堂場瞬一『蒼の懺悔』 : 夢の国・亞洲文化宮

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堂場瞬一『蒼の懺悔』

20090903


出版社:PHP研究所


刊 行:2008年5月



<あらすじ>
真崎薫は神奈川県警を退職後、横浜の自宅兼貸しビルの一室に探偵事務所を構えている。そんな彼のもとに高校時代の野球部のチームメート、長坂秀郎がやってくる。プロ野球選手、結城亮平の息子が誘拐され、助けてほしいと言うのだ。結城もまた2人のチームメート。プロ入団後大リーグに移籍、故障が原因で再び日本のプロ野球界に戻り、長坂が代理人をつとめているという。警察への連絡をすすめる真崎に、結城も長坂も強硬に反対する。結局真崎はこの難役を引き受けたものの、警察にはすぐ事件が発覚。やがて犯人から身代金1億円が要求される。

<感想など>
とても読みやすく内容がツルツル頭に入ってくる。登場人物も風景も手にとるようにわかる。
フィクションとのことわり書きがあっても、実在の元野球選手の姿が眼に浮かんでしまう。
ついでに犯人も途中でわかってしまった。
物語は現在から始まって、そのまま振り返ることなく進行する。横浜を中心とした地理、
特に中華街近辺が詳細に描かれ、まるで自分がその場にいるかのような感覚になる。
真崎の生活へのこだわり、恋人奈津への純粋な愛情、友人たちへの想いがはっきり綴られ、
人物の外面も内面もすべてが文章の表現そのものだ。
この明確さは、物足りないと思う反面、かえって心地よい。

サスペンスものとしては単純明快すぎてあまり緊張感がない。それでも魅力を感じるのは、
主人公真崎のキャラクターが好きだからだ。
まずその第一は、仕事より恋人を選んだという点である。
最初は心の扉が厚い冷徹な感じだったが、その印象は一気に崩れた。
篤い心の持ち主で、考えるより先に体が動いてしまうタイプである。
第二は、頭も体も切れがよく、料理の腕や、服のセンスも抜群、すべてが完璧に見えるようで、
実は大きく抜けている点だ。
読者に推測できる犯人を、なぜ彼は全く疑わなかったのだろう。
犯人の言いなりになって怪我まで負ってまで友人に尽くすなんて…。
スマートに見えて実は不器用っていうところがいい。

さて今回気になる人物が出現。喫茶店のマスター、神城一郎である。
2回目の身代金引渡しにあたり、真崎の用心棒となる男だ。
裏社会に通じているらしいが詳細は不明だ。不透明な人物が醸し出す緊張感に、思わず身震いした。

犯人の動機もまた単純明快。続編でこの事件は取り上げられるのだろうか。
主人公には、無謀な行動で怪我をしないでくれと祈るばかりである。

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