恩田 陸『光の帝国―常野物語』 : 夢の国・亞洲文化宮

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恩田 陸『光の帝国―常野物語』

20091009


恩田 陸『光の帝国―常野物語』
出版社: 集英社(文庫)
刊 行: 2000年(単行本刊行は1997年)




<内 容>
下記の10章から成る物語。
・ 大きな引き出し
・ 二つの茶碗
・ 達磨山への道
・ オセロ・ゲーム
・ 手紙
・ 光の帝国
・ 歴史の時間
・ 草取り
・ 黒い塔
・ 国道を降りて…

各章に常野(とこの)の人々が登場。暗記や予知といった特殊能力を持つ者、生き続ける者などだ。彼らはこの世界にひっそりと暮している。

<感想など>
超常現象が描かれた作品は苦手である。(武侠ものは別。)ホラーものは「恐怖」がイヤで避けているのだが、その他ファンタジーやSF、怪奇現象などについては、「虚飾」「現実逃避」に抵抗感がある。

第1章「大きな引き出し」で、すぐに超能力を持った人々の話だとわかった。また虚飾か、と思ったが、その「引き出し」のユニークさからどんどん引き込まれた。
主人公の男の子一家は、みな覚えたことを自分の引き出しに詰め込む暗記の天才である。あまり詰め込みすぎると支障をきたすのでたまに「虫干し」に出なければならない。ちょうど父母が「虫干し」で不在、家の中には姉の記美子と主人公の光紀の2人だけだ。自分とクラスメイトとの違いを知って葛藤する光紀の姿は等身大の少年そのものだ。そしてある老人との出会いと別れがじんわりと響く。

副題となっている「光の帝国」の章では、戦時中の過酷な状況が描かれる。特殊能力を持った「常野」の人々を、軍人たちが追ってくる。奇想天外だが現実的に思えるような展開。力尽きた人々が倒れる中、ツル先生は生き続ける。主人公はこのツル先生ではないかと思う。

各章がそれぞれ少しずつ関連しあいながら、最終章へと向かう。完結話があるかと思えば、結果持ち越しの物語もある。不思議だが、ありそうなストーリー。もしかして隣の人が常野出身かも…という想像も可能だ。彼らは地味で控えめでおとなしいが、じわりじわりと影響を及ぼしていく。そこが面白いところだ。

会社の「ワープロ」が時代を感じさせるが、それ以外は現代と違いはない。むしろ、「黒い塔」の選挙風景は今現在とぴったり重なった。「常野」自体に時系列が存在しないような感覚なので、物語全体の「時間」が余り気にならなかった。

なんだか不思議な読後感である。

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