サンザシの樹の下で : 夢の国・亞洲文化宮

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サンザシの樹の下で

20110712

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2010年/中国/1時間53分(劇場で鑑賞)
監 督  張芸謀(チャン・イーモウ)
原 題  山楂樹之恋
英 題  Under the Hawthorn Tree
原 作  『山楂樹之恋』(艾米:エイミー)
出 演  周冬雨(チョウ・ドンユィ) 竇 驍(ショーン・ドゥ)
     奚美娟(シー・メイチュアン)李雪健(リー・シュエジエン)
     孫海英(スン・ハイイン) 呂麗萍(ルー・リーピン)
    
<あらすじ>
文化大革命の時期。ジンチュウ(周冬雨)たち街の高校生は農村に派遣され、村史編纂に携わる。彼女が宿泊したのは村長(李雪健)の家だった。この家には地質調査隊に所属するスン(竇驍)という青年がたびたび出入りしており、「老三」(三男)の愛称で親しまれている。ジンチュウとスンは徐々に親しくなり、ジンチュウが街に帰ってからも二人は秘かに会っていた。しかしあるとき母(奚美娟)に見つかり、交際を禁じられてしまう。迫害を受けている一家にとって、男女交際は命取りになる。ジンチュウが就職できなかったら一家の生計はますます苦しくなるのだ。

<感想など>
原作の見どころをそのまま映像化したらR指定になるだろう。そんな思いを抱きながら観始めたが、主役のあまりにも幼い表情から「キスさえないかも」と予想。実際その通りだった。でも微妙な距離感が、かえって観る者の心をくすぐる。二人の切ない感情と風景の淡い色合いが溶け合って、甘味と苦みと痛みが胸に広がった。

物語の根幹は、ジンチュウのスンに対する感情の紆余曲折にあると思う。アコーディオンの音色を聴いたときのときめきや、万年筆をあげると言われたときの複雑な気持ち。婚約者がいると知ったときの嫉妬心と、これが杞憂とわかったときのはりさけそうな想い。逢瀬がばれたら一大事と警戒しながらも、彼の出現を待ちわびているときのドキドキ感。スクリーンから彼女の心臓の音が聴こえてくるようだ。

神出鬼没のスンが、時にはストーカーにも見えてしまうが、これは彼の必死な気持ちの表れだろう。ジンチュウはスンという太陽の光を浴びてどんどん明るくなっていく。「政策が変わるかもしれない」という前向きな言葉は、彼からの受け売りだ。彼女の未来に希望の灯がともる、と思ったのもつかの間だった。

人々の服装や、歌と踊り、ジンチュウの母が携わる袋づくりの内職の様子などを通して、文革の背景が映し出される。おそらくかなりリアルに再現したのだろう。丸メガネをかけた母親はやせ細り、苦境がにじみ出ている。彼女と対照的なのが、呂麗萍演じる、ジンチュウの友人の母親だ。娘が妊娠、中絶したのを知り、病院の待合室で喚き散らす。感情を抑える者と爆発させる者。疲弊していく社会の一端を見た思いだ。

サンザシが象徴的に使われている。サンザシの木の下には抗日戦争の英雄が葬られ、赤い花が咲くというエピソード。スンが持ってきたサンザシの実や、洗面器の底に描かれたサンザシの絵。そしてジンチュウの真っ赤なジャケット。映画全体は地味な配色の印象が強いが、このサンザシの赤だけは別の次元に配されているような印象を持った。

二人ともすっきりした顔立ちで背筋がピンと伸びている。役者、役柄の両方に存在する、まっすぐな気持ちの表れと感じた。これから、よい作品に出演してどんどん活躍してほしい。

trackback

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サンザシの樹の下で :虎猫の気まぐれシネマ日記

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コメント

スン、神出鬼没でしたよね。(笑)

