オール・マイ・ラビング : 夢の国・亞洲文化宮

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オール・マイ・ラビング

20110208

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著 者:小路幸也
出版社: 集英社
刊行年: 2010年4月

<内容>
『東京バンドワゴン』シリーズの最新刊。今回も四季の移り変わりに沿って物語が進んでいく。まずは第1章夏の編。カフェをきりもりする亜美の弟、修平に、恋の噂が立つ。内気な彼を過激に後押しするのが堀田家の面々だ。その堀田家にとてつもないお宝が存在するとの情報を、マスコミが嗅ぎ付ける。危うし、『東京バンドワゴン』!!第2章秋の編は、騒動に揺れる店と、体を張って助ける記者の姿が描かれる。第3章冬の編は、紺が大学講師をやめたいきさつに恩師が絡んでいるというお話。第4章春の編では、病気を克服した我南人の復活コンサートが決定。これを企画したのは、何と曾孫の研人だった。

<感想など>
いつものようにこれまでの話をかなり忘れていたが、語り手である堀田サチが折に触れ昔話をしてくれるので、眠っていた記憶が呼びさまされた。そして毎度のことながら、日本の近代文学をひもとき、古書店街に足を運びたくなるのである。

今回も波乱の連続だ。修平の相手は有名な女優の佳奈。堀田青の名演技が二人の恋を成就させるが、サチも言うように話が出来過ぎている。店の前に本が置かれている話も、百物語も、後で事情が分かると「なあんだ」である。人間関係は複雑だが、事件は案外単純にできている。そんなところが気軽に楽しめる所以だろう。

登場人物は、一見ごく普通の人々である。でも背景をたどると、それぞれが只者ではない。出自、生い立ち、容貌といった特徴が顕著だからか、一人一人の記憶が鮮明に残る。そして皆に共通するのが極度のおせっかい焼きということだ。自分のことはさておいて、人のために奔走する人々が集まっている。少々押しつけがましい気もするのだが、それぞれの性分だからしかたあるまい。日常を描いていながら、実際はすべてが非日常。だからドラマになるのだろう。

対立関係になりそうな面々が一つ屋根の下で暮らす状況には、当の本人たちより読者である自分の方が戦々恐々としてしまう。たいへんだろうなあ、我慢しあっているのだろうなあと。けれども「無理」とか「忍耐」といったニュアンスは感じられない。各々が努力したり譲り合ったりする様子は極めて自然である。子どもたちも、そんな大人たちを見て育っていく。あらためて、大勢の中で生きていくことの大切さを考えさせられた。

最終章は「旅立ちの章」とも言えるだろう。音楽の血を受け継いだ研人、ワールドツアーを控えた我南人が、どんな道を歩んでいくのか。1歳になったばかりの女の子二人がどのように成長するのか。さらに、サチばあちゃんの声を聞ける人物が、紺ちゃんのほかに出現するのか。物語の続きがますます楽しみだ。

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