クロッシング : 夢の国・亞洲文化宮

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クロッシング

20100706

     crossing2.jpg

2008年/韓国/1時間47分(劇場で鑑賞)
監 督  キム・テギュン
英 題  CROSSING
出 演  チャ・インビョ  シン・ミョンチョル  ソ・ヨンファ
     チョン・インギ  チュ・ダヨン

<あらすじ>
北朝鮮の炭鉱の町。元サッカー選手のキム・ヨンス(チャ・インビョ)は、妻ヨンハ(シン・ミョンチョル)、息子ジュニ(ソ・ヨンファ)と、貧しくも幸せな生活をおくっていた。ところが妊娠しているヨンハが結核にかかり、病は日に日に悪化していく。ヨンスは薬を買うために中国行きを決意し、国境の河を渡る。彼は強制送還の手を逃れ、中国の大使館に逃げ込み、脱北者として韓国へ移送される。家族を思い、労働に明け暮れながら故郷に送金し続けるヨンス。しかしそんな中知らされたのは妻の死だった。

<感想など>
ジュニにとって、力強い父と優しい母は誇りだと思う。両親に丁寧語で話す習慣は、この国の教育にもよるのだろうが、彼自身の気持ちの表れとも見える。親子三人で囲む食卓はつつましやかだが皆が笑顔。またジュニは、父の友人の娘ミソンに淡い恋心を抱き、彼女もまんざらではないらしい。しかしこんな日常のささやかな幸せが、ある時を境に崩壊していく。彼は父と交わした約束―母を守ること―が果たせなかったことで、目の前にいない父に向かい「ごめんなさい」と叫ぶ。なぜ彼が謝らなければならないのか…。

ヨンスが命の危険を冒して国境を越えたのは、妻の薬を買うためだった。ところが目的を果たせないまま自分の意思とは違うところで脱北者となり、そのまま韓国へ。紆余曲折の逃亡生活を振り返ると、支援団体に出会ってからの早さが信じられない。同時に、北朝鮮に戻ってどうなるかを全く考えていない彼の浅はかさを思い知らされた。そして結核の薬が無料だと知ったときの呆けたような表情…。自分まで頭を殴られたようだった。

さて父子の再会は果たせるのか。後半はその瞬間に向かって期待を持たせる展開だ。ジュニが強制収容所を出て国境を渡るまでがあまりにもスムーズで、これまでの過酷な体験は何だったのかと思わせる。彼は俊足だ。鉄条網に向かって弾丸のように駆けていく姿からは、生に対する限りない執着が伝わってくる。

最後まで観て「もしヨンスが故郷を離れなければ…」という思いがチラリとよぎった。しかしすぐにこれを打ち消す気持ちも起こった。「もし」を語り始めたらきりがなくなり、真実はどんどん遠ざかっていくのではないか。情け容赦ないとはまさにこういうこと。ともかくこれを受け止めることしか今の私にはできないと思った。

折しもサッカーワールドカップの真っ只中。コートを縦横無尽に行き交うボールと、父子が別れ間際に蹴っていた石ころが重なり合う。でもその石ころの方が、ワールドカップのボールよりもはるかに大きく、重みをもったものに感じられた。

二人並んで雨のシャワーに胸を開く姿が忘れられない。別れた後も、二人は大雨に遭遇すると互いを思い出したかのように、気持ちよさそうに雨空を仰いでいた。あの雨には苦しみも何もかも洗い流す浄化作用があると思いたい。

先日の『闇の列車、光の旅』に引き続き、この作品もまた、命がけで国境を渡る人々を映し出していた。両者に共通するのは、制作者側の、真実を伝えるようとする気迫である。ただスクリーンを観るだけの自分が時にはもどかしくなるが、上にも書いたようにまずは受け止めることから始めようと思っている。

trackback

クロッシング :龍眼日記 Longan Diary

中国との国境に近い北朝鮮の村。 元サッカー選手のヨンス(チャ・インピョ)は肺結核にかかった妻(ソ・ヨンファ)を 一人息子のジュニ(シン・ミョンチョル)に託し、妻の薬を求めて一人 中国へ渡る決意をする。 しかし父の帰りを待たずしてほどなく母は亡くなり一人...

コメント

つらいけれど

孔雀の森さん、こんばんは。
私も物語の終盤、希望の光が見えた気がしました。
でも待っていた結末はつらいものでしたね。
確かに「もし父親が北朝鮮から出なければ」という思いが胸を過ぎってしまいます。
でもおっしゃる通り真実を受け止めるしかありません。
雨が降るたびに遠く離れた父子が同じ過去の楽しかった時を思い出すたびに絆の強さを感じました。

受け止めなければ…

sabunoriさん、こんにちは♪
ヨンスが結核の薬がタダと知った時の驚愕をどう表現しようかと
思っていた時、sabunoriさんの「生まれたところは選べない、
同じ人間なのに」というコメントを拝見し、まさにそれ!!と
小さく叫んでしまいました。
そして、まさかあの結末とは…。今もなお辛い気持ちです。
この作品、たくさんの証言を集め、詳細を知るスタッフを起用し、
4年もかけて撮影したのですね。
だからこそ、あれだけのリアルさが迫ってきたのでしょう。
私も制作者の方々には敬意を表したいと思います。
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いろいろな出会いを
大切に♪

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