記憶の海 : 夢の国・亞洲文化宮

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記憶の海

20100606

kiokunoumi.jpg

著 者: 松田奈月

出版社: 講談社

刊 行: 2010年3月











<あらすじ>
大学の脳医学研究室に籍を置く広田学は、事故の後遺症で記憶を3分間しか持続できない。しかも事故から遡った5年間の記憶も失っていた。いつも傍らにいる恋人の小野里美のことさえ覚えていない。その事故後、山内教授の方針から、彼は治療も兼ねて記憶読み込みの媒介者として、人の記憶を脳内で受け止め、口頭で伝える役割を果たしている。研究員の里美もマザー記憶保有者となり、彼を媒介として記憶を伝達し、学の回復を根気よく待っていた。やがて彼は、認知症の男性、電車内で突然記憶を失った女性、研究を取材する男性、弟の淳の記憶を見ることとなる。


<感想など>
最初に、実際にこんなことが行われているのか、あるいは将来行われる
可能性があるのかと、様々な疑問が頭を駆け巡った。
医療現場、研究現場はこれをどう受け止めるだろう。。
マザー記憶保有者の記憶を媒介者が読み上げ、コンピュータのハードに
記憶させる。
研究とはいえ、人の心をのぞく作業、人為的に記憶を「いじる」作業は、
倫理的に許されていいものなのか。
物語ではこうした負の要素も踏まえたうえで、記憶コピーの依頼者の
人生を披露する。
各登場人物の状況を「カルテ001」から「カルテ006」としてまとめ、
記憶をコピーすることにより、真実を導いていく。
依頼者や家族が、満ち足りた気分、あるいは期待していた結果を胸に
帰途につくところでは、研究の意義を感じることができる。
人間の記憶は、その後の経験によって変化していくものだとの言葉が
印象に残った。
でももし自分の記憶に障害が生じたら…。記憶のコピーを依頼するだろうか。
心を見られたくない。でも記憶は取り戻したい。そのせめぎ合いで
心が壊れてしまう気がする。

3分間しか記憶をとどめておけない男。
男が記憶を取り戻すのを待っている女。
男にとって、その女はいつも初対面である。
2人はこれからの人生でどれほどの出会いと別れを繰り返すのだろう。
希望と絶望が入り混じる中、少しずつ未来が開けていく様子には救われた。
しかし、第三者の手に記憶が委ねられることに対する強い抵抗は、
ぬぐいきれない。
暖かなエンドを迎えても、ああよかったとは思えない物語だった。
本書はドラマ原作大賞受賞作で、3月末、伊藤歩、筒井道隆主演のドラマが
放映されたとのこと。
機会があれば観たい。

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