ストーリー・セラー : 夢の国・亞洲文化宮

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ストーリー・セラー

20101129

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著 者:有川 浩
出版社: 新潮社
刊行年: 2010年9月(4刷)

<内容・あらすじ>
《Side:A》
2人は会社の同僚だった。彼が彼女のUSBメモリの中みを読んだことが、交際のきっかけである。彼女の書いた物語は、非常に彼好みだったのだ。2人は結婚後も共働きで、彼女は小説を書き続けていた。彼の勧めで応募した小説が大賞を受賞すると、彼女は作家に専念。しかし順風満帆だった生活が、身内のいざこざに巻き込まれて一変する。彼女は「致死性脳劣化症候群」という、世界に一症例しかない奇病に取りつかれる。

《Side:B》
2人は会社の同僚だった。あるとき屋上で、彼女は彼の泣き顔を見てしまう。その「彼を泣かせた本」に彼女はびっくり。彼女が副業で書いた小説だったのだ。彼は、彼女のデビュー作から読み続けている熱烈なファン。やがて2人は交際を経て結婚し、彼女は専業作家となる。昼夜逆転の彼女を彼が何かと助ける日々は、幸せそのものだった。ところが突然、彼が交通事故で入院。その時の検査で、彼の膵臓に腫瘍が見つかる。

<感想など>
《Side:A》は彼、《Side:B》は彼女の目線で描かれている。といっても《A》《B》の彼彼女は同一人物ではないようだ。それは《B》冒頭でわかる。な、なんだ、この中間的オチは!!と、私はちょっと怒ってしまった。(と同時にほっとしたのも事実。)《A》最後の「きみがすきだきみがすきだ…」には泣かされた。紙面には、文字間隔からできた斜めの線が浮き出ている。視覚効果も面白い。

今回の作品はかなり深刻だ。でも女子の胸をキュンとさせるエッセンスは、相変わらずいっぱいつまっている。愛される感覚って、読んでいてすご~く心地のいいものだ。気になる女の子が書ける側の人だと知り「真っ逆さま」に恋に落ちた彼。この作品の「彼」は、彼女が能力を十二分に発揮できるよう尽力する。全身全霊を傾けての奉仕である。《A》の彼は、彼女のデビューに貢献し、家族の問題に翻弄される彼女を守り、不治の病に罹った彼女を介護する。まるで自分が愛されているかのような錯覚に陥り、気持ちイイ!!

彼女の家族模様が写実的。文学者崩れの父は痴呆の実母の面倒をまったくみず、この親子関係はほとんど崩壊している。祖母がゴミの乱雑な部屋にちんまりと座った様子には心が痛くなった。

不幸の連鎖である。今までの有川作品に、これほど悲しい物語があっただろうか…と思ったところに、あの《Side:B》冒頭のオチ!!一度出た涙が引っ込んでしまった。ならば《B》も作り話に違いない、という目で読み始めた。

《B》の彼は非常に賢い。周りの空気を読んで人との距離を上手にとり、彼女との関係も円滑に作り出す。彼女は彼の掌で転がされている玉のよう。冷静沈着に見える彼も、彼女の熱烈なファンである。結婚後も、彼の提案で昼夜逆転の作家生活を続ける彼女。ベタ甘な生活がこのまま続くのかと思っていたら、突然の不幸がやってくる。

彼は余命を告げられても、彼女のために尽力する。次第に衰えていく彼。でもきっとこれも作り話だよね、と思っていたら、担当氏の作者への問いかけで迷ってしまった。

「彼」は作者のご主人と同一人物?
ならばこの物語は事実?
最後だけは事実じゃないと思いたい。
彼女が打ち込んだ通り「覆」ったよね、きっと!!

否応なく訪れる「死」に悲しくなると同時に、互いに愛し愛される至福も伝わって来て、ベタ甘で終わった多くの作品とは異なる後味だった。互いのためにやれることだけはやった、という充実感が、じわじわ広がっていく。

青いリボンがかけられた装丁は、ご主人への感謝の気持ちがこめられているととらえていいのでしょうか。


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「ストーリー・セラー」 有川浩 :TK.blog

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コメント

むむむ…

おはようございます、孔雀の森さん♪

side:Aは既に読んで内容は知っていたのですが、side:Bの冒頭でびっくり!!
なので《B》は安心して読み始めまたのですが、
今度はラストで読者に謎を残す担当者とのやりとりが!
私はラスト部分はフィクションだと思ってますが、《B》の夫像だけは
ノンフィクションだと思ってます。
一番の理解者であるからこそ《B》のような内容が書けたと。

青いリボンの装丁は私も孔雀の森さんと同じく、
今まで自分を支えてくれた夫への感謝の気持が込められてるんじゃなかろーかと。

両話とも夫が優しすぎ、出来すぎた夫たちで
独身の私は思わず「こんな人と結婚したいなー」と
夢を見ちゃいますわ~。
こんな人を待っていたらますます婚期を逃すばかりですわw

またまた忘れてる~

TKATさん、こんにちは♪
今、TKATさんと自分のレビューを丹念に読みましたが、
かなり忘れていることが判明。
でも私、結構感動したように書いていますね。
で、色々想像した結果、やはりside:Bの最後は作り話に違いありませんね。

思い返せば、今回の物語は現実的に見えて実はすごい虚構なので、
自分に重ねて考える、なんていうことはなかった気がします。
だって、こんな夫ありえないもん。(いるかもしれないけど)
妻だったらあり得るかも、という意見もあるかもしれませんが、
私の近くではそういう例をあまりききません。
おそらく、私は普段「献身的」という行動から遠いために、
たまに小説や映画で見るとウルウルしてしまうのだと思います。

作者が自分を投影した作品は、時に「自慢話」にきこえる場合もあるかも、
と思いました。
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