4枚目の似顔絵 : 夢の国・亞洲文化宮

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4枚目の似顔絵

20101103

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2010年/台湾/2時間21分(台湾電影ルネッサンス2010で鑑賞)
監 督  鍾孟宏(チョン・モンホン)
原 題  第四張畫
英 題  The Fourth Portrait
出 演  畢暁海(ビー・シャオハイ) 郝 蕾(ハオ・レイ)
     戴立忍(レオン・ダイ) 関 頴(テリー・クワン)
     金士傑(ジン・シージエ) 納 豆

<あらすじ>
父を看取った10歳のシャン(畢暁海)を、再婚した母(郝蕾)が引き取ることになる。彼女には再婚相手(戴立忍)との間に生まれたばかりの子がいる上、夜の商売が忙しい。また、義父はシャンをこころよく思っていない。新たな環境で、シャンは孤独を深めていく。かつて父母が離婚した際、シャンは父に、兄は母に引き取られた。ところが家の中に兄の姿はない。義父はその「兄」について「ある日いなくなった」と言うが、シャンの心にはわだかまりが残る。

<感想など>
主演の畢暁海クンは台北映画祭の最優秀主演男優賞受賞とのこと。確かに彼の演技には胸を突かれる。しかし私はそれを演技として見ることができなかった。あの大人を食ったような目や、義父に対する怯えの眼差しは、やれと言われてすぐできるものなのか。制作過程で、実際に彼が感じたこと、見たことがそのまま反映されているように思えてならない。彼が義父役の戴立忍を「心底怖かった」と述懐したという記事を読み、子どもに容赦ない戴立忍の演技もまた、評価されるべきだと感じた。

主人公のシャンは、10歳にしてあまりにもたくさんのことを経験してしまう。生きていくために盗みもする。そんな彼を導く役割を果たすのが小学校の用務員さん(金士傑)だ。彼はただ教え諭すだけではない。自身の人生や感慨もさらけ出す。50年ぶりに故郷の上海へ帰ろうとする彼を、シャンはどういう気持ちで見つめただろう。また、彼はシャンに「義父から逃げろ」と忠告するが、シャンはその言葉通りに動くことができるだろうか。

シャンにとっては、泥棒男もまたかけがえのない存在だ。自分に優しく接してくれる人は、社会で言われる善悪の区別は抜きに、「良い人」だ。彼は実母からさえ愛されない。本当に愛されるとはどういう感覚なのか、彼にはつかめていないのだ。

授業で先生(関頴)から自分の似顔絵を書きなさいと言われ、じっと鏡を見つめるシャン。Q&Aで監督が語ったことによると、4枚目の似顔絵になるはずだった「絵」について、「担当者に何枚も描いてもらったがよいと思えるものがなかった」という。もし計画通り「似顔絵」だったら、映画全体の印象はどうなっただろう。結果的には「絵」でないことで、想像の幅が広がったと思う。

私にはどうしてもシャンの明るい未来が想像できない。義父の「絶対に戻れ」という命令は恐怖心と共にシャンに刻み込まれ、言われるままにあの家に帰らざるを得ないのではないか。用務員のおじさんはあの義父をすべて理解した上で忠告し、シャンにもその気持ちは伝わっているはずだ。しかしシャンの物腰からは、思い切って飛び出すバネは感じられない。虐待する者、される者の抜け出せないアリ地獄が描かれていると思うと、心はどんどん暗くなる。

鏡を見つめたシャンは「自分は何者?」と思ったのではないだろうか。目鼻口といった表面的な顔のつくりを通り越して、彼は自分の内面を見ていた。とすれば、彼は自分の何を見ていたのだろう。

