東京バンドワゴン : 夢の国・亞洲文化宮

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東京バンドワゴン

20100629

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著 者:小路幸也
    (しょうじ ゆきや)

出版社: 集英社(文庫)

刊行年: 2008年4月
(単行本は2006年4月刊行)








<内容>
語り手は堀田サチ。古本屋「東京バンドワゴン」を経営する堀田勘一の奥さんである。2年前に亡くなり、現在は幽霊として堀田家と周囲の人々を見守っている。物語は春、夏、秋、冬の四章から成り、話が進むにつれ謎が一つずつ解明されていく。

<登場人物>(巻頭の人物覚書の概要)
堀田サチ:古書店主堀田勘一の妻で、76歳で死去。
堀田勘一:頑固な三代目古書店主。
堀田我南人<ガナト>:勘一、サチの息子で60歳。伝説のロッカーと言われている。
堀田藍子:我南人と亡き妻秋実の娘。未婚で娘を育てている。古書店のカフェを経営。
堀田花陽:藍子の娘。小学校6年生の12歳。
堀田 紺:我南人、秋実の息子で藍子の弟。フリーライターをしながら家業を手伝う。
堀田亜美:紺の奥さん。藍子と一緒に古書店のカフェを切り盛りする。
堀田研人:紺、亜美の息子。小学校4年生の10歳。
堀田 青:26歳。我南人の息子で母は不明。添乗員をしており女性とのうわさが耐えない。
マードック:堀田家の近くにアトリエを持つイギリス人。藍子に惚れている。
牧原みすず:青と結婚するつもりだと言って堀田家に押しかけ、家業の手伝いをする。

<感想など>
複雑な家族関係を理解するのに、最初は巻頭の人物説明や人物相関図が手放せなかった。しかし徐々にわかってきて、最後には強烈な印象が焼きつけられた。一度覚えたら忘れられない面々ばかりだ。家族みんなで問題を解決しようとする場面、にぎやかな食卓、そしてご近所との人情味溢れる付き合いなどは、ホームドラマの一コマのよう。食事時の会話では、隣り合った「」の言葉が噛み合わない。でも一行あるいは二行先の言葉とは噛み合う。みんなが一斉に言葉を発している様子が紙面から伝わってきて微笑ましくなる。また、語り手である亡きおばあちゃん(大ばあちゃんと言うべきか)の口調は、品があって心地よい。

ミステリーが解明されていく過程は結構ドキドキする。藍子の娘、花陽の父親は誰なのか。また、青の母親は誰なのか。何でも率直に言い合えるような家庭に、こんな大きな謎が未解決のまま放置されているのが不思議。そしてこれらがすんなり解明された瞬間、やはりドラマだ!と思った。だってありえないもの!!すると最後のページに一行、「あの頃たくさんの笑いと涙をお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ。」とある。当時のホームドラマに対する著者の思いを感じる一言だった。

ホームドラマにありがちな嫁姑問題が皆無なのは、姑の立場であるサチと秋実が故人だからだ。もし二人が健在ならどんな物語になっていただろう。嫁、姑の関係は、ドロドロでも仲良しでも、ありふれた光景に見えてしまうのではないか。その周囲がどんなに個性豊かであっても、ごく普通の物語で終わる気がする。この作品では、その嫁、姑をばっさり切ったことで、斬新な人間関係の流れを作り出していると思う。

伝説のロッカーと言われる我南人は、今も芸能人として顔を知られている。端正な顔立ちでスタイルがよく、金髪が似合い、「LOVEだねぇ」が口癖のおじいちゃん。ありえない!!でもなぜかとてもリアル。ある人物に重ね合わせてしまうからだろうか。我南人は、頑固親父の勘一、優しいサチのどちらに似たのだろう。この親子の顔をどうしても見たくなる。

我南人の子どもの名前が、藍子、紺、青と、ブルー系で統一されているのがおもしろい。青を、藍子や紺と同じように育てようとした気持ちも見えてくる。それ以上に「我南人」と名づけた勘一、サチ夫婦のセンスは光っている。我南人はロッカー。藍子は画家。家業は古書店とカフェ。家全体にアートの香りが漂っている。

ふらりと立ち寄ってみたくなる家だった。

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