龍一『潜伏』 : 夢の国・亞洲文化宮

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龍一『潜伏』

20091110

               

               著 者 : 龍一
               言 語 : 簡体字中国語
               刊 行 : 2009年3月
               出版社: 百花洲文芸出版社(中国・南昌)

<内容・感想など>
10の短編小説が収められており、表題の『潜伏』は最初の作品。
本の帯で、孫紅雷(スン・ホンレイ)、姚晨(ヤオ・チェン)主演のドラマを宣伝し、
全頁左上には小さく、孫紅雷演じる主人公の顔が映っている。
ドラマでは20ページほどの短編を全30回にふくらませてあるようで、おもしろそうだ。
いつか観たいものだ。
ドラマの情報はこちら→ドラマ「潜伏」

そしてつい先日映画化の情報を目にした。情報はこちら→映画「潜伏」
主演は梁朝偉(トニー・レオン)と舒淇(スー・チー)が有力とのこと。
(11/11追記:その後の報道でまだキャストは決まっていないとの監督コメントがありました。)

原作は、国共内戦時、国民党特務機関にスパイとして潜入した共産党員余則成の物語である。
共産党側は彼の履歴をすべて作り変えた上、農村の女性翠平を彼の妻と決める。
独身者よりも妻帯者の方が、疑われにくいからだという。
翠平は身だしなみに気を使わず、タバコの臭いが体に染み付いている上、言葉遣いが悪い。
ベランダで彼女が灰皿として使っているのは、彼が大事にしていた硯だ。
そんな「妻」を、余則成はもてあます。
なぜ君が諜報員の妻として選ばれたのか、という問いに、彼女はこう答える。
「私が文字を知らないからよ」
2人は上司夫妻の信頼を得るが、常に監視され、危機に陥ることも。

2年の共同生活で、彼らは夫婦の営みを行わない。
しかし別れの場面では2人の情が伝わってきて目頭が熱くなった。
最後、翠平の諜報員としての活躍を思い浮かべると切なく、やりきれなさを感じる。

舒淇は、野卑な姿も着飾った姿も想像できて、翠平役にぴったりに思える。
梁朝偉については、原作の主人公よりだいぶ年長であるところが気になるが、
現代も映し出すとすれば適役だろう。

今まで読んだり観たりした国共内戦の物語では、敵方の国民党を非難するものが多かった。
しかしこの作品には、国民党や国民党員を非難する展開はない。
共産党と国民党は、あくまで味方、敵方の関係として描かれている。
そうした扱い方は、映画『戦場のレクイエム』やドラマ『特殊使命』と共通している。
物語では、主人公余則成がずば抜けた忍耐力で、諜報員としての任務を全うする姿を通し、
共産党に対する限りなく高い忠誠心を賞賛する。
やはり共産党を誇りとしていることに変わりはない。
相手を落とさず、味方を高い境地に引き上げる手法だ。

彼は諜報員として選ばれた時点で、平凡な人生を放棄している。
夫婦と言えども、妻翠平には情を持たせないように、また自身も持たないように、
感情をコントロールし、これをやり遂げた…はずだった。
最後の最後で、翠平に『必ず戻ってきて』と言わせてしまうのだ。計算外である。
彼は揺れる。しかしきっぱりと『戻れない』と言うのだ。
後年、作者の前に現れた余則成は、30年後(70年代末か80年初頭)にようやく
国民党から離れたと語る。
彼がどれだけ辛酸を嘗めてきたかは、想像を絶する。

さて、映画では原作で余則成が語る「翠平死亡説」を否定してくれないだろうか。
作者、龍一氏の希望的観測を是非とも実現してほしい。
2人が劇的な再会を果たす場面を、今から妄想している私である。(笑)

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