艾米『山楂樹之恋』 : 夢の国・亞洲文化宮

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艾米『山楂樹之恋』

20110611



著 者:艾米(エイミー)
出 版:2010年10月(初版は2009年12月)
言 語:簡体字中国語
出 版:江蘇人民出版社(中国)

<はじめに>
著者艾米(エイミー)はアメリカ籍の華人で、文筆活動の開始は2005年。物語は、主人公の回想録を著者が脚色した形をとっている。ネット上でたちまち話題となった本作は張藝謀監督により映画化され、日本でもまもなく公開の予定。また王珞丹、李光潔主演のドラマも制作されている。ドラマでは主演の年齢(役柄との開き)が気になるが、李光潔の老三は見てみたい。書店できれいな装丁の本を見つけて即購入。手元には『山楂樹之恋Ⅱ』(続編ではなく全く別の話)もあり、これを書き終わったら読むつもりでいる。
まずは忘れないうちに登場人物を書きだしておこう。

静 秋:主人公。1974年当時高校生。
老 三:本名は孫建新。調査隊の一員。静秋の恋人。
長 芳:西村坪で世話になった家の娘。静秋の親友。
長 林:西村坪で世話になった家の息子。静秋のことが好き。
大 媽:西村坪で静秋を世話する婦人。
銅婆婆:姓はおそらく「童」。静秋と一緒に労働する老女。
万昌盛:日雇い労働者を振り分ける男。
弟媳婦:静秋の同級生で本名は李坤明。母の李主任は業者に労働者の斡旋をする。
成医師:静秋にとって理想の男性。
江先生:成医師の妻。静秋にアコーディオンを教える。
張 一:静秋の元同級生。
小 周:本名は周建新。付家冲での労働で出会った青年。
静秋の母
静秋の妹

<簡単なあらすじ>
1974年、静秋ら校内から選ばれた高校生たちは、教材編集のために西村坪という農村に派遣される。静秋が滞在した家庭には、調査隊の一員である孫建新という青年がよく出入りしていた。彼は家族の一員のように慣れているので、長男、次男の下の「三男坊」と呼ばれている。静秋は建新に惹かれながらも、6~7歳年上の彼に警戒心を抱いていた。文革のさ中、「地主」の父と兄は農村に送られ、教師の母は「資本家の娘」として糾弾され、静秋の家は貧困にあえいでいた。静秋はその出自を恥じていたが、建新は彼女の文才や容貌、様々な能力を褒め励まし続ける。そんな彼に、静秋はだんだん心を開いていく。彼女が聞き取り調査を終えて学校に戻ってからも、二人は母親らの目を盗んで逢っていた。ところがある日見つかってしまい、しばらく交際しないことを約束させられる。

<感想など>
純愛か純愛ではないか。そういう話題も聞かれるようだが結果的には「純愛」だろう。終盤に差し掛かった時、純愛ではないと思わせておいて、最後の最後で「どんでん返し」の衝撃を食らう。もしこれがなければ常套的な話に終わっていたのではないか。

女性の気持ちや生理現象が詳細に綴られている。面白いのは月経を「老朋友」と表現していることだ。中国では日常的にこの言葉を使っているのだろうか。主人公の容貌についても、美人で、胸が大きいとか、足が小さいとか、かなり具体的に描かれている。また勉強がよくできて人の面倒見がよく、卓球やバレーボールが得意で、編み物や裁縫の腕も抜群、となれば、今でいう「万能な模範生」である。彼女の姿が脳裏に浮かんでくるようだ。ところが時は文化大革命の時代。父母の糾弾や家の貧困に直面している彼女は、目立たないように、警戒しながら日々を送っている。せっかくの才能も開花させるチャンスがない。

そんな静秋の心を少しずつ開いていくのが「老三」である。彼は口下手ではない。何とか気を引こうと、あの手この手で彼女に迫る。静秋ははじめのうち、騙されているのではないかと警戒する。しかし思い返せば、最初に好きになったのは彼女の方なのだ。アコーディオンの音色に魅せられ、その弾き手を見た瞬間、いや見る前から恋に落ちていた。(と解釈していいだろう)

彼女は老三が大好きだ。でも「男は狼」と刷り込まれた頭は、本能に忠実な行動を許さない。その上彼の父は解放軍所属で、両家の階級(家柄)は全く違う。彼女は考える。自分は農家の息子である長林と一緒になった方が、親は安心するのではないか、と。今の時代、自分の思うようには生きられないのだから…。序盤で二人はサンザシの木の下で口づけをかわすが、これは老三の一方的な行動だった。本能ではこの行為を受け入れたいのに、頭がこれを阻止している。

彼女は老三に許嫁がいると聞いてひどく動揺する。嫉妬心と警戒心のはざまで揺れ動く心が、甘酸っぱさを伴って響いてきた。作者の繊細な筆運びに乗せられているのがわかる。彼女の方も老三をやきもきさせる。長林は静秋のために尽力。彼の母は息子の嫁になってほしいと積極的に迫る。「弟媳婦」は静秋に仕事を紹介する。張一は、静秋にセクハラ行為をした万昌盛を殴る。小周は静秋を何かと気遣う。彼女を取り巻く男性たちを見ると、老三は平静ではいられなかったはずだ。

ところで、彼は殉職だという。彼の業務をはっきりと描いていないので明らかではないが、病気との因果関係が濃厚のようだ。今大きく報道されている事故との関連を考えずにはいられない。

本作は静秋の主観が中心だが、老三主体の物語ならどうなるだろう。彼が静秋に居場所を告げず、密かに彼女の姿を見る様子などはすべて彼の弟の話だが、思い浮かべると目頭が熱くなる。

出会い、惹かれ、誤解し、すれ違い、抱擁し、別れ、探し、想い合い、そして再会する。ベタなラブストーリーの要素てんこ盛りで、早く先が読みたくなる展開だ。実は誘惑に負けて終盤を先に読んでしまった。でもその時点ではどんでん返しに気づかなかった。よかった、気づかなくて。

映画とドラマを是非観たい。

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