一緒にいて : 夢の国・亞洲文化宮

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一緒にいて

20090908


2005年/シンガポール/1時間30分(シンガポール映画祭で鑑賞)
監 督  エリック・クー
原 題  Be with me
出 演  Theresa Chan   Elizabeth Choy  Seet Keng Yew

<内容・感想など>
主人公は視覚と聴覚に障害のある女性、テレサ(Theresa Chan:本人)。
前半は複数の人物のストーリーが平行して語られ、脈絡がつかみにくい。
最初に登場するでっぷりと太った青年は、警備室のモニターで憧れの女性を追い続ける。
彼のストーカーぶりと食事をするときの品のない食べ方に嫌悪感をおぼえ、
はやく画面から消えてしまえ、なんて思っていたら…。
次に登場するのはチャット仲間の女の子2人。
やがて彼女たちは互いに惹かれあい、恋愛のような関係になっていく。
一方にボーイフレンドができ、2人の関係は終わりになるものと思われたが…。
テレサを担当する福祉司には、年老いた父親がいる。
彼は食料品店を経営しているが、妻の死後生きがいをなくして元気がない。
やがて福祉司はテレサのために料理の腕を振るってほしいと、父に頼む。
物語が進むにつれ、それぞれのつながりが少しずつわかっていく。

テレサが二重苦を負ったのは少女時代である。
ご本人の回想録によると、障害を持った後、運よくアメリカで教育を受けることができ、
現在は障害者への教育に携わっているという。
障害を負ったとき広東語しかわからなかった彼女が、英語を話し、読めるまでになるとは、
奇跡としか言いようがない。
その教育の素晴らしさもさることながら、彼女の気力、能力も並みではないのだろう。
福祉司とのコミュニケーションは、掌へのタッチによって行われる。
指の間、掌の上下左右など、手のさまざまな空間に打ち込まれる動きが、彼女の文字となる。
視覚、聴覚以外のあらゆる感覚に意識を集中させる彼女を見ているうちに、
自然に涙がこぼれてきた。
「あきらめない人生」についての彼女の語りは、どの偉人伝よりも説得力がある。

自分の気持ちだけに神経を集中し、相手が全く見えていない人。
尽くしたいと思いながら、その機会がなくて生きがいをなくしている人。
拒否することしかできない人。
それぞれがコミュニケーションに戸惑い、悩み、孤独を抱えている。
そんな中、光も音もない世界であたりまえのようにコミュニケーションをとっている
テレサを見ていると、自分も含め、何を悩んでいるのかと、カツを入れたくなる。

大多数の人間が、能力をフルに発揮せず、限界を作っているのではないだろうか。

テレサの、美味しい!と言ったときの表情と声が忘れられない。

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