悪人 : 夢の国・亞洲文化宮

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悪人

20101015

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著 者: 吉田修一
出版社: 朝日新聞出版(文庫)
刊 行: 2010年10月

<内容・感想など>
映画鑑賞後、原作を無性に読みたくなって上下巻を衝動的に購入。
2冊ともカバーが二重がけになっており、外側の顔写真入りカバーの裏には原作者と監督の対談が載っている。表には<映画「悪人」特別割引券>がついているが、これを切り取ると裏の対談が読めなくなってしまう。一般が300円、学生以下が200円の割引。これを使って鑑賞する人はどのくらいいるだろう。

再読して、2年前読んだ内容をほとんど忘れていることがわかった。これを特に強く感じたのは、祐一の母親の言葉を読んだ時のこと。彼女は「我が子を捨てた母親がこの事件の元凶みたいな結論でおわってしもうて(以上抜粋)」と言う。私は先日の感想の中で、この母親を「元凶」と表現していた。覚えていればこんな風には書かなかったはず。他の登場人物に関しても、例えば増尾など、一面的なとらえ方に終わっていた。今振り返ると、鑑賞していた時は、報道を鵜呑みにする視聴者的立場だったように思える。

物語は様々な人物の証言によって成り立っている。石橋佳乃や同僚の眞子、沙里、彼女たちの上司。増尾と彼の友人の鶴田。石橋佳男、里子夫妻。清水房枝、馬込珠代…。それぞれに主役となりうる背景があって、彼らの語りから、祐一像、光代像が少しずつ浮かび上がってくる。突発的、あるいは不思議に感じる行動には、そういう事情があったのか、と、納得できる展開だった。

最後の祐一の語りからは、安堵感さえうかがわれた。やはり彼は悪人ではない。でも自分が読者や鑑賞者ではなく(つまりこれが事実だとして)、彼と面識のない一視聴者だったら、彼を「悪人」と評するかもしれない。そんな世論こそ彼の望みだったのではないか。

実は、キャストが発表になったとき、私の頭にあった祐一像が、どうしても妻夫木クンと結びつかなかった。でも今回再読して、この組み合わせを絶妙と感じた。彼は、原作にあって映画にない部分をすべて、見えないところで演技していたと思う。

私の中では、登場人物の顔はもはや演じた役者意外には考えられないが、そんな状態でもう一度観たらどんな感覚になるだろう。あのとき、役者はどんな言葉を吐いていたか、どんな表情をしていたか、指先がどうなっていたか、風景はどうだったか…。もう一度観て確かめたいことがたくさん出てきた。



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「悪人」 吉田修一 :TK.blog

『悪人』      著者:吉田修一 出版社:朝日新聞出版 朝日文庫 <簡単なあらすじ> 長崎郊外の漁村に祖母と住んでいる土木作業員の...

コメント

私も読みました♪

こんにちは☆
映画を観たあと削られた部分や主人公たちの心理を知りたくて
原作本を読みました。
映画では突発的に思えたり判断は観客に任せるといったシーンが、
原作では本人達・周囲の人達の供述によって知ることができよかったです^^

そういやばヘルスで働く女性と友人の一二三は
映画では完全にカットされてましたね。
彼らが供述で話す祐一には起承転結の"起"と"結"しかないこと、
また母親にお金をせびっていた理由はキーワードになると思うんだけどなぁ。

映画を観てから原作を読むのと、原作本を読み詳細を知った上で
映画を観るのとでは印象が変わりそうな作品だなと思いました。

P.S 本日、東京国際映画祭の追加発売があったのですが、
またしても『ギャランツ~シニアドラゴン龍虎激闘』のチケ取れず(TT)
あと1週間!楽しみですねー☆

初めて読んだ感覚でした

TKATさん、こんばんは♪
お読みになったのですね!!

>そういやばヘルスで働く女性と友人の一二三は
映画では完全にカットされてましたね。
この二人はかなり大きな存在ですよね。
彼らの言葉が映画で語られていたら、祐一像はもっとはっきりしたはず。
>また母親にお金をせびっていた理由はキーワードになると思うんだけどなぁ。
そうなんですよね。映画では「被害者はどちらか一方だけ」という
考え方をバッサリ切っていましたね。
鑑賞後「謎は原作で確かめてください」と言われているような気分でした(笑)

映画が先か原作が先か…
映画が先だと、後で読む原作の登場人物は全員俳優の顔。
原作が先だと、映画で語られていない部分がわかっている状態。
この作品はどちらが先の方がいいのだろう。
私は原作を読んだと言っても、ヘルス嬢も一二三も忘れ、
ラストだけは覚えている、というおかしな状態でした(笑)

チケット残念でしたね。人気作品なのに劇場が小さいからなのですね。
いよいよ1週間。体調に気をつけねば…。
お互い、大いに楽しみましょう♪
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