蟻族-高学歴ワーキングプアたちの群れ : 夢の国・亞洲文化宮

スポンサーサイト

------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

蟻族-高学歴ワーキングプアたちの群れ

20101203

yizu.jpg
著 者: 廉 思(リエン・スー)
監 訳: 関根 謙
出版社: 勉誠出版
刊 行: 2010年9月

<内 容>
蟻族』を読む前に―序にかえて  監訳者:関根謙
『蟻族』を「比較的高学歴のワーキングプアの集団」と解説、彼らの住む北京郊外の群家村「唐家嶺〈タンジャーリン〉」について説明している。さらに中国の教育制度を日本のそれと比較しながら紹介。原著及び本書の刊行の経緯も述べられる。
Ⅰ「蟻族」誕生記
「蟻族」研究のきっかけと、研究チーム発足と調査の経緯。「八〇後〈バーリンホウ〉」(1980年代以降の出生者)の状況説明。
Ⅱ「蟻族」のすべて
『蟻族』というネーミングの由来。詳細な調査により出された統計とその分析。グラフを多用。
Ⅲ「アリ」伝奇-「群居村」取材レポート
「蟻族」と言われる人々の手記及び取材報告。
後記:廉思
日本の読者へ:廉思
解説: 加々美光行

<感想など>
著者は1980年生まれで、「蟻族」同様「八〇後」と呼ばれる世代だ。北京の中国人民大学大学院博士課程を卒業後、現職は対外経貿大学の副教授である。

しばらく前、関連の報道番組を観たときは「蟻族」から「フリーター」の印象を受けた。しかし今回、その感覚が変わった。著者も指摘するように、「蟻族」は気ままなフリーターとは本質的に違う。著者は「蟻族」の基本概念として「大卒低所得群居集団」と定義づける。彼らを、知能指数が高く群居するアリに例えて「蟻族」と名づけたという。

<Ⅲ「アリ」伝奇>の、「蟻族」といわれる17人の体験記は、まるでTVドラマのようだった。彼らは地方の大学を卒業後、就労の場を求めて北京にやってくる。経歴はそれぞれ全く違うが、独立心の強さ、極めて高い上昇志向、忍耐力の強さなど、共通点は多い。失恋に苦しむ者、マルチ商法に巻き込まれる者、貧困にあえぐ者、親の期待から重圧を受ける者、ノルマに追われる者。彼らが受けるストレスは相当なものだろう。

最近中国を取材した番組からは、富裕層が激増している印象を受ける。それは事実だとしても、そうした人々は全体から見れば一握りなのだろう。今回知った「蟻族」の生活は極めて質素で、風呂もトイレもない住居、切り詰めた食費、といった状況を読むうちに、どれほどの者が希望をかなえることができるのだろう、と考えてしまう。

著者も指摘するように、近年中国は大学の門戸を広げ、それにともない進学率も大幅アップしたことから、大卒青年が急増した。ところが彼らを受け入れる就職口は少ない。「蟻族」の多くは、親のコネがないため希望の就職ができない。ならば自分で道を切り開くしかない、と、彼らは多数の会社にエントリーを繰り返す。一流大学卒の超エリート集団にはレールが敷かれている。大学に進学せず第一次、第二次産業で成功する者もいる。その間で、知識を生かそうと奮闘する階層が存在する。若者社会にも厳然とした階層の溝があるのだと気づかされる。

以前観たドラマ『我們生活的年代』を思い出した。劉(リウ・イエ)演じる主人公が今回の「蟻族」と重なる。新疆ウイグル地自治区出身の主人公は、仲間と北京の四合院で苦しい生活を送りながら奮闘し、廃品回収業、雑誌編集長、そして不動産会社の社員と、一歩一歩階段を上っていく。しかしその道は決して幸せとは言えない。

「蟻族」は今後どんな道をたどるのだろう。
彼らに就労の機会が増え、各人が能力を十分発揮できるようになったら、社会はどう変化するだろうか。中国の発展は、こうした潜在能力の活用にかかっていると思えてくる。
続編が出るとしたらぜひ読んでみたい。

コメント

非公開コメント
プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最近のコメント
カテゴリー
最近のトラックバック
最新の記事
リンク
ブログ内検索

Pagetop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。