さよならドビュッシー : 夢の国・亞洲文化宮

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さよならドビュッシー

20101010

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著 者: 中山七里
出版社: 宝島社
刊 行: 2010年1月

<あらすじ>
香月遥はピアニストを目指す16歳の少女。ある晩火災で祖父と従姉妹を亡くし、自身も大やけどを負う。退院した遥を待っていたのは、祖父の遺産相続と、音楽専科の高校への通学、そしてコンクールに向けた猛レッスンだった。彼女は師である岬洋介の指導の下、逆境を乗り越えようと努力を重ね、めきめきと上達する。ところがその過程で、遥は何度か命を狙われたうえ、身内の殺人事件に巻き込まれてしまう。

<感想など>
本作品は第8回「このミステリーがすごい!!」大賞受賞作。ちなみに第4回の大賞は『チーム・バチスタの栄光』である。

ミステリーと言っても、この物語では、謎解き部分よりも、少女が壁を乗り越えていく気迫の方が心に響いた。全身に大やけどを負った遥は、皮膚の移植を受け、過酷なリハビリを受ける。そんな中、彼女は箸を持つのもやっとという状況でピアノに向き合う決意をする。あるときを境に障がいを持つ身となった遥。彼女の目から見た景色が鮮明に描かれ、考えさせられることも多い。

音楽の描写も細かい。一曲の中には、作曲者の紹介、登場人物の背景や人生観、音色に対する感覚が盛り込まれ、音楽を知らない私も文字を追いながらその音色を堪能している気持ちになった。おそらくピアノを弾く人、曲目を知っている人には、文章表現がダイレクトに伝わることだろう。ここで取り上げられているのはいずれも有名な曲のようで、聴きながら文字を追うのも趣がありそうだ。

真相については、どんでん返しと見る人も、思い通りだったと考える人もいると思う。私は前者だった。唐突な感じは否めないが、この真相を知ってからこれまでの経緯を振り返ると、逆境を乗り越えようと頑張る少女の心が、より鮮明に感じられた。

不幸な出来事が次々を起こるわりに、全体に明るさが漂っているのは、登場人物にドロドロとした暗さが感じられないからだろうか。冒頭部分のお爺さんの頑固一徹な姿は、孫に受け継がれていると思えた。遥に意地悪をする同級生の描写は単純明快。師である岬からは中性的な風貌が想像できる。研三おじさんの飄々とした姿もおもしろく、彼の未来を是非見たくなった。各登場人物については、深層心理が描かれているわけではない。これが「明快」という感想につながるのかもしれない。

遥は、岬先生に魔法をかけられたと言うが、読んでいるこちらもまた魔法をかけられたような気分。軽快な旋律に乗せられて、時間は瞬く間に過ぎていった。

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