冬の小鳥 : 夢の国・亞洲文化宮

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冬の小鳥

20110213

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2009年/韓国・フランス/1時間32分(劇場で鑑賞)
監 督  ウニー・ルコント
原 題  旅人
仏 題  Une Vie Toute Neuve
出 演  キム・セロン  コ・アソン
     パク・ミョンシン  ソル・ギョング
     パク・ドヨン ムン・ソンギュン

<あらすじ>
1975年。9歳のジニ(キム・セロン)は父(ソル・ギョング)に連れられ養護施設にやってくる。必ず迎えに来ると約束した父は、いつまでたっても現れず、ジニは荒れて寮母(パク・ミョンシン)らに反発、脱走も試みる。そんな中、年上のスッキ(パク・ドヨン)が何かとジニを気にかける。年長のイェシン(コ・アソン)の恋愛模様垣間見たり、花札占いに参加したりと、徐々にとけ込んでいくジニ。やがて養子縁組で施設を出る夢を抱いていたスッキにチャンスが訪れる。

<感想など>(ラストに関するネタバレを含みます。)
ジニは父親が大好きだ。父がジニを愛しているのもよく伝わってくる。けれども、ジニの顔がたびたびアップで映し出されるのに対し、父の顔が映るのはほんの一瞬である。記憶に残る父はこれだけ、とでも言っているかのようだ。

ジニは終始無表情だ。うつろな眼差しの向こうにいるのはは父か。でも実像を結ぶことはない。感情の爆発と鎮火が、少女の体で繰り返される状況が痛々しい。役者にとっても相当過酷だと思う。ジニを演じるキム・セロンに委ねられた作品と言っても過言ではないだろう。

物語が展開するにつれ、寮母やシスター、子どもたちに温かみが感じられるようになる。これはジニ自身の変化、あるいは彼女の目から見た環境の変化と考えていいだろうか。年上の少女スッキは、生理のことを知られたジニに「他言したら許さない」と脅す。でも二人は苛め、苛められる関係にはならない。怪我した小鳥の世話という秘密を共有することで、絆は一層固くなる。

約束(韓国語でも<ヤクソク>なのね)。ジニにとっては絶対的なものだった。一緒に外国へ行けるよう頼んでみるからと、ジニに英語を教えたスッキが、一人旅立つ日がやってくる。ジニをちらちら見るスッキと、無表情のジニ。彼女は父親にも、スッキにも、約束を破られたことになる。荒れて人形を壊すジニに、寮母は平手打ちを食わせ、「布団を叩きなさい」と言う。

この寮母の言葉が心にしみる。最初、厳しく意地悪だと思っていた彼女が、だんだん情の厚い人に変わっていった。いつの間にか、自分がジニの心で観ているのに気づいた。寮母は子どもたちとの別れを複雑な思いで見つめている。特にジニが去る日の彼女は、今にも表情が崩れてしまいそうだった。

最後、ジニの顔がプツンと消えて真っ黒な画面が広がる。そしてエンドロール。ジニは幸せになれるのだろうか。映画館に「気がかり」を残してきた感覚だ。

後で監督自身の生い立ちと重なる部分があると知り、ようやくほっとできた。ジニ同様父親とは会えないままだが、だからこそ今の自分がいる、というコメントを読み、そんな前向きな生き方を、ジニに重ね合わせた。すると、小鳥が元気に飛び立っていくシーンが脳裏に浮かんだ。監督の背景を知ると知らないとでは、物語のとらえ方も違ってくると思う。

忘れられない作品がまた一つ増えた。

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