Over the Wind オーバー・ザ・ウィンド : 夢の国・亞洲文化宮

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Over the Wind オーバー・ザ・ウィンド

20100512

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著 者: 川島 誠 川西 蘭
     小路幸也 須藤靖貴 
     誉田哲也 松樹剛史

出版社: ジャイブ

刊 行: 2009年4月







<内 容>
6人の作家による「青春スポーツ小説アンソロジー」。

松樹剛史『競馬場のメサイア』
山辺<ヤマノベ>啓は父と二人暮らし。サッカーのスポーツ推薦で入った高校を退学後、コンビニでアルバイトをしている。そんなある日公園でジョギングする女性と会う。彼女の名は新川奈津。騎手である。腕の骨折が完治するまでトレーニングをすると言う。

小路幸也『peacemakerピースメーカー サウンド・オブ・サイレンス』
林田良平は赤星中学の放送部員。6歳上の姉も同じ放送部所属で「ピースメーカー」と呼ばれた伝説的人物である。良平にとっては自慢の姉だ。あるとき剣道部の実力者2人が八百長をするのではないかという噂が立つ。

須藤靖貴『アップセット』
真佐夫は大学の社会福祉学部3年生。所属するアメリカンフットボール部がオフの現在、市の児童相談所で実習をしている。その実習とは小学生の優毅とのキャッチボール。真佐夫は、家庭訪問で優毅が家で大事にされていないことを知る。2人はだんだん親しくなり、真佐夫は自分の試合に優毅を誘うのだが・・・。

川島 誠『ないしょだよ』
中学生の浅田がまだ幼かった頃の話。彼は父母と建設現場の宿舎に住んでいた。そこに出入りする様々な大人に可愛がってもらったが、特に印象に残っているのはバスケットボールを教えてくれたリョウちゃんだった。

誉田哲也『見守ることしかできなくて』
小学校4年生のとき「俺」はフィギュアスケーターのユウナに恋をする。きっかけは、無理やり通わされた短期スケート教室で、彼女が靴を借りてくれたことだった。翌年も「俺」は彼女に会えるものと期待したが、彼女は別の練習場に移ったと知りガックリ。しかし何と、中学生になって学校で再会する。

川西 蘭『ワンデイレース』
南雲真一は3ヶ月ぶりに自転車に乗った。高校最後のレースが終わってからは受験勉強に専念していたが、急遽祖父から自転車大会の運営を依頼されたのである。その大会とは「金剛ヶ峯自転車ロードレース大会」。スポンサーが降りたため南雲学院の自転車部が中心となって開かれることになる。

<感想など>
印象に残った3編について。

最後の『ワンデイレース』を最初に読んだ。これは『セカンド・ウィンドⅡ』の「その後」である。キャプテンだった南雲真一は引退して、溝口洋が新キャプテンになっている。そうか。溝口君、スランプを脱した後チームの要になったのね!「Ⅱ」では厳しい環境で切磋琢磨する者たちが中心だったが、今回は運営側の気持ち、さらに勝負を超えた心境が描かれており、爽やかな読後感だった。今回の南雲真一は最後、表向きはかっこ悪い。だからこそカッコイイ。矛盾するがそれが正直な感想。

『ないしょだよ』のラストでは驚愕すると同時にいたたまれなくなった。バスケットボールを教えてくれ、尊敬もしていたリョウちゃん。なのに…。リョウちゃんのとびきりの笑顔って、結局は裏切りの象徴ではないか!!
口語体で全体的に短い文なので、さらりと読めてしまう。でもラストはさらりとはいかない。幼児の目から見たその光景は無機的で、そのことが限りなく悲しいものに思えてならなかった。

『見守ることしかできなくて』は切ない。なぜ見守ることしかできないのだろう、なんて、最初は考えもしなかった。途中までは、手の届かないマドンナを求めるようなものだと、主人公が滑稽に見えた。しかしインタビューでのユウナの言葉にびっくりして、前を読み返した。するとこんな一文が。「幸い、家族は無事だったけど―」気にも留めなかったこの一言が重い。へらへらした口調が悲しみを倍増させる。

アンソロジーは、作家との出会いの場でもある。
新たな出会いを楽しみに、ほかのアンソロジーも読んでみたい。

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