宮城谷昌光『孟嘗君』第5巻 : 夢の国・亞洲文化宮

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宮城谷昌光『孟嘗君』第5巻

20100120





  出版社: 講談社(文庫)



  刊 行: 1998年10月






<あらすじ>
田文が洛芭を探しているとき、洛芭は子供の行方を追っていた。しかし両者とも手がかりがつかめずにいた。
そんな中、田文は実父田嬰から結婚を命じられ、不本意のまま、会ったこともない花嫁の到着を待つ。そして新婦と対面した田文は驚愕する。何と洛芭ではないか。実は、田文の育ての父白圭が、水面下で、洛芭を西周王の養女に推挙し、洛芭が西周姫として田文に嫁ぐよう画策したのだった。

田嬰が薛<セツ>の国主となり、田文は邑<ユウ>(村の意味)を与えられる。田文は家族や食客と共に村の運営にあたり、人口は見る間に増えていく。田文-孟嘗君の名評判からだ。やがて孫臏が死去。「天下の宰相になれ」という孫臏の言葉を胸に、田文は村を離れ諸国漫遊の旅に出る。

斉の宰相鄒忌<スウキ>が、琴作り職人の笊音<ソウイン>宅を訪れ、琴の製作を依頼する。彼は、毒性のある木で作った琴によって、斉王の暗殺を謀っていた。この件は、笊音の使用人、干申<カンシン>の予想通りだ。斉王はその琴が原因で死去。やがて田嬰のもとに鄒忌の陰謀が密告される。鄒忌は琴を引き取りに笊音宅を訪れ、そこで殺される。

田文は魏、斉、秦で宰相を務めるが、秦では命を狙われ、その難局を「鶏鳴狗盗」(盗んだ狐白裘を秦王の妃に献上して王へのとりなしを依頼し、鶏の鳴き声の物まねによって函谷関を開かせて、脱出。)で打開し、故郷の斉に戻る。周で白圭を看取った後は、薛、魏へ赴く。この時代には食客馮諼<フウケン>の助力が大きい。魏で宰相を務めた田文は紀元前279年に逝去する。


<感想など>
この5巻だけは時間をかけて再読したいと思って購入した。田文、洛芭の結婚の経緯はドラマチック。鄒忌死去までのエピソードはミステリアス。そして終盤秦を脱出するところはスリリング。最後まで胸の高鳴りが止まらなかった。作者の後書きや縄田一男氏に解説からは、両者の歴史観や視点がよくわかり、何度も読み返した。購入してよかった!!

タイトルは『孟嘗君』だが、半分以上は育ての父白圭のエピソードで占められ、田文こと孟嘗君が活躍するのは後半からである。彼の半生については、この5巻が最も躍動感あふれる展開になっているのではないだろうか。彼は白圭の生き方を学んで、人々の役に立つ人間になろうと、各国を回る。その思想背景には、世の中の均衡を図るという、孫臏の考え方もある。この巻に描かれているのは、幼い頃から偉大な人物の中で育った主人公の、集大成ともいえるだろう。

ラストで大活躍の馮諼。その素性についてはいろいろな解釈が可能だろう。田文、洛芭夫妻の長年の苦労も、彼の出現によって報われたと考えたい。欲を言えば、彼こそ探し続けてきた人物であった、と解釈したい。

作家は膨大な歴史書を丹念に読み込んだ上で、物語としての感動を与えるために、あえて史実を離れた展開を作っているという。ならば読む側としても史実に近い歴史を知りたいものだ。かつて斜め読みした『史記』の、孟嘗君が描かれている部分をもう一度読みたい。また『戦国策』にも挑戦したい。
平行して鑑賞しているドラマ『大秦帝国』は、最終回までまだまだ遠い道のりだ。私の戦国時代はしばらく続きそうだ。

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