スプリング・フィーバー : 夢の国・亞洲文化宮

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スプリング・フィーバー

20101109

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2009年/中国・香港・フランス/1時間55分(劇場で鑑賞)
監 督  婁 (ロウ・イエ)
英 題  Spring Fever
仏 題  Nuit d'ivresse printanni醇Qre
中文題  春风藷・ヒ的晚上
出 演  秦 昊(チン・ハオ) 陳思成(チェン・スーチョン)
     譚 卓(タン・ジュオ)呉 偉(ウー・ウェイ)
     江佳奇(ジャン・ジャーチー)

<あらすじ>
舞台は現代の南京。旅行会社勤務のジャン・チェン(秦昊)と書店勤務のワン・ピン(呉偉)は共に男性で恋人同士。ワンの妻で高校教師のリン・シュエ(江佳奇)は、夫の行動に不信感を募らせ、探偵のルオ・ハイタオ(陳思成)に調査を依頼する。ワン、リン夫妻の関係は破綻。ジャンはワンと距離を置くが、ワンはジャンを諦めきれない。一方、ルオにはリー・ジン(譚卓)という工場勤務の恋人がいるが、いつしかジャンに惹かれ始めていた。

<感想など>
監督は中国内での公式の映画制作を禁止されながら本作の制作を強行、結果的に2009年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞となったという。予備知識をもって臨み、ある程度覚悟していたが、予期していないところでクラクラきてしまった。

最初から車酔いの気分。2人の男が乗る車はスピードを上げたり、ぬかるみを走ったりして、画面は揺れに揺れる。後で、家庭用デジタルカメラでの撮影と知ったが、それにしてもこの手ブレはひど過ぎる!!(効果的な場合もあるけれど:笑)

彼らの絡みは肉弾戦とでも言おうか。艶、美、といった芸術的な感覚とは程遠い。もちろん見る人によって受け取り方はかなり違うと思うが、私にとってはすべてがあまりにもリアルで、見たくないものを無理やり見せられた感覚が残った。でも見たくないのに目はくぎづけになる。セリフのないままカメラが回っている状況も多く、いつもなら寝てしまいそうな場面でも、目はしっかり開けていた。

夫を盗られた妻は激昂、夫の前で狂乱し、相手の職場に殴り込みをかける。このぶち切れ状態も演技には見えない。ワンは妻と恋人の間でうまく生きようとするが、彼の心が恋人の方にあるのは明白だ。道徳の規範と本当の自分の間でもがいている彼は人間らしい。

一方のジャンは、いつも獣の目をしている。最初は画面が暗くて2人の区別がはっきりしなかったが、やがてワンには見られない野性味に気づいた。彼はゲイのクラブでは人気者で、ルオまでも虜にする。好きになることに理由なんてないだろうが、ジャンの場合は、彼が発する独特の「匂い」に反応する人間が、確かにいるのだと思った。

リーの職場の工場長は彼女に気があるようで、彼女も打算で食事につきあう。この工場長と同郷の男は広東語で話し、リーには広東語なまりの北京語を使う。このやりとりもリアル。大陸に進出したものの、偽ブランド商品がバレて強制立ち入り調査を受けた商人。最初のうち余裕で大きな口を叩いていた彼が、いつしかすっかりしぼんでいた。

リーは、恋人がジャンに夢中な様子を陰から見て、さめざめと泣く。ジャンにもリーの気持ちがよくわかる。ジャン、ルオ、リーが一緒にはしゃぐ場面があり、「この先は自由にお考ください」と観客に疑問を投げかけたまま、曖昧に終わるのかと思った。

しかし物語にはさらに一波乱ある。今まで観た同性愛関連作品では暗いエンドが多かったが、これは違う。人が亡くなったり、傷つけたり傷つけられたりと、決して明るい過程ではないが、それでもジャン(結局この人が主人公ね)はしぶとくわが道を歩んでいく。その日暮らしみたいだが、きっとそれが積み重なって、あの一帯に君臨する日が来るんじゃないかと、つい想像をたくましくしてしまった。

<追記>
リー・ジン役の譚卓(タン・ジュオ)が、同監督作品の『天安門、恋人たち』の主役、障ィ蕾(ハオ・レイ)にそっくり。顔だけでなく演技も、声も。ショートカットにしたら違うイメージになったが、前半は見間違えるほどだった。

郁達夫先生がこの映画を観て、なおかつ自分の小説の一節がこの映画に使われているのを知ったら、たまげてしまうだろう。小説『春风藷・ヒ的晚上』は短編のようなのでちょっと読んでみよう。

trackback

『スプリング・フィーバー』   :TK.blog

『スプリング・フィーバー』   春風沈酔的晩上  SPRING FEVER  製作年:2009年 製作国:中国/フランス 監督:ロウ・イエ(婁?)  出演者:チン・ハオ(秦昊)、チェン・スーチョン(陳思成...

