夜奔 : 夢の国・亞洲文化宮

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夜奔

20100620

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1999年/台湾/2時間(台湾版DVD)
監 督  徐立功(シュイ・リーゴン)
英 題  Fleeing by Night
邦 題  夜に逃れて
出 演  劉若英(レネ・リウ) 黄 磊(ホワン・レイ)
     尹昭徳(イン・ジャオドー) 戴立忍(レオン・ダイ)
     歸亞蕾(グア・アーレィ)

<あらすじ>
1930年代の天津。アメリカに留学していたチェロ奏者、徐少東(黄磊)が帰国し、英児(劉若英)は双方の親と共に出迎える。少東の父は銀行頭取、英児の父は劇場雲天楼の経営者。2人は、親同士が許婚<いいなずけ>と決めた間柄である。英児は早速少東を崑劇<林冲夜奔>に誘う。少東は瞬く間に林冲(尹昭徳)に魅せられ、崑劇を習いたいと言い出す。英児、少東、林冲は楽しい時を過ごすが、彼らの仲を苦々しい思いで見ている者がいた。毎晩林冲目当てに大金をつぎ込む黄子雷(戴立忍)である。

<感想など>
日本でずいぶん前に映画祭上映が行われたようだが知らなかった。キャストの組み合わせが面白そうで、台湾の店で思わず買ってしまった。

物語は一人の男性の回想によって進む。アメリカ在住の年老いた少東と、チェロを持つ青年少東が交互に映し出され、現在の思いや英児あてのメッセージを伝えている。最後までみてからこの冒頭シーンに戻り「ああ、なるほど!」と思った。

少東と英児はいいなずけとはいえ、幼い頃親が決めたことなので互いに顔さえ知らない。相手を知る手がかりは、文通で交わした手紙の文面だけ。ワクワクドキドキの対面を果たし、一緒に歩く2人は、どこから見てもほほえましいカップルである。しかしその少し前に、英児はある人物に心を惹かれていた。舞台で一人練習をする林冲だ。そして間もなく、少東もまた、崑劇を舞う林冲に衝撃を受ける。3人は友情を深めていくが、それは微妙な感情の上に築かれた関係だ。少東と英児も幼いころから互いが許嫁の関係であると強く自覚している。だから心の奥底に芽生えた感情になかなか気づかない。しかし無意識のうちに想いだけがふくらんでいく。哀しいメロディが切なさをかきたてる。

画面は終始暗い。彼らの感情が噴出する場面がはっきりしないので、耳をすまさなければわからない。林冲をひいきにする黄は、天津港を仕切る黄家の若旦那。林冲の耳元でささやく動作や、暗闇の中での息づかいによって2人の関係が明らかになる。戴立忍のねちっこい演技が憎憎しさを増幅させ、戴立忍と知らなければ一目で嫌いになっただろう。また、車の後部座席で、林冲が少東の手をきれいだと言って近づいていくシーンも、暗闇にまぎれ、見落としそうになる。この作品は、肝心なところが暗がりに隠されている。

林冲が師匠を殺して逃亡した後、少東は英児に求婚する。彼女を抱き寄せ「我喜歓你」と言う。「愛」じゃなくて「喜歓」。この違いはものすごく大きい。それは英児も承知だ。少東は再びアメリカに渡り、2人はまた文通をする。昔の文通では互いに隠し立てすることなどなかったのに、今回は言えないことも多い。その後、英児は少東と再会して初めて林冲への想いを告白し、少東もまた、林冲に気持ちを伝えられなかったのを後悔したと話す。2人は同時に林冲を愛した。彼の死が伝えられた後は、思い出と悲しみを共有する同志的な関係に見えた。

最後に、老いた少東が「妻(英児)の墓は、自分と林冲の墓の間に置く」と語る。しばらくこの意味がわからなかったが、ふと、3人が焚き火を囲んで笑いあっていた、あの晩を思い出した。並び順は少東、英児、林冲。お酒を回し飲みしていたっけ。あの世でもあんなふうに仲良く並んで楽しくやろうではないか、という彼の気持ちは、とても自然に思えた。同時に、この人間関係が英児を中心として保たれているようにも感じるのである。

カフェで目を閉じた少東の顔には、安堵感が広がっていた。

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