チーム : 夢の国・亞洲文化宮

スポンサーサイト

------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

チーム

20110217

teamdoba.jpg

著 者:堂場瞬一
出版社:実業之日本社(文庫)
刊 行:2010年12月

<あらすじ>
城南大学4年の浦大地は、最後の箱根駅伝に「学連選抜」の一員として出場することになった。予選敗退校の実力者から成るこのチームが、10位以内に入れば、次年度予選枠が一校増える。監督は予選会11位だった美浜大学の吉池、チームメイトは東京体育大の山城、港学院大の門脇、東都大の朝倉らだ。浦は吉池からキャプテンを任命され、にわか仕立てのチームをまとめようとするが、なかなかうまくいかない。特に、実力があって自己中心的な山城は、このチームにとっては爆弾のような存在だった。

<感想など>
今年のお正月、初めて沿道から箱根駅伝を観戦した。大学名の入ったゼッケンをつけた選手たちが通り過ぎる中、ふと目についたのが「学連選抜」。後に実況解説でその背景を知ったが、下位だったこともあって、あまり印象に残らなかった。優勝争いやシード権争いが注目の的だったからだ。

はじめはドラマチックな材料があるようには思えなかったが、予想外にどんどん引き込まれていった。前半はメンバーの集合から出場選手の発表まで、後半は本番の2日間だ。選手たちは、予選会で負けたショックを引きずって、走る意義を見いだせないまま「学連選抜」に組み込まれてしまう。そんなバラバラだった一団が、様々な葛藤を経て駅伝の日を迎える。チームの変化が一番の見どころだろう。終盤でおとずれた劇的な変化は、想定内だったが嬉しい展開だった。

主な登場人物は監督と四人の選手だ。面倒見がよく正義感の強い浦、唯我独尊の山城、飄々とした中に情熱を秘めた門脇、実力はあるが経験の浅い朝倉、そしてベテラン監督の吉池。各キャラクターは悪く言えば「ありきたり」、よく言えば「わかりやすい」。特に浦と山城は、同じく箱根駅伝を描いた小説『風が強く吹いている』の人物たちに重なった。山城が初体験の「痛み」により、他者への思いやりを学ぶ場面は、作りすぎの感もある。でも「学連選抜」自体ドラマから遠く、変化に富む素材がどうしても必要なのだろう。コーチ、マネージャー、ライバル、報道者が補佐の役割を果たしている。珍しく恋バナがない、と思ったら女性そのものが登場していないのに気づいた。余計な話はアスリートの身体同様そぎ落とした、という感じだ。

監督の胃痛はこちらに感染してきそうなほどだ。臨場感あふれるリアルな描写によって、自分も同じ景色を見ながら走っているような気持になる。痛みや爽快感までが伝わってくる。だが意外にも選手へのインタビューはほとんどしていないという。作者自身がこのスポーツやコースを熟知しているとしか思えない。

箱根駅伝を目標とした練習の、他種目に与える影響や弊害、学連選抜廃止論など、この競技を取り巻く問題点、社会的側面がたいへん興味深い。純粋な創作部分とドキュメンタリー的な部分とのバランスが絶妙な一冊だと思う。

これから社会に巣立つ若者の物語として、今の季節にピッタリ。未来が開けている展開はやはり気持ちがいい。

コメント

非公開コメント
プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近のコメント
カテゴリー
最近のトラックバック
最新の記事
リンク
ブログ内検索

Pagetop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。