県庁おもてなし課 : 夢の国・亞洲文化宮

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県庁おもてなし課

20110908

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著 者:有川 浩
出版社: 角川書店
刊行年: 2011年6月(7刷)

<あらすじ>
高知県庁のおもてなし課に勤務する掛水史貴は、入庁3年目の25歳。観光特使を依頼した作家、吉門喬介から質問メールを受け取ってから、彼の窓口的役割を担うようになる。吉門のアドバイスにより、おもてなし課の民間スタッフとして明神多紀を採用。さらに、かつて『パンダ誘致論』が原因で県庁を辞した清遠和政を紹介される。掛水は多紀と共に、清遠と吉門から様々なことを学び、高知県の観光活性化に向け奔走する。

<感想など>
高知の観光情報、観光論には興味津々、物語にはワクワクドキドキで、お得感あふれる一冊だ。高知を旅行先に考えたことはなかったが、これを読んだら急に行きたくなってきた。観光論については、著者も述べるように、論文だとなかなか頭に入らない内容が、登場人物の言葉に置き換えたことでよく理解できるのかも。そして、若者たちの成長が見えるところがいい。巻末の対談や各地のPRも、観光を知り、物語を楽しむ好材料である。

掛水、多紀、吉門、佐和、清遠の5人が柱となっている。掛水は県庁にUターン就職。多紀は短大卒業後県庁でアルバイト。吉門は高知出身の流行作家。清遠は民宿経営兼観光コンサルタント。佐和は清遠の娘で民宿を切り盛りしている。立場も意見もいろいろの面々だが、一致しているのは高知県を愛していて、その振興を願っていることだ。

掛水は吉門、清遠から民間感覚をたたき込まれる。彼の成長の源は謙虚さと粘り強さと言えようか。吉門のような苦言に対しては腰が引けてしまう人が多いのだろうが、掛水は吉門から学ぼうと、貪欲な態度を見せる。佐和から水を掛けられても、平手打ちを食らっても(狂暴すぎる:笑)あきらめない、その根性が素晴らしい。目標とする人、清遠の存在は大きいと思う。清遠とのやり取りの中で、職務を越えた自分の生き方を模索している様子が伝わってくる。もちろん意中の人の影響も大きい。(笑)

多紀はその年齢(22歳)にしてはしっかりしている。おもてなし課のスタッフとなってからは民間に勤務する父親からアドバイスをもらったと言うし、自分なりの意見もある。これほどの人材でも就職難だという、厳しい現状を伝えるのにぴったりのキャラクターだ。

吉門の言葉には著者の気持ちが反映されているのだろう。高知県から観光特使を依頼されながら音沙汰なしだった、自身の体験をもとにしているという。愚痴の一つで終わってしまいそうな出来事を小説化するとは、ネタを掘り起こす才能を思わずにはいられない。出版社や作家の事情、パンフレットのレイアウトまで、具体的な事情が描かれ、実際の現場を見ているようだ。

有川作品だからまた甘い展開が待っていてくれているだろう、と期待しながら読み進めた。しかしその兆候はあっても、なかなか進展が見えてこない。ちょっと、いつまで小学生のレンアイしてんのよ!と茶々を入れたくなるほどもどかしい。でも、彼らが成長しないと結果は出ないかなと、途中で視点を転換、見守ることにした。

もう一組の男女については、その関係性は複雑ながら結果は予想通り。彼の申し出、彼女の反応、そして父がニンマリするまでの一連の流れは、テンポがいい。すごくいい。(笑)まさに小説の世界である。超現実的な仕事の世界と、虚構の人間模様。そのギャップが快感!

最初吉門が電話した相手が掛水だったからこそのサクセス・ストーリー。出会いというのは本当に運命的だ。掛水にその意識は全くないが、吉門の本音をくすぐったのは間違いなく彼。また、掛水の熱弁は、最初の『パンダ誘致論』の語調にそっくり。2年後の5人は、仕事関係者でありながらファミリーのよう!

お役所事情を鋭く斬った物語で、高知県庁にとっては痛い話に違いない。でも地元新聞での連載実現ということで、かえって好感度UPにつながったのではないか。

さあ、続編が楽しみになってきた。(笑)でも有川さんが書いてくれるかどうかは、今後の高知県にかかっている?

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「県庁おもてなし課」 有川浩 :TK.blog

『県庁おもてなし課』    著者:有川浩  出版社:角川グループパブリッシング <簡単なあらすじ> 高知県庁観光部に観光発展のための「おもてなし課」が発足。40歳の課長:下元のもと...

コメント

我が街出身の作家さんにもこんな本を書いて欲しいなー☆

孔雀の森さん、こんにちは!
有川さんの本が読みたくてこの本を読んだのに、読み終えたらなぜか
高知県に興味を持ち行ってみたいと思ってしまうという…。
この本を読んだ読書にがっつりと高知県観光をアピールし、
「高知県に旅行もいいかも♪」という考えを植え付けましたねw

このパターンの本を47都道府県作ってくれると面白いかも。
もちろんそれぞれの都道府県出身の有名作家さんに書いてもらうのがベスト。
シリーズ化したら敵の「るるぶ」に近づくのも夢じゃない(笑)?

勝てるんじゃない?

TKATさん、こんばんは♪

>このパターンの本を47都道府県作ってくれると面白いかも。
読みた~い!!
まさに「競作」になりそうですね~
物語も、その土地に対する視点も、かなり強烈にアピールしてきそう!
「るるぶ」に勝てるよう、頑張ってほしいワ(笑)

私はよく、ハイカーの方々に道をきかれます。
いつも「あちらですよ~」というごく普通の返答なのですが、
「お天気でよかったですね」といった一言を付け加えれば、
この土地の印象もよく映るかも~と、今思いました。
これが「おもてなし」なんだなあ、なんてね。(笑)

よく行くスーパーの近くに「スポット」があって、パンフにも
載っていることがわかりました。
「何でこんなところが…」と思うのですが、今度写真を撮りに
行こうかな。意外に新しい発見があったりして。
私も我が街の探険に行ってこようと思います。
ただし、観光地と言ってもほとんどが山岳なのよ。気合が必要だぁ!(笑)
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