孤高のメス ― 神の手にあらず ― : 夢の国・亞洲文化宮

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孤高のメス ― 神の手にあらず ―

20100504

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著 者: 大鐘稔彦
出版社: 幻冬舎文庫
刊行年: 2009年

<あらすじ>
『孤高のメス ― 外科医 当麻鉄彦 ―』の続編。
当麻鉄彦は甦生記念病院を辞した後、台湾の高雄博愛医院で再び外科医として働くことになった。元同僚の矢野も当麻を追って訪台。2人は徐々に台湾の習慣に慣れ、病院に不可欠な存在となっていく。一方、甦生記念病院では医師不足の上、後任の外科医、荒井の評判が悪く、経営危機に陥っていた。
大川翔子が台湾を訪れる。翔子の当麻に対する気持ちは変わらず、当麻も翔子への想いを募らせる。そんな中、肝移植で一命をとりとめた大川に拒絶反応が出て台湾に来る。ドナーとして翔子が候補に挙がるが、彼女はドナーになれない状況であることが判明する。

<感想など>
まさに当麻鉄彦礼賛物語だ。彼をほとんど神格化している。手技はあざやかで性格は穏やか、その上強い信念の持ち主でイケメン・・・。みんなが拝みたくなるのも当然かも知れない。

最初、こんな完璧人間面白くない!と思ったのは、前作を読んでいなかったからだろう。彼には医療を極めなければならない理由があったのだ。兄や恋人の死については前作に詳しい。またその前作では母も亡くしている。辛い出来事をバネにして飛躍する人間、と考えれば、彼の完璧さは賞賛に値すると言えるだろう。

今回の舞台は台湾の高雄である。日本での苦難から開放され生き生きと働く主人公の姿や、高雄の開放的な土地柄や人々の姿、さらに無輸血手術希望の患者など、盛りだくさんの内容となっている。

恋愛模様が多く描かれているのが前作と違うところだ。
当麻は、10年前に劇症肝炎で亡くなった婚約者を忘れられず、翔子に惹かれながらも一歩を踏み出せないでいた。しかし今回はその一歩を踏み出すのである。そんな2人には、著者の女性観、貞操観念が反映され、高潔な意識がまぶしく映る。主人公があまりにも理性的過ぎて小説としては物足りなさも感じるが、こういう男性に愛される女性は幸せだと心から思う。

術野の場面は前作以上に詳細を極め、飛ばして読まざるを得ないところも少なくない。まるで医学のテキストだ。外科医は常に腕を磨き先端技術を学ばなければならないという主人公の一貫した態度は、医者である著者ならではの描写だろう。

このように医療現場がリアルなのに対し、人物、特に女性には現実味が感じられない。主人公の女性に対する理想が限りなく高く、彼にとって都合が良過ぎる存在として見えてしまうのだ。そんな違和感は最後まで拭えなかった。

医療小説だから仕方ないといえばそれまでだが、死にゆく者があまりにも多く、しかも主人公にとって大切な人々ばかりで、読んでいるうちに滅入ってくる。ラストはほんとうにいたたまれないが、彼はいつか、亡くなった人物が希望する身の振り方をするのかもしれない。前作もこの作品も、時代はかなり前のようだ。現在の当麻が登場する物語を読んでみたい気もする。

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