永遠の0(ゼロ) : 夢の国・亞洲文化宮

スポンサーサイト

------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

永遠の0(ゼロ)

20100704

eiennozero.jpg



著 者:百田尚樹
   (ひゃくた なおき)

発 行:講談社(文庫)

刊 行:2009年7月
(単行本は2006年
太田出版より刊行)







<あらすじ>
健太郎は大学在学中から4回司法試験に落ち続け、26歳の今は、半ば諦めかけている。フリーライターの姉慶子は、そんな彼に、特攻隊員だった亡き祖父、宮部久蔵の調査に協力して欲しいと言う。新聞社員の高山から持ちかけられた企画だ。宮部は、6年前死去した祖母の前夫で、母清子の実父である。現在のおじいちゃんが実の祖父だと思っていた姉弟にとって、この事実は衝撃的だった。健太郎は宮部久蔵を知る人々を訪ね歩く。臆病者。勇敢なパイロット。妻子を心から愛した人。温厚。囲碁の腕はプロ級。「生還」が口癖。祖父の生きざまが次第に明らかになっていく。

<感想など>
宮部久蔵を語るのは10人の元軍人。正確に言えばエピローグ、プロローグの1人を含めた11人だ。彼らは宮部の人柄だけでなく、自分の環境、不条理な戦争、戦闘機の性能、アメリカの状況など、戦争の詳細を長時間語る。話の大部分は家族にも明かさなかった事実である。正直なところ、今まで戦争を知ろうという気持ちは薄かった。親に「戦後生まれのあんたたちは幸せだ」と言われる度に「またか」とわずらわしさを感じていた。しかしこれを読み終えた今は、逆に尋ねたいことが増えた。

宮部久蔵は妻子を愛していたのか。なぜ彼は特攻を志願したのか。この疑問を軸に、宮部像が徐々に浮き彫りになっていく。最初の人物、長谷川は宮部を臆病者だと言ってさんざんけなす。姉弟は落ちこむが、やがて彼の言った「臆病」に深い意味があることを知る。「死にたくない」と公言をはばからない宮部を、二番目の証言者伊藤は「立派な考えではないと」評する一方、勇敢なパイロットだったとも言う。

三人目の井崎の話には引き込まれた。宮部は生き残ることを第一に密かにトレーニングを積む。凄腕の秘密はここにあったのだ。落下傘で降下する米兵を撃った理由も明かされる。卑怯だと陰口をたたかれながらも信念を貫く宮部の姿が浮かんだ。また、呉清源を育てた瀬越憲作の弟子だった事実は、元整備兵永井によって知るところとなる。

宮部の言葉に影響を受けた人々は多い。特攻を志願したことを宮部から責められる谷川。教官である宮部からなかなか合格点をもらえないことに抗議する岡部。世論を動かすマスコミを批判する武田の激高する姿が胸に焼きつく。ページが進むにつれ戦局が厳しくなり、これと並行して宮部像がはっきりと形作られる。姉弟の思慮も深まる。このような加速化する展開には読む側の緊張感も高まる。

犠牲者は増え、戦闘機の性能は落ち、ついには「桜花」という着陸用車輪のない機まで登場。人間を使い捨てる日本軍と、人間を重んじる米軍との対比もなされ、当時の高級幹部の愚かさが語られる。やがて宮部を心から尊敬する者たちにより、宮部を守ろうとする動きが出始める。ここまで読むと、宮部はどこかで生きているのではないかという期待が生まれた。

最後まで読んでから景浦が登場する第十章『阿修羅』を再読。彼が健太郎を抱擁する場面で涙が出る。戦争に対する憎しみ、宮部に対する想いが、この一瞬に凝縮されているように感じた。

戦争という狂気を作り出したのが何だったのかはわからない。しかし知ろうとする姿勢は持ち続けなければいけないのだと、この作品は教えてくれる。

コメント

No title

なんで、特攻したのですか?

理由をわかりやすく教えていただけないでしょうか?

No title

岡田君LOVEさん、こんにちは。
ご質問の内容、私にとってはまさに「永遠の課題」です。
ところで来年には映画が公開されるようですね。
ストーリー展開、キャストなどに興味津々です。
非公開コメント
プロフィール

孔雀の森

Author:孔雀の森
いろいろな出会いを
大切に♪

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最近のコメント
カテゴリー
最近のトラックバック
最新の記事
リンク
ブログ内検索

Pagetop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。