黄色い星の子供たち : 夢の国・亞洲文化宮

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黄色い星の子供たち

20120208

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2010年/フランス・ドイツ・ハンガリー/2時間5分(レンタルDVD)
監 督  ローズ・ボッシュ
原 題  La Rafle
英 題  The Round Up
出 演  メラニー・ロラン  ジャン・レノ
     ガド・エルマレ  ラファエル・アゴゲ
     ユーゴ・ルヴェル  オリヴィエ・シヴィ
        
<あらすじ>
1942年のフランス。ユダヤ人のジョー(ユーゴ・ルヴェル)は両親(ガド・エルマレ、ラファエル・アゴゲ)、2人の姉と共にアパートでつつましく暮らしていた。近所に住むシモン(オリヴィエ・シヴィ)や彼の弟ノノと毎日元気に遊ぶ一方、勉強も頑張り、充実した日々を過ごしていた。しかしある日突然警察により、彼らを含む1万3000人ものユダヤ人が一斉検挙される(ヴェル・ディブ事件)。ジョーたちが移送された冬季競技場の環境は劣悪で、ユダヤ人医師、シェインバウム(ジャン・レノ)や赤十字から派遣された看護師アネット(メラニー・ロラン)が病人の治療にあたったが、死者は増える一方だった。彼らにはさらに過酷な運命が待っていた。

<感想など>
「黄色い星」とはユダヤ人がつけることを強制された星型ワッペンのこと。様々な施設への出入りを規制するための印だときくと暗澹たる気持ちになる。しかし冒頭の「黄色い星」をつけた子供たちに、暗さは微塵もない。ジョーの父親は、むしろユダヤ人であることを隠さない方が身のためだと言う。他国で辛酸をなめた彼からみれば、フランスは人権の国であり、身の危険はないと信じているのだ。ところがそのフランスに、彼らは裏切られることとなる。

第二次世界大戦中の一時期、フランスがナチスの支配下にあったのは知っていたが、フランス(ヴィシー政権)がユダヤ人を検挙したことは全く知らなかった。フランス政府がこの事実を認めたのが1995年で、それまではナチスドイツによる迫害だととらえられていたという。元ジャーナリストの監督が3年の月日をかけて準備したというだけあって、説得力のある映像が続く。

彼らが生活していたコミュニティでは、民族の別なく自然なご近所づきあいが行われていた。ユダヤ人に対する規制が厳しくなっていくと、そのコミュニティが崩れ出し、彼らと親しくしているフランス人もまた、憤りを露わにする。この時代、政権を執る者ではなく、庶民の方が人権に対して敏感だったのは、当然と言えば当然か。危険と知りながら検挙を知らせた人々の勇気にも、頭が下がる。

物語の核にはその「勇気」がある。
看護師のアネットや、自らも検挙されている医師、シェインバウムは、いずれも献身的だ。生来の正義感や人道的な考えに加え、互いの存在が、行動力の源泉になっているようにも見えた。特に、アネットは自分のやつれた姿を知事に見せて、食料の増量を嘆願したり、高熱にもかかわらず子供たちの世話をしたりする。
また、最初の検挙を逃れた少女は、家族への差し入れを強制収容所の有刺鉄線越しに渡す。
ジョーの母は、息子に「何があっても生きろ」と身体を張って言う。ジョーは母の「遺言」を実行に移す。

前半ではやんちゃな姿が印象的だったジョーも、物語が進むにつれ表情に翳りが見え始める。強制収容所の監視員に対する眼は怒りに燃え、理不尽に憤然とする姿がりりしく映る。脱走を決意して、親友と別れる場面では、その親友シモンのジョーに向かって弱々しく振る手のひらが、いつまでも頭の中でひらひらして、やりきれない思いだった。

もっと切ないのは、猛然とダッシュするノノの姿。母親の死を知らない彼は、いい子にしていれば母親に会えると信じ、強制収容所から移送されるトラックに向け、一番乗りで駆けつける。けれども出発の時に、心のよりどころであるアネットの姿がない。再会したのは終戦後だったが、その時の彼は言葉も表情も失ってしまったかのようだった。

ジョー少年は実在の人物。昨年、そのジョセフ・ヴァイスマン氏(80歳)が来日し、若者を前に体験を話す場もあったとのこと。過去の過ちを伝える役目が、若い人々の間に広がっていくことが大事なのだと思う。と言う自分も戦争を知らない世代。ヴァイスマン氏と同年代の母が、昔まだ子供だった私に戦時中の苦労を話したことがあったが、私の方は「またか」という感じで真剣に聞いていなかった。今度ちゃんとききに行こう。

trackback

黄色い星の子供たち :虎猫の気まぐれシネマ日記

ナチス・ドイツ時代のフランス,親独政策をとったヴィシー政権のもと,1942年に起きたヴェル・ディヴ事件(ユダヤ人大量検挙事件)について,生存者の証言を基に製作された真実の物語。自由と啓蒙,人権を謳ってきたフランスが,自国に住むユダヤ人をドイツに引き渡し?...

コメント

ご覧になりましたね

この作品は,この史実を世に知らしめたという点で
大きな価値があると思います。
ナチスのホロコーストってきっとこんな風に
「知られていない悲劇や罪」が山ほどあるんじゃないかしら。
この事件はフランス政府が自分の迫害をナチスのせいにしていたけど
少し前のアンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」事件は
スターリンのポーランド将校たちの惨殺を,ナチのせいにしていたものでしたし。
映画によってはっきりと詳しく知ることのできた史実ってありますよね。

>物語の核にはその「勇気」がある。
酷い事件だったけど,決してそれだけを声高に訴えたかったのはなく
その中で勇気や愛や倫理観を失わずに行動した市井の人々の姿を
監督は一番描きたかったのでしょうね。

歴史を知りたい、という思いがフツフツと。

ななさん、こんばんは♪
「サラの鍵」「カティンの森」、いずれもいつか観たいです。
また「縞模様のパジャマの少年」は鑑賞したのですがレビューには
書いていません。
ななさんはご覧になっていますね。再鑑賞したらうかがいます♪

>映画によってはっきりと詳しく知ることのできた史実ってありますよね。
確かに。やはり映像の効果は大きいですね。
これを機に、他の地域に興味を持ったり、関係書籍を見つけたりと、
視野を広げていきたいものだと思いました。

>勇気や愛や倫理観を失わずに行動した市井の人々の姿を
監督は一番描きたかったのでしょうね。
そうした視点が、より大きな感動につながっているのですね。
こうした市井の人々と、特権を享受する人々との対比もまた、
印象に残ります。

ところで、短時間ですがヒトラーの姿が映し出されていたとき、
誰かが物まねをやっているのだと思ってしまいました。
序盤でジョーがやっていた物まねとつながってしまって。
あの物まねシーンを思い出すと複雑な気持ちになります。

今年は例年に比べ洋画の鑑賞が多くなる予感がします。
でもブログタイトルはこのままでよろしく!です♪
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大切に♪

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