海堂 尊『極北クレイマー』 : 夢の国・亞洲文化宮

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海堂 尊『極北クレイマー』

20090830


出版社:朝日新聞出版


刊行年:2009年6月(初版は4月)



<あらすじ>
今中良夫は極北大学病院第一外科から極北市民病院に非常勤の身分で赴任。不衛生な環境やモラルに欠ける職員の実態に愕然とし、彼らと衝突する。尊敬に値する医師は産科の三枝久広のみだ。そんな中、桃色眼鏡をかけた皮膚科医師、姫宮香織が赴任してくる。彼女の不思議な力により病棟は清潔になり、職員もてきぱきと仕事をするようになる。一方、かつてこの病院内で起こった妊婦死亡事件を、ジャーナリストの西園寺さやかが追っていた。彼女は当時の妊婦の夫、広崎宏明に接近する。

<感想など>
個性豊かな新キャラが続々と登場する中、旧キャラ姫宮が強烈な個性を振りまき、終盤では懐かしい人たちが華々しく舞台に上がる。
地方公共団体の財政破綻、医療事故、さらにこれにまつわる陰謀など、興味深い社会問題がテンポよく取り上げられ、全436ページが終わっても終わった気がしなかった。
なぜなら、続編が約束されている物語だからだ。

主人公の今中は、新キャラの中でも地味な存在だと思う。一番目立つのがストライプの背広を着た福山市長。次は彼に媚びへつらう市立病院の平山事務長か。仕事をしない医師後藤と、仕事のできる看護師並木梢は好対照。さらに赤鬼の室町病院長、謎のジャーナリスト西園寺さやか、「日本医療業務機能評価機構」の2人…。登場人物は相変わらず多い。
常識では考えられないような病院の管理体制の下で、今中の目は客観的に動いていると思う。彼には突出した個性はないが、終始地道に生きているところは好感が持てた。

さて前半のスターはなんと言っても姫宮だろう。彼女、香織ちゃんという名前だったのね。
なぜ姫宮は旧態然とした医局をたった1日で変えられたのだろう。特別カリスマ的な人物とは思えないし、計算した雰囲気もない。もしかして、そうした何気なさが彼女の武器だったりして。実際記憶力は抜群だし周りを見る眼も鋭い。能ある鷹は爪を隠す、ということか。恐るべし、姫宮。そのうち浮いた話が出ないかな。

今回の新出用語は「日本医療業務機能評価機構」。
詳しくはこちら→http://jcqhc.or.jp/html/introduction.htm
本書にはこの機構に対する批判のような声もあるが、実際に、医療機関とこの機構との関係はどうなっているのだろう。ここから派遣された「武田多聞」と「布崎夕奈」は仮の名だという。では本名は?今まで他の作品に登場したことはあるのか。謎は深まるばかりだ。

後半多くのページを割いているのが、医療事故の問題である。消防士広崎の妻が出産時に死亡した事件がマスコミで取り上げられ、三枝医師に逮捕の手がのびる。
この一連の動きが理解できない。裏に警察署長の出世欲が絡んでいるとなると、事件は
ますます混迷化しそうだ。
続編では陰謀を一気に取り払ってもらいたいものだ。

時系列が『ジェネラルルージュの凱旋』の少し後ではないかと思っていたら、出てきました、速水先生。でも台詞はたったの2行。彼にまつわる話もたった6行。続編では今中との競演が実現するだろう。

そして世良先生!!あれ、この人、こういうキャラだっけ?
『ブラックペアン1988』以来だから変わって当然だが、以前のキャラを忘れてしまった。
魅力に溢れた人物だ。
登場人物を把握するために、また『ジーン・ワルツ』と『ブラックペアン1988』を読みたくなった。

続編では(ほとんど出ると確信してしまっているが)清川吾郎、速水晃一は再会するだろうか。今まで登場した人々が要所で絡む展開になったら面白そうだ。時系列では現代だろう。今話題となっている医療問題がそのまま小説で語られることになればますます興味は尽きない。姫宮も必ず登場させてください!!

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「極北クレイマー」 海堂尊 :TK.blog

『極北クレイマー』    著者:海堂尊  出版社:朝日新聞出版 <あらすじ> 極北大から派遣され、北海道・極北市の市民病院...

コメント

面白そう♪

こんばんは、孔雀の森さん^^
もうお読みになったんだ~。私はやっとこさ「ジーン・ワルツ」を読み終えた所ですワ。
こちらの本も予約してるのですが順番は約300番目…。気が遠くなりそう^^;

今まで海堂氏の著書を読み、なにかと極北の名が出てきたような気がするので
こちらの本、ものすごく気になっております。
「ジーン・ワルツ」を読み終えた後なので特に三枝医師逮捕の詳細が気になる~。
そして姫宮!最近白鳥&田口シリーズを読んでないので超ご無沙汰です♪

>>なぜなら、続編が約束されている物語だからだ。
あらら、忘れた頃に続編が出版され、図書館予約待ちで半年程待たされ
こりゃ人物を思い出すのに大変ですね(笑)。

はやく順番がくればいいですね

TKATさん、こんにちは♪

>順番は約300番目…。
待ち人数としては途方もない数字ですね。
うちの市との人口差を感じてしまいます。
これだけ人気のある本とわかれば、もっと購入してくれるのではないかと、
他市在住ながら期待しています!!

「ジーン・ワルツ」、読了ですね!ご感想が楽しみです。
私は再読したいと思って予約したら、意外にも早く手元に届きそうです。
三枝先生のお母さん、薫くんのお母さん、そして清川クンの姿を、
もう一度追いかけるつもりです。

各地方公共団体は財政難の問題抱えているのでしょうが、
図書費を削ることは避けてもらいたいと、心から願っている次第です。

『極北クレイマー』の順番がはやく回ってきますように!!

予約してから約半年弱経ってやっと手元にきました(TT)

今回は今後登場しそうな新キャラから常連さんまで、幅広い登場人物達でしたね。

>そして世良先生!!あれ、この人、こういうキャラだっけ?
やはり孔雀の森さんもそうお思いになりました?
そうなんですよ、私もこんな逞しくハキハキしたキャラだっけ?と思っちゃいました^^;
しかもいつの間にかこんなことを任されるほど出世しちゃって。。

ところで三枝先生のその後はどうなるんでしょ?
絶対続編、あるいはシリーズの中で三枝先生の問題がまた再登場しそうですね。
さすが海堂さん、読者に「次が早く読みたい!」と思わせる技術は長けてらっしゃる(笑)。

やっぱり人気なのね~

TKATさん、こんばんは♪
そちらでは月に60人くらい借りている計算になるんですね!!
図書館の規模が違いますね、きっと。

思い返せば、世良先生との初対面はずっと昔の話なんですよね。
その間、彼にはどんなことがあったのか、気になります。
年月は人を成長させるのね~。

>ところで三枝先生のその後はどうなるんでしょ?
気になるところですよね。おっしゃるように、きっと登場するでしょうね。
続編を楽しみにしている私たちの期待に応えていただきたいものですね。

バラエティに富んだ登場人物たちから、またまたパワーをもらいました(笑)
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