秀逸な作品。でも人間の底知れぬ嫌な部分や、不幸を存分に見せられ、もう二度と観たくない!と思ってしまう作品でもあった。

<映画祭の概観>(追加です)
私にとって映画祭最後となるこの作品は、思いがけず暗い感想を書かざるを得なくなってしまった。でも全体を通して見ると楽しい思い出の方が断然多く、色々な出会いもあって、ほんとうに行ってよかった!!
秦野の自宅から恵比寿、あるいはヒルズまでは約2時間。今まで都心までの2時間を遠いと感じたことはなかったが、3日間通ってみると、交通費の高さにあらためて驚いてしまった。
そのうち、都会に宿泊して1週間映画三昧、なんていう経験をしてみたいな~

trackback

「4枚目の似顔絵」 <2010東京国際映画祭> :TK.blog

『4枚目の似顔絵』   第四張畫  THE FOURTH PORTRAIT 製作年:2010年 製作国:台湾 監督:チョン・モンホン(鍾孟宏)  出演者:ビー・シャオハイ(畢曉海)、ダイ・リーレン(戴立忍)、テリ...

コメント

またまたまたこんにちはー♪

孔雀の森さんの感想で、Q&Aで本当は4枚目の似顔絵があったのに
ボツになったことを思い出しました^^;
これがあったら映画全体の雰囲気が変わっていたかもしれないですね。
でもその似顔絵がなんとも判断しにくい顔だったら、
そこでまたどのように解釈したらいいのか悩みそうです(笑)。

孔雀の森さんのレビューを拝見し、ちゃんと作品を理解しながら
観てらっしゃるなーと尊敬の眼差しで読ませていただきました☆
私は少年の今後について何も考えてませんでした^^;
演技力すらよく見てなかったかも…。
目は開けてスクリーンは観てましたがどうやら頭の中は寝てた模様です…w

>私にはどうしてもシャンの明るい未来が想像できない。
なるほど!孔雀の森さんはそう思われたんですね。
確かに少年の物腰からは思い切って飛び出すバネは感じられませんね。
家を出なかったら少年は兄と同じ道を辿るかも…
わー、そんな未来はいやだ~(><)。
悪い方向を考え出したらホント、どん底までいきそうです…。

としたら、監督は観客に一体何を伝えたかったんでしょう?
何をどう感じて欲しかったんでしょう?
うーん、監督にもう一度Q&Aをして欲しいです。
(ただし小学生にもわかるぐらい丁寧にw)

監督はどんな絵をお望みなのでしょう?

TKATさん、こんばんは♪
私の解釈はあくまで独断と偏見で、「違う!」と言う人はたくさんいると
思います。
最近虐待の報道をよく耳にするせいで、限りなくネガティブな感覚に
なってしまったのかもしれません。
映画の感想って、その時の心境や体調が大きく影響すると思うんです。
私は体調は万全でしたが、画面を観ながら、上で述べたような報道や、
カーペットのことが頭をよぎり、ちょっと沈んでしまいました。
また今回観た台湾映画は、偶然かも知れませんが、いずれも
外部からの流入者を意識した作風になってるな~なんて思ったら、
ハオ・レイちゃん演じる母親の複雑な状況に暗澹とした気持に
なってしまいました。
TKATさんのレビューからは、ご自身の前向きな様子がすごく伝わってくるんです。
主人公の男の子が力強く歩みだす、という解釈は大いにアリだと思います。
だってやっぱりそうあってほしいもの!!
用務員のおじさんの忠告が無駄になってほしくないです。
その方向性(逃げる)も今後の行動の選択肢に含めるつもりで、
あの場面を用意したとも考えられます。
登場人物の明るい未来を願うことは大切ですね♪
鑑賞者の生き方にもつながってくるわけですから。

確かに、観客に解釈を任せる、という作品は困ってしまいますね。
観客はある程度明確な答えを期待していると思うんです。

>でもその似顔絵がなんとも判断しにくい顔だったら、
そこでまたどのように解釈したらいいのか悩みそうです(笑)。
ですよね~ 実際に絵が登場するとして、はっきりした笑い、
怒り、涙目、といったいわゆるわかりやすい顔はないような気がします。
かえって思いっきり笑顔にしてくれたらいいのに。
そうしたら「無理に作ってるんだ!」という解釈が表れそうだわ。
う~ん、監督はどんな顔がよかったんだろう。
それはTKATさんの「監督は観客に一体何を伝えたかったんでしょう? 」
という疑問につながってきますね。

おっしゃるように、もう一度Q&Aをお願いしたい気持ちです。
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Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

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