら身の回りのことはすべて自分でこなす。レイラにお茶を出しパンを切る動作も手慣れたもの。聖書の言葉もよどみなく口から出てくる。これは称賛に値すると思うのだが、レイラはそうは受け取らない。ヤコブが崇高であればあるほど、彼女は引いてしまうように見える。ヤコブの差出人に対する完璧ともいえる返答。差出人のヤコブに対する絶対的な信頼感。そんな状況にレイラはいらついている。

主な登場人物はレイラとヤコブ、そして郵便配達人の三人。あとの二人は出所後の彼女が接する人物だが、この二人が好対照。全面的にレイラを信頼しようとするヤコブと、彼女を見たとたん顔を引きつらせる郵便配達人。大柄で無愛想な外見がマイナスイメージを引き起こすのかもしれないが、それにしてもあの反応はオーバーだ。「信頼」する心の有りようが人によって全く違うことを思い知らされた。

ヤコブの生活は、レイラとの出会いで大きく変わったことになる。彼は差出人の悩みに応える義務があり、何もかも与える立場だと思っていた。けれども終盤で、それが与えられたものであると悟る。手紙が来なくなった真相ははっきりしないが、これがレイラとヤコブの距離をつめるきっかけとなったのは確かだ。神の導き、という概念が、自然に心に浮かぶ。
レイラは、自身の心を吐露するヤコブに初めて共感し、初めて人のためにできることをしたいという気持ちが芽生える。
レイラの告白シーンでは、彼女とともに思わず涙してしまった。どれほど長い間、本心を封印してきたのだろう。その長さと心の鎧、さらに彼女の今後を考えずにはいられなかった。

レイラの手に初めて触れたときのヤコブの表情が忘れられない。大きな掌、力強い腕力は、彼の想像の中にあっただろうか。彼の顔は、安堵と喜びに満ちていた。ヤコブは幸せな生涯を閉じたといえると思う。

75分という短い時間で、台詞も少なかったが、たくさんのメッセージを感じた作品だった。

trackback

ヤコブへの手紙 :虎猫の気まぐれシネマ日記

第82回アカデミー賞外国語映画部門フィンランド代表作品。その他,各国でたくさんの賞を受賞し,小品ながら多くの人の心に静かな感動を与えた作品。DVDで鑑賞。 ・・・・ほんとに静謐な作品だ。BGMは,まるで雨垂れのようにひそやかなピアノ曲のみ。そして主要登場人物?...

コメント

こんばんは

牧師をしている従兄弟にすすめられた作品です。
ヤコブと同業の従兄弟には,ヤコブの気持ちがよくわかるそうです・・・。
人の役に立ち,用いられているという自負心は
いつのまにか上から目線の傲慢さにつながることもあるけれど
そんなときに,自分の弱さや,他者を導くことによって
自分も癒され助けられているのだと気づかされると・・・・。

レイラが長年の封印を解いて
心の重荷を涙とともに下ろしたあのクライマックスシーンは
ほんとに観客の私たちも癒されました。
淡々と進んでいく物語がどうオチを迎えるのか・・・・
予想を裏切られた面もありましたがそこがまた感動でしたね。
非常に秀逸なヒューマンドラマだと思いました。

心に残る作品でした

ななさん、こんにちは♪
「人間はみな等しく救いを受ける方の立場」というななさんの
言葉にも、うなづいていた私です。
人は時と場合によって、与える側、受ける側になるわけですが、
どちらの立場にあっても謙虚でありたいなあと、今しみじみと
思っています。
従兄弟の方もヤコブと同じ牧師さんでいらっしゃるのですね。
そうした、登場人物と同業の方の言葉もまた、響いてきます。

レイラの最後の「代読」と、ヤコブ牧師が耳を傾け言葉を発する
シーンでは、両者の心の重なり合いに、こちらまで感極まって
しまいました。

>予想を裏切られた面もありましたがそこがまた感動でしたね。
ほんとうにそう思います。
私は、また手紙が届くようになり、レイラが代読する日常が
始まるものと思っていました。
余韻が続いていくラストだと思いました。
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いろいろな出会いを
大切に♪

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