孔雀の森さん、こんにちは。
夕べ感想を書き終えて力尽きてしまい、TBに伺うのは明日にしようと思っていたら
先にコメント(&TB)をいただいてしまいました~。
先を越されました!(笑)
孔雀の森さんはもしや原作を読まれているのですね?
映画ではこれぞ純愛!というストーリーでしたが原作では少々違うのかしら。
ちょっと原作に興味が沸いてきてしまいました。(笑)
私は主人公の2人の清清しさにばかり眼がいってしまいましたが
孔雀の森さんのおっしゃる通りジンチュウのスンに対する
気持ちの微妙な移り変わりこそがこの作品の一番の見所でしたね。
大抜擢とはいえ新人でここまでその微妙な気持ちを演じ分けた
周冬雨は素晴らしい。
ところで母親がジンチュウのおでこから鼻をさわってあることを確かめるシーンがありましたよね。
あれでどうやってわかるの!?とものすごく興味津々な私でした。(笑)

子供たち、かわいかったですね♪

sabunoriさん、こんにちは♪
早起きしてsabunoriさんのお部屋にお邪魔したら、ジンチュウとスンの
二人が目に飛び込んできたので、嬉しくなって即コメントしてしまいました!
母親がジンチュウのおでこから鼻をなでるシーン。
私もそんなのでわかるか~と思いました。原作を読み返しましたが、
どうもそういう場面は見当たりません。

原作も純愛です。(純愛の定義は人それぞれでしょうが私はそう思います)
ジンチュウが男女の営みの何たるかをはっきり知るまでの過程が
リアルに描かれており、これによってスンのポイントがグンと
高くなりました。(曖昧な書き方でごめんなさい)
もう、是非是非読んでいただきたいわ!
映画ではジンチュウがメインだからか、スンがはっきり描かれていない
印象があって、ちょっと不満。(笑)

おっしゃるように『山の郵便配達』で鮮烈なデビューを果たした
劉を思い出しますね!
ショーン・ドゥ君はいろいろな役柄ができそうな気がしますが、
劉同様悪役もやるようになるのかしら。
周冬雨ちゃんは、しばらくはこのままでいてね。(笑)
二人ともこれに続く作品に出演しているようですね。チェックしていきたいです。

子供たちがとてもかわいくて、思わず笑ってしまうシーンもありましたね。
そして私が思わずハンカチを取り出したのは、ジンチュウが自分の名を
何回も叫んでいるところでした。
天井の写真にも涙です。日々彼があの写真を眺めている姿を思い浮かべると、
今もじわっときてしまいます。

ジンチュウのその後も観てみたいですね!

No title

こんばんは!
2012年に初めて観た中国映画はこれです!
いやいや,なんでしょね,この初々しいラブストーリーは。
年甲斐もなく心が震えてしまいました。
こんな恋愛,ぜったい今の日本じゃお目にかかれないから
余計に感動したのかなぁ。
厳しい規制があった時代や国であるからこそ
想いは一途に強靭になるのかな。

この一途さや難病で片方が逝っちゃうとこなんかは
ほんとにベタなんですけど
さすがイーモウ監督,なぜか格調高く感動ものになってる。
主演のお二人もいいですよね。
ショーン君はたしかに・・・リウ・イエタイプかな。
ふたりともこれからの活躍が期待ですね。


No title

ななさん、こんにちは♪
たしかにベタ。でもベタ!と言いながらも心が震えてしまう、
そんなお話でありました!

>厳しい規制があった時代や国であるからこそ
想いは一途に強靭になるのかな。
そういう気がします。映画や本で触れる機会はあっても、
実体験のない環境。そこで繰り広げられる恋愛が、
特別なもののように感じられてなりませんでした。
おっしゃるように、今日本ではお目にかかれない恋愛ですね。

ななさんの「兄のように父親のように」というスンの形容が、
ものすごく的を得ていると思い、今度はスン目的に
再鑑賞したいと思いました。

主演二人はこの後もオファーが続いているようで楽しみです。

No title

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

No title

こんにちは。
褒めていただいてありがとうございます。
とても素敵な作品で再観賞したいです。
またいらしてくださいね。
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Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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