ポエトリー アグネスの詩(うた) : 夢の国・亞洲文化宮

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ポエトリー アグネスの詩(うた)

20120304

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2010年/韓国/2時間19分(劇場で鑑賞)
監 督  イ・チャンドン
出 演  ユン・ジョンヒ  イ・ダウィット
     キム・ヒラ  アン・ネサン
     パク・ミョンシン

<あらすじ>
ミジャ(ユン・ジョンヒ)は釜山で働く娘に代わり、中学三年生の孫ジョンウク(イ・ダウィット)を育てている。ヘルパーとしてカン(キム・ヒラ)という老人の介護をするが、その収入でも生活は苦しい。ある日文化院で詩の講座があるのを知った彼女は、早速受講を始めるが、詩作の難しさを思い知る。そんな中、ジョンウクと彼の友人たちが、女子中学生の自殺に関与しているのを、遊び仲間の父親(アン・ネサン)たちから知らされる。話し合いの中で、亡くなった生徒の母親(パク・ミョンシン)に示談金を払うことに決まるが、彼女には分担額500万ウォン(約36万円)が用意できない。ミジャはその金を得るためある行動に出る。

<感想など>
事実を題材にした、非常に重い作品。「アグネス」が自殺した女子中学生の洗礼名であるとわかると、ミジャの詩作と「アグネス」との関わりを知りたくなった。
長丁場である139分も削りに削った結果だろう。行間にあふれる物語を、終わった今も考え続けている。

ミジャとジョンウクの住むアパートは狭くて散らかっている。彼女の仕事も重労働だ。認知症の告知を受け、孫の罪を知り、彼女の内面は怒涛が渦巻いているはずだ。けれどもミジャ自身はいつもお洒落で、物腰は優雅。詩作のために花を眺め鳥の囀りに耳を傾ける彼女は貴婦人然として、表面的には苦境をうかがい知ることはできない。そんなところに凛とした強さを感じるのである。

さまざまなテーマの中で、まず浮かび上がるのが父権の強さと傲慢さだ。一人の少女が複数の少年のレイプが原因で自殺。その罪は計り知れないほど重いはずなのに、父親たちはあまりにも安い示談金ですべてを解決しようとする。彼ら父親も、また学校側も、教育する立場でありながらその義務を忘れてしまっていることに怒りを禁じえない。
父親たちはミジャに対し、丁寧な言葉を使いながら心の中では嘲り、遺族である母親への説得役を押し付ける。彼らの妻たちはどうしているのだろう。夫に「お前は黙ってろ」とでも言われ沈黙を通すしかないのだろうか。

ドロドロとした物語の一方で、ミジャは懸命に詩作と向き合う。朗読会で発表される詩はいずれも秀作。ミジャは詩を発表した女性に秘訣を尋ねるが、その「言葉がツルツル出てくる」感覚が理解できない。彼女が、先生の話した内容を皆の前で語る場面では、認知症を発症しているとは思えないほど、確かな記憶力を披露していた。真摯に取り組む彼女は実に美しい。

ミジャは、亡き少女の足跡をたどろうとするかのように、彼女の写真を手に入れ、学校内の現場へ行き、さらに飛び降りたとされる橋の上まで行く。あの老人との行為には、示談金の件もあるだろうが、何より望まない相手との行為を追体験する、という意味も込められているようにも思え、吐き気がしてきた。

そこまで身を削る意味はどこにあるのだろう…。と思っているうちに、詩と事件の経緯とが、一本の線になっていく。

物語はいくつもの疑問を残して終わる。
ミジャは詩作教室で幼児体験を涙ながらに語り始めるが、あの続きはどうなっているのだろう。
彼女は今までどんな人生を送ってきたのだろう。孫の友人の父親に語ったように「波乱万丈」だったのだろうか。
娘との関係は周囲に話すような「仲良し」なのだろうか。
孫が警官に連れて行かれた時、詩人は「ミジャ」だったのか。それとも「アグネス」だったのか。

草木のざわめきや鳥の囀り、子供たちの声が流れるエンドロールだった。思い返せば全編に音楽はなかった。感じなさい!という詩作教室の先生の声が聞こえてくるようだ。

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