宮城谷昌光『孟嘗君』第4巻 : 夢の国・亞洲文化宮

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宮城谷昌光『孟嘗君』第4巻

20100107

 
  出版社: 講談社


  刊 行: 1995年11月


<あらすじ>
斉国の宰相鄒忌<スウキ>は、馬陵の戦いで手柄を上げた田忌将軍を妬み、謀略により彼を楚国に追いやる。鄒忌は以前から、隻真と隻蘭に田嬰(王の弟)を敵と信じ込ませ、暗殺を企てていた。田文はこれを父田嬰に話す。しかしこの情報が漏れて隻蘭は誘拐される。田文は隻蘭を救出する際、彼女は姜姓最後の君主康公貸の娘で、その父の仇である威王の子を身ごもっているのを知る。田文は彼女を白圭、翡媛夫妻の住む周へ連れて行く。隻蘭は過去を捨てるために、白圭の勧めで「洛芭<ラクハ>」と改名、生まれた男児は商人鄭両の元で育てられることとなる。
田文は治水工事の監督に忙しい日々を送っていた。洛芭は河畔へ田文を訪ね、2人は一夜を共にする。洛芭は秦へと旅立つ。
秦では公孫鞅が死去。彼の妻で白圭の妹、風麗の危機が伝えられる。田文は白圭の要請を受け、風麗を救出する。
田嬰は韓の昭君に魏国との和解を提案。この外交が実を結び、田嬰は鄒忌に替わり宰相となる。
田文は洛芭が自分の子を妊娠、出産したと聞き、行方不明の彼女を探し始める。

<感想など>
この巻でようやく主人公田文の活躍が始まる。しかし場面によって語り手が変わる上、戦国時代の国情が複雑すぎて、脈絡がつかみにくい。国益のために同盟を結んだり、他国間の仲裁をしたり、謀略を使ったりと、国内外は戦々恐々としている。

面白いのは食客と言われる人々の存在だ。田文のように志が大きく仁義に厚い人物の元に、彼を慕う人々が集まってくる。報酬目的ではなく、純粋に彼を慕い、彼のために尽くそうとする人々だ。女装をする者、占いをする者、声色を似せるのがうまい者、そっくり人形を作るのが上手な者…。それぞれ外見は「怪しい人物」だ。田文は適材適所を実践して事を成功させる。武侠ドラマの、「江湖」を流れ行く「侠客」の由来が少しわかった気がする。

斉という国は強いのか、弱いのか。田嬰が外交力を駆使して自国で韓と魏の調停をするところからは、国力の強さを感じるが、徐州の戦いでは楚国に大敗北。物語では田文が拠点を置く斉国が主であるからこの国が一番であると錯覚してしまう。田文の目がすなわち読者の目となって、彼とともに諸国を遍歴している気分になる。

ところで、これまでの4巻を通して感じるのは、女性が没個性であることだ。男性陣は歴史的に名を残している者、職業的、学問的に成功している者、特殊能力を持つ者など、個性にあふれているが、女性たちは美人、賢明というほかは、とりたてて個性がない。忘れてしまいそうなのでここで彼女たちの背景を記しておこう。

青欄…田嬰の妾。田文の母。
洛芭<ラクハ>(元名隻蘭)…乳児の頃、隻真の姉と義兄が養育。2人の死後隻蘭が育てる。
翡媛<ヒエン>…白圭の妻。田文の育ての母。
風麗<フウレイ>…白圭の妹。秦の宰相公孫鞅の妻。
[日文]林<ビンリン>…孫臏の妻。
喜彤<キトウ>…高級娼婦。

さて洛芭の行方は今いずこ?
鄒忌は王位簒奪のために、今後どんな手を使ってくるのか?
中国戦国歴史ミステリー(?)は、いよいよ完結の時を迎える!!

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