有川 浩『植物図鑑』 : 夢の国・亞洲文化宮

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有川 浩『植物図鑑』

20100108




  出版社: 角川書店



  刊行年: 2009年6月






<あらすじ>
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。躾のできたよい子です」
(以上引用)
河野さやかは20代半ばの会社員。ある晩、自宅マンションの植え込みにうずくまっている若者を発見する。所持金が底をついたというその男が発したのが上の言葉だった。
宿泊の礼として、男は翌朝とびきりおいしい朝食をさやかに振舞う。以来、彼はアルバイトをしながら家事全般を請け負う契約で、さやかの家の住人となる。彼は「イツキ」という名であること以外、自身について何も語ろうとしない。2人は休日には一緒に野草を摘みに行き、その食材でイツキが作った料理を楽しむという日々を送る。さやかは植物に詳しくなりたくて、思い切って植物図鑑を2冊買い、イツキに見つからないよう布団の間に隠しておくが…。


<感想など>
これ1冊がレシピであり、エコ生活推進本であり、食育教科書であり、そしてベタ甘恋愛小説である。
彼らの恋心を味わいながら、料理や環境問題についての知識もつく、と考えると結構お得な気もするが、2人に対してはだんだん「いい加減にセイよ!」と言いたくなってくる。

ありえない話だ。
ある日突然舞い降りてきた天使。(実際には地を這っていたわけだが)
イケメンで、家事は完璧、家主(さやか)のために弁当まで用意し、細やかな気配りができて優しくて…。この「天使」、まさに「できすぎくん」である。
普通の感覚なら、植え込みに人が倒れていたら110番通報するところだ。しかしあえてそれをせず、家にあげるというとんでもない行動に出たことで、彼女は思いがけない幸運をつかんでしまう。
そしてこの幸運は、後で彼の「引き金」を引いた一件も含め、いずれも酒の効用だった。
こんなこと、良い娘(こ)は絶対にまねしてはいけません。(笑)
でも、架空の世界と割り切って2人のママゴトを見届けるのも悪くない。

ありえない設定とは裏腹に、生活感漂う展開は現実味を帯びている。
この作品で紹介されている植物は、ヘクソカズラ、フキノトウ、フキ、ツクシ、セイヨウカラシナ、ノビル、タンポポ、シロツメクサ、アカツメクサ、オオイヌノフグリ、レンゲ、ユキノシタ、クレソン、イヌビユ、スベリヒユ、アップルミント、ヨモギ、ハナミズキ、ハゼラン、ニワゼキショウ、ネジバナ…etc…。
それぞれの植物が一つの章となって、2人の思い出が綴られていく。
イツキの料理の手順がそのままレシピとなり、ちょっと参考にしたくなってくる。
彼が嬉々として家事をする様子を見ているうちに(読んでいるのだけれど)、視点を少し変えるだけで普段面倒でいやだなと思っていることも楽しくなるものかもしれないと思った。
また、せっかく緑豊かなところに住んでいるのに無関心だったのはもったいない、今日からでも気に留めようかな、とも思った。
もっとも、私の場合は、影響を受けて変わっていくさやかとは違い、しばらくたったら今の心境も忘れてしまうのがオチだ。(笑)

さてイツキっていったい何者なんだろう。そんな疑問が、最後まで興味を引っ張ってくれた。

日常に転がるささやかなものや出来事は、考え方次第、頭の使い方次第で幸せや満足感につながるのだな、と思うと、今日は昨日よりも周囲に優しくなれるような気がしてきた。

あ~ お腹いっぱい!!と言いつつ別腹は確保できている私。ごちそうさま!な、一冊だった。

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「植物図鑑」 有川浩 :TK.blog

『植物図鑑』     著者:有川浩  出版社:角川書店 <簡単なあらすじ> さやかがイツキとであったのは冬終わりの夜だった。...

コメント

こんな出会い…

絶対にあり得ませんよね(笑)。同じ家にイケメン君がおり、掃除洗濯をしてくれて
健康で美味しい食事を作ってくれ、休みの日には健康的に植物探索、
いろいろありつつ最後には…ないですないです~!
こんな出来すぎ恋愛あったらこわすぎる(笑)。
有川さんだからこんなベタ甘もありなんなんですけどね^^;

私はもっぱら知らない植物がどのような料理になるのか興味津々で読みました。
あとがきによると有川さん自身が道草観察がお好きなようで、実際に
作中で紹介されてる料理はご自身も作って食べられたものが殆どとか。

イツキのような植物オタクくん(しかもイケメン)が私に料理を作ってくれ、
その都度いろいろ教えてくれたら私も植物に興味を持つかもしれませんが、
現実、今作品を読んだだけでは重い腰はあがりません(笑)。
孔雀の森さんと同じく「ごちそうさま!」な1冊でした^^

ありえませんよね~

TKATさん、こんにちは♪
ほんとにあり得ない設定ですね。100パーセントドラマだわ~
どうしたらこういう男児が育つんでしょうね。カレの親を見たいものです。
その辺の家庭事情も書いてあり、ますますありえない感を強めた私です。

>有川さんだからこんなベタ甘もありなんなんですけどね^^;
ですよね~ でもこうして突っ込みながらかなり楽しんでいます。

レシピは相当詳しくて美味しそうですが、やはり私も作ってもらいたい派です。
特にイツキくんのようなイケメン男児に!(笑)
なるほど作者自身が料理好きなのですね。
そんなワクワクした感覚が文章にあふれていたように思います。
ちょっと見習わなくちゃね~という思いを強めましたが…。

主人公がごく普通の人というのも好感が持てました。
まったく、拾う方も、拾われる方も、幸運としか思えないお話でしたね~
こうしてコメントを書いている今、おなかいっぱいな気分になってきました。(笑)
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