冬に生まれて : 夢の国・亞洲文化宮

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冬に生まれて

20111205

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2008年/中国/2時間30分(中国インディペンデント映画祭2011で鑑賞)
監 督  楊 瑾(ヤン・ジン)
原 題  二 冬
出 演  白李軍(バイ・リージュン) 楊明娟(ヤン・ミンジュエン)

<あらすじ>
アルトン(白李軍)は母親との二人暮らし。学校へは行かず、けんかしたり、恐喝したり、また銃を持ち出したりと、トラブル続きだ。困り果てた母親は、とうとう彼を教会学校に入学させる。アルトンはそこでハンダづけを覚え、手に職をつけるかに見えたが、何度も校則を破って退学させられる。最後の日、同級生のチャンオー(楊明娟)に駆け落ちをもちかけると、彼女はすんなりと同意。バイクを売り、家を借りて、二人は同棲を始める。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます)
この話、人ごとではない。従兄がアルトンと似た境遇にあるからだ。三十数年前、祖母の葬儀に婚約者と参列していた彼には、それ以来会っていない。三十三回忌では名前すら出なかった。彼を育てた両親(私の伯父伯母)も九十歳に近い。彼は今どうしているのだろう。ラストで遠ざかるアルトンの背中に、従兄の姿が重なるのである。

アルトンの母親は手を尽くしていると思う。教会学校に入れたのも、息子のためを考えて出した結論だ。しかし「親の心子知らず」である。この時点ではまだ二人の関係が明かされないのでわからないが、後になって思うに、彼はこの時、再び捨てられたと感じたのではないだろうか。

教会学校の校長に対し、アルトンははっきりと信仰はないと言う。私にはこれが母親に対する複雑な気持ちの表れと思えてならない。息子を教会学校に入れる決断は、すべて彼女の信仰にゆだねられている。彼女が敬虔であればあるほど、彼は信仰から遠ざかっていく。アルトンは遅かれ早かれ出奔する運命にあったのではないか。

二人の同棲、チャンオーの妊娠が、周囲の強い反感を買わず、むしろ応援されている点は意外だった。結婚、出産の過程にも、障害はほとんど見られない。両家がクリスチャンという共通点によるのだろうか。その一方で、アルトンには重圧がかかる。かつてつき従っていた仲間や、苛めていた輩に、頭を下げなければならない立場となる。彼とすれば凋落と言えようか。

彼は、父親になって初めて自分の出自を母に問いただす。そしてついに、妻子を連れて故郷を去ってしまう。この時は、夫についていく妻の気持ちがわからなかった。でも後になって、ふと、作品の中で読まれた聖書の一文が頭をよぎった。それは、アダムの肋骨の一本からイヴがつくられた、という内容だった。彼女はその肋骨のように、男に従属する運命にあるのか、というのは想像のし過ぎだろうか。私は信仰を持っておらず、考えが及ばないところは多々あると思う。
監督自身は、どんな気持ちで信仰を取り上げたのだろう。Q&Aできけばよかった、と今になって後悔している。

そのQ&Aで、夫婦を演じた二人は元夫婦で子どももいると聞いてびっくり。そして主人公を演じた役者にはオファーも来ているとのこと。映画の続編が想像できてしまうような、実生活ストーリーに、不思議な感覚をおぼえた。こうした映画祭でなければ鑑賞できない作品だと、今あらためて思う。


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