アリアドネの弾丸 : 夢の国・亞洲文化宮

スポンサーサイト

------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アリアドネの弾丸

20101222

dangan.jpg

著 者:海堂 尊
出版社:宝島社
刊行年:2010年9月

<あらすじ>
東城大学の不定愁訴外来担当医、田口公平は、院長の高階権太から突然「死後画像診断センター(エーアイセンター)センター長」の辞令を受ける。田口は放射線科準教授島津のアドバイスを受けながら、副センター長7名、オブザーバー4人の構成員を決定。そんな中、搬入したばかりの「縦型MRIコロンブスエッグ」を調整していた技術者、友野優一の遺体が発見される。さらに元警察庁刑事局局長北山錠一郎が銃殺され、高階院長に嫌疑がかかる。厚労省の技官白鳥圭輔は、強制捜査突入までの短期間に事件を解決すべく、適切な人員を配備して奮闘する。

<感想など>
「海堂作品メンバー、フル出演!!」と言えるほど懐かしい顔が続々と登場。かつての作品を知っているとより楽しめる物語になっている。『マドンナ・ヴェルデ』の句会メンバーとすれ違うし、『イノセントゲリラの祝祭』の主張があるし、『螺鈿迷宮』の唯一の生還者が登場するし、『ナイチンゲールの沈黙』の瑞人が自立への道を歩んでいる。懐かしさの反面、全員がフル稼働していないもどかしさもあったが、これは次作品へのステップとの見方もできる。

久しぶりに、終盤まで犯人がつかめない緊迫感を味わった。技術者友野には外傷もなく、自然死として扱われる。北山殺害の件では、銃を持って気絶していた高階に硝煙反応が出たことから彼が疑われる。白鳥は高階犯人説を覆すため、外国にいる加納警視正と連絡を取り、画像解析の天才桧山シオンを呼び寄せ、4Sエージェンシーにあることを依頼するなど、八面六臂の大活躍を見せてくれる。田口は白鳥のパシリ的立場だが、白鳥の能力を認めてこれに甘んじている。今回は白鳥がすごくかっこいい。もしかすると彼は情の厚い天才なのかも。

警察対医療という対立構造をはっきりと描いた作品である。
警察側は、医療機関が死後画像診断により警察の権限にまで踏み込むことを恐れ、内部の手でエーアイセンター潰しを画策。周囲には斑鳩公報室長、宇佐見警視、元監察医の南雲忠義、医療ジャーナリストの西園寺さやか(でも実は…)と、怪しげな人物たちがうろついている。中でも、白鳥から「ウサちゃん」と呼ばれる宇佐見の、龍馬似の口調が耳障りだ。いや、書き言葉なのだけれど、だみ声のように響いてきて不快感がつのる。

一方の医療側からは、白鳥や島津らの口を通し、エーアイの必要性が論理的に説かれていく。そして、エーアイ技術が殺人事件を解決に導く結果に到るのだ。ただ、トリックが細かすぎてなかなかついていけなかった。まるで物語のために敷かれたレールのようだ。なかなか痛快な展開だが、こんなふうに警察を敵に回すような作風だと、著者の海堂さんは恨まれたりしないのだろうか。他人事ながら心配になった。

ラストは続編があることを示唆している。センター長の田口にはたくさんの困難が待ち構えていることだろう。けれども彼の場合、苦労してもそのようには見えない。昇進に興味がないのに第三者の手で祭り上げられる展開がコミカルに映る。未来を描いた作品では、彼の立場は教授である。そこに到るまでのプロセスが気になるところだ。

trackback

「アリアドネの弾丸」 海堂尊 :TK.blog

『アリアドネの弾丸』    著者:海堂尊  出版社:宝島社 <簡単なあらすじ> 高階病院長に呼び出された不定愁訴外来主任兼リスクマネジメント委員会委員長の田口は、設置予定のエーア...

コメント

『ブレイズメス1990』の次はコレです^^

ほんと「海堂作品メンバー、フル出演!!」でした^^
私、『螺鈿迷宮』の唯一の生還者がどんな人だったか全く記憶になく
『極北クレイマー』の内容すらも覚えてなくてかなり困っております~。
だってかなり重要な役どころの雰囲気なんですもん。
(といっても本領発揮するのは続編から?)

>今回は白鳥がすごくかっこいい。もしかすると彼は情の厚い天才なのかも
そうなんです!今回は白鳥がめちゃかっこよくて、
容姿までドラマの仲村トオルに見えてきました(笑)。

>「ウサちゃん」と呼ばれる宇佐見の、龍馬似の口調が耳障りだ。
そうそう、これも同感です!なんでしょう?あの話し方は。
どうしてウサちゃんは方言を話す人物じゃなきゃいけなかったのかしら。
そういや『ブレイズメス1990』では薩摩弁を話す青年がいたけど
こちらの方言もひどかったです~(><)
というか普通、仕事で上京したなら職場では標準語使うような…。
上司の前でもバリバリ方言ってどうなんでしょう~^^;

今、時系列順に読みたい!!

TKATさん、こんにちは♪
お互い、海堂さんの作品をたくさん読みましたね~
登場人物の数も相当増えて、懐かしいなあと思える反面、
あの人があの作品でどういう活躍をしたか、というのを瞬時に
思い出すことができません。
また、自分が読んだ本はTKATさんも読んだものと思い込んで、
コメントで知らず知らずネタバレ的なことをしゃべっているかもしれません。
そんなときはご容赦をe-466

>『螺鈿迷宮』の唯一の生還者
これも私の勘違いかもしれませんが、『螺鈿迷宮』ラストの人物が
関係しているかな、と。
今後の活躍に期待!

>容姿までドラマの仲村トオルに見えてきました(笑)。
そう、そう!! 最初そのキャスティングを知った時、すごい
違和感があったのですが、仲村トオル自身のひょうひょうとした
演技を見ているうちにこれもありだ、と思えるように。
そして今回のかっこいい白鳥さん。瞬発力ある仲村トオルが
見えるようです。

>どうしてウサちゃんは方言を話す人物じゃなきゃいけなかったのかしら。
そこのところが、私も引っ掛かりました。
方言についての考え方は人それぞれでしょうが、今回は
お国ことばとして尊重する使い方ではなかったと思います。
『ブレイズメス1990』での薩摩弁を話す青年は、まだまだ青いと
いうことなのかしら~(笑)
非公開コメント
プロフィール

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

カレンダー
01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -
最近のコメント
カテゴリー
最近のトラックバック
最新の記事
リンク
ブログ内検索

Pagetop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。