伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』 : 夢の国・亞洲文化宮

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伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』

20090807


出版社: 東京創元社


刊 行: 2004年1月(初版は2003年刊行)



<あらすじ>

〔2年前〕
ペットショップに勤める琴美は、ブータンからの留学生、ドルジと一緒に暮している。ある夜、2人は動物虐待の犯人と思われる3人組と遭遇。彼らに向かって警察への通報を示唆した琴美は、以後執拗につけねらわれる。
琴美にはかつて河崎という恋人がいた。彼女は女癖の悪い彼が大嫌いだが、ドルジは親しみを感じ、日本語を習いたいと言う。琴美はそれが気に食わない。

〔現在〕
椎名は大学入学を控え下宿先のアパートに引っ越してきた。荷物整理をしていた時突然、隣人の河崎から本屋襲撃の手伝いを依頼され、しぶしぶ承知する。
ある日椎名はバスで痴漢とその被害者を目撃したが、彼を含め乗客は誰一人としてこれを止めようとしない。すると一人の女性がその痴漢に対し毅然とした態度をとる。後に彼女がペットショップの店長、麗子さんだと知る。

<感想など>
物語では現在と2年前がほぼ交互に語られる。
時代がチェンジするたびに頭を切り替えるのが、
正直言って面倒だった。
それぞれの出来事は関連性があると思えず、
しばらくたつと忘れてしまう。
ところが終盤で「からくり」が語られると、
それ以後はなぜかスムーズに読むことができた。
読み終わってもう一度最初から読むと、
些細な事柄が大きな意味を持っていたことに気づく。
以下は、意味が理解できた事柄の一部である。
・河崎が本屋襲撃をもちかけた理由。
・広辞苑ではなく広辞林を持ってきてしまったこと。
・河崎が駐車してあった自転車やバイクを次々と倒して
歩いていく場面。
・タイトルのコインロッカー。
・「ペットショップの店長に気をつけろ」
…etc…

だけど、だから何なのか、という気分になった。
「からくり」が判明しても何かすっきりしない。
動物虐待、HIV感染、外国人に対する差別意識など、
取り上げられた諸問題は、いずれも社会の中で重いテーマである。
これに対する登場人物の対処、倫理観などは
どれも考えさせられることなのだが、
本当に語りたいのはそういうことではなさそうだ。
ではいったい何を語りたいのだろう…
結局、解釈しようとしても無駄ですよ、と
言われているような気がしてきた。

それでもいろいろ推測したくなる。
琴美、麗子、ドルジの河崎に対する視線は、
それぞれ全く違うが、いずれも間違いなく
本当の河崎だと思う。
「僕」に対する河崎もやはり河崎の一面だろう。
見た人の数だけ「河崎」はいるのかも…。
こんなふうに、河崎に対する想像は限りなく膨らんでいく。
また、琴美が最後に見た風景とそのときの気持ちを表した言葉には、
妙な説得性があった。
なぜ彼らをここまで追い込まなければならないのかとも思った。
最初に読んだときは淡々とした物語だったのが、
2度目には切なくて悲しい物語になった。
考えようとすればするほど、
とりとめもない方向へ走っていってしまいそうだ。

さてこれはいったいどんなふうに映画化されているのだろう。
最初からネタバレしているのだろうか。
気になるのでいつか鑑賞したいと思っている。

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『アヒルと鴨のコインロッカー』    著者:伊坂幸太郎  出版社:東京創元社 創元推理文庫 <簡単なあらすじ> 大学入学のた...

コメント

やはり映画版がきになるところ…

こんばんは^^
孔雀の森さんの感想を拝見し、忘れかけてた内容を微かに思い出しました。
ネタバレせずにうまいこと感想を書かれてますね(笑)。拍手!

>2度目には切なくて悲しい物語になった。
この言葉を聞き、琴美の結末をふと思い出してしまいました。
どうして彼女がこんな目に?って思った記憶が…
正直、他のシーンはあまり覚えてなくて^^;

>さてこれはいったいどんなふうに映画化されているのだろう。
そうなんです、私もこれだけは気になって気になって仕方がないんです。
普通で考えたら最初からネタバレ?って感じですよね。
それとも本ではネタバレでも映画ではこのネタバレを前提に話が進むのかしら?
私もいつか映画を観て確認しようと思います^^

配役も気になります

TKAT さん、こんばんは♪
ほめてくださり、ありがとうございます!!
本当は最初にネタバレです!とことわって、思いっきり書きたい所ですね。

そうそう、無重力ピエロの作品間リンクの表、すごいですね!
一目でバッチリ!!
よく考えたなあと、自分の読んだ作品をクリックしてみました。
著者も、矛盾がないように各登場人物のプロフィールを決めてあるのでしょうね。

琴美のシーンは印象に残りますね。
でも彼女の行為を肯定するような感じを受け、これには賛成できないんです。

私は今映画に関して何も知らない状態で、このまま観ようかと思っています。
配役も楽しみだわ。
でも何といってもネタバレがどうなっているのかが最大の関心事です。
そのうち映画の感想も語り合いましょう。

映画もよかったですよ

孔雀の森さん、こんにちは。
私は原作を未観のまま映画を観たのですが、
最初からネタバレはしていません。
それが実にうまく作られているんですよ。
だから原作を知らない私は何かどこかがひっかかりながら
ある時点で「あぁ、そうだったのか!」と腑に落ちたというか。
原作どおりのイメージの配役かどうかはわかりませんが
主役の3人、いや4人?ものすごくそれぞれ良かったです。
是非DVDでご覧になって感想を聞かせていただきたいですー。

きっと鑑賞します!

sabunori さん、こんばんは♪
きゃー、ネタバレしないで進行するんですね!
首から下しか映らないとか?
いやいや、これはゼッタイ観なくては、という気になりました。

>主役の3人、いや4人?ものすごくそれぞれ良かったです。
あ、そうか。3人か4人。微妙な表現ですね~。

いったいどこで、どのように腑に落ちるんでしょ。
書きながらものすごく気になって気になって、早くみたいです。
観たらすぐにsabunori さんの感想を読ませていただきますね!!
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