闇の列車、光の旅 : 夢の国・亞洲文化宮

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闇の列車、光の旅

20100627

     hikarinotabi.jpg

2009/アメリカ・メキシコ/1時間36分(劇場にて鑑賞)
監 督  キャリー・ジョージ・フクナガ
原 題  Sin Nombre
出 演  パウリナ・ガイダン  エドガール・フローレス
     クリスティン・フェレール  テノック・ウエルタ・メヒア
     ディアナ・ガルシア

<あらすじ>
メキシコの少年カスペル(エドガール・フローレス)はギャング集団の一員。ボスのリルマゴ(テノック・ウエルタ・メヒア)、新入りの少年スマイリー(クリスティン・フェレール)と共に貨物列車の屋根に乗る。不法移民から金品を奪うためだ。ところがカスペルは、少女に襲いかかったリルマゴを殺し、スマイリーを逃がしてしまう。この直前、カスペルは恋人マルタ(ディアナ・ガルシア)を失っていた。彼女は、リルマゴに襲われ転倒した弾みで頭を強打して亡くなったのだ。以後カスペルは組織から命を狙われる身となる。彼に救われた少女、サイラ(パウリナ・ガイダン)はホンジュラス出身。父、叔父と共にアメリカを目指していた。カスペラは途中で密かに下車するが、何とサイラも降りていた。彼女はカスペラに、一緒に国境を越えようと言い出す。

<感想など>
貨物列車で国境を目指す人々の半数は目的を果たせないという。国境警備隊に捕らえられたり事故に遭ったりする確率は極めて大きい。そんなリスクを冒しても母国を捨てようとする人々が後を絶たないのはなぜなのか。自分には到底理解できない世界を、映画館でほんの一瞬のぞいてみた、という感覚が残る。

カスペルはギャング集団<マラ・サルバトゥルチャ>に属している。彼は幼い少年スマイリーを仲間に引き込み、少しずつ認められていく。ボスに可愛がられ、新入りに兄貴風を吹かせることで自尊心がうえつけられる。<マラ>の指サインをするときの誇らしげな表情がそんな気持ちを物語っており、少年が闇の世界に入り込んでいく状況がリアルに描かれている。その一方で、カスペルは恋人との逢瀬を組織には内緒にしていた。彼はこの組織が「悪」であると十分自覚している。そして、人を愛することも、また愛する人を失った悲しみも知っている。彼の人間的な心が、後の思いがけない行動を促したようにも思える。

スマイリーが殺人鬼になっていく過程はショッキングだった。初めて人を殺めたときは、食事ものどを通らないほどだった。ところがそんな彼が、見る見るうちに泥沼にはまっていく。貨物車から逃げたとき、彼が頼るところは<組織>しかなかったのだ。この現実はあまりにも悲しい。

サイラは命を救ってくれたカスペルに無限の信頼を寄せているように見える。恋とか愛とか、簡単に言葉に表すことのできない深い感情が、大きな瞳に湛えられていた。カスペルにもそれがわかっていた。だからこそ彼女から距離をとろうとしたのだろう。当初彼には未来など見えなかっただろうが、サイラと行動を共にするうちに希望を持ち始めていたのではないか。国境の河で彼女を送った彼には、安堵の表情が浮かんでいた。しかし…。タイトルの「光の旅」がかすんでしまう。

一縷の望みを求め命の危険をも冒す旅人たちにとって、彼らの母国は生きていくことの難しい場所なのだと推察できる。運よく国境を越えた人々にとって、母国は旅の終着地にはなりえないのだろう。彼らはずっと不法移民という<旅人>であり続けなければならない。サイラがカスペルの「家族を養え」という言葉を実行に移し、周りの人々の信頼を得ていくことを願うしかない。

先日読んだ「深夜特急」も、これまでの自分の旅も、急に遠くなってしまった気がする。比較は無意味だと十分わかっていながらどうしても比べてしまう。富める国の人々の旅は本人たちにとってどんなに意味のあるものであっても、今は遊びにしか見えない。

数々の映画賞に輝いた見ごたえのある作品。それなのに、現在の上映館が都内の一か所だけなのは残念だ。こういう作品こそ全国一斉に公開していただきたい。

コメント

生への力強さを感じます

孔雀の森さん、こんばんは。
この作品知らないわ〜と思っていたら今日劇場で予告を観ました。
こちらは8月初旬公開ですって。
辛い物語のようにも思えるのですが良さそうですね。
観てみようかと思います♪

忘れられない作品です

sabunoriさん、こんにちは♪
一足先に鑑賞させていただきました。
想像を絶する世界が広がっていて、終始くぎづけ状態でした。
おっしゃるように辛い物語です。
こういう現実があるんだな、としばらく立ち直れない気分です。
ご感想、楽しみにしています。
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いろいろな出会いを
大切に♪

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