スプリング・フィーバー :龍眼日記 Longan Diary

中国の南京。 ジャン・チョン(チン・ハオ)とワン・ピン(ウー・ウェイ)は互いに惹かれあい 逢瀬を重ねていた。 夫ワン・ピンに浮気の気配を感じた妻は探偵ルオ・ハイタオ(チェン・スーチョン) を使い夫の恋人を突き止める。 妻への発覚をきっかけに一方的にワン...

コメント

ラブストーリー?

こんばんはー!
いつもと同じく関東より遅れて先週末からやっと
神戸で上映されました♪(大阪では少し前から上映されてました)

セリフは少なく全体的に暗い映像、寝てしまいそうな条件が
揃っていたにも関わらず私もしっかり目が開いてましたよw
同性愛をテーマにした『ブエノスアイレス』はアルゼンチンという地というせいもあってか、
多少は芸術的な画として捉えることができたのですが、
今作品は生々しかったですね。
全体的の雰囲気は好きな作品ですが私には3人に感情移入できず^^;
ワンの奥さんが一番感情移入できたかも(笑)。

>リー・ジン役の譚卓(タン・ジュオ)が、同監督作品の『天安門、恋人たち』の主役、障ィ蕾(ハオ・レイ)にそっくり。
わかりますわかります!同じような雰囲気を持ってますよねー。
映画の最初の方は特に映像が暗かったので、ワンの奥さんとリー・ジンすら
見間違えそうになりました^^;

郁達夫先生の「春風沈酔の夜」、私も読んでみたくなりました。
カラオケボックスで歌われていた歌も良い歌だったので、
原曲を聞いてみたいですねー♪

刺激ありすぎ

TKATさん、こんばんは♪
ちゃんと目を開けて鑑賞できたんですね!
なあんて、ずいぶんおかしな問いかけでスミマセン。
おっしゃるように寝てしまう条件がそろっていた作品でしたね。
そしてどうしても『ブエノスアイレス』と比較したくなりますが、
やはり今回の作品とは異種だなあと、感じました。
人物は難解ですね。
みんな、本能のおもむくくままに行動していると思えば、
わからなくて当然という気もするのですが、
やっぱり映画作品だからもっと心理を知りたい、という
気持ちになりますね。
私も一番理解できたのはワンの奥さんです。
もし同じ立場になったらと思うだけで身震いします。

カラオケボックスの歌、よかったですね。原曲、探してみようかと
思います。

やはりラブストーリーのジャンルなのかしら。ホントに過激でした。

郁達夫、私も読みたいと思います!

孔雀の森さん、こんばんは。
TBさせていただきました。
この作品、やっぱりラブストーリーなんだと思いますよ。
「・・・だから何?」と言う意見もありそうな物語ですが、
思い通りにならない思いと挫折、絶望・・・
そんなものが胸に突き刺さる物語でした。
>彼が発する独特の「匂い」に反応する人間が、確かにいるのだと思った。
本当にその通りですよね。
複雑な関係を嫌い、相手の背中を追うことのないジャンですが
彼にとってはどの相手との関係もやはり「愛」なのでしょうか?
あの後ルオとリー・ジンはよりを戻したのかしら、それとも・・・。
観終えてそんなことを少しばかり考えてしまいました。

ところで孔雀の森さんはもう今年のベスト10をUPされたのですね!
私は明日UPする予定なのでまた明日伺わせていただきます。

観ている方も漂っている気分。

sabunoriさん、こんにちは♪
TBありがとうございます!
登場人物の心の動きに最後まで振り回され、理解するまでには
到らなくても、興味はふくらむ…そんな作品でした。
おっしゃるように、ジャンは複雑な関係を嫌っていましたね。
そんなふうに漂っている彼を、遠くから見つめているような気持に
なりました。

>あの後ルオとリー・ジンはよりを戻したのかしら、それとも・・・。
私は、この2人の今後については、考える余裕もありませんでした。
何となく、彼らはもう一緒にはいないような気がするけれど、
一緒であってほしいと思うのです。

郁達夫の作品は一部ネットで読みました。
(中国現代文豪文選《郁達夫作品集》より)
有名な作家の作品が公開されてるんだなあと、不思議な気分でした。
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Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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