子供の情景 : 夢の国・亞洲文化宮

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子供の情景

20090511

  
2007年/イラン・フランス/1時間21分(劇場で鑑賞)
監 督  ハナ・マフマルバフ
原 題  Buddha Collapsed Out of Shame
出 演  ニクバクト・ノルーズ  アッバス・アリジョメ

<あらすじ>
舞台はアフガニスタンのバーミヤン。バクタイ(ニクバクト・ノルーズ)は、隣に住むアッバス(アッバス・アリジョメ)が教科書を読む姿を見て何とかして学校へ行きたいと思う。ある日彼女は文房具を買うお金を工面するため卵を売ろうと街に出る。しかし途中で卵が割れた上、残りの卵も値切られて、買えたのはノートだけだった。バクタイはそのノートを持って学校へ行こうとするが、途中で男の子たちにつかまってしまう。戦争ごっこに夢中になっている彼らのすきをついて逃げ出したバクタイは、ようやく女の子たちが通う学校にたどり着いたが…。

以下はラストに関する記述を含みます。
<感想など>
知らないことを知りたい。わからないことがわかるようになりたい。こういう学びの原点を、6歳の子が教えてくれる。
学ぶためには学校へ行かなければならない。学校へ行くためには文房具が必要だ。文房具を手に入れるためにはお金がなければならない。家にはないお金を、どうやって手に入れたらいいのか。
周りの人々の知恵を借り、バクタイは家にある卵を持ち出し、卵よりパンがほしいと言う商人のために、パンを用意する。
彼女は文字よりも先に、商売を学んだのではないか。

子供に対する大人の冷ややかな目にやりきれなさを感じた。彼らはバクタイを子供扱いしない。こんな小さい子が可愛そうに、なんて同情の眼を向けたりはしない。子供相手に値切ったり、門前払いしたりする大人たち。戦争に翻弄されその日その日を食いつないでいく生活では子供を愛しむ余裕すらないのだ。

アッバスと一緒に行った学校は男子校で、バクタイは教師に追い払われる。さらに男の子たちの戦争ごっこに巻き込まれてしまう。彼らの野獣の眼は恐ろしい。木の枝を銃にして構える姿は、とても「ごっこ」には見えない。兵として生きる宿命を背負っている子供たちにとっては、楽しむよりも「鍛える」感覚の方が強いのではないだろうか。そんな彼らにとらえられたバクタイは命の危険を感じたに違いない。
ここでも彼女は新たに学ぶ。
女だからと差別される理不尽さ。
苦労して買ったノートを勝手にちぎられる理不尽さ。
嫌いなはずの戦争を遊びにする男の子の理不尽さ。
そして男の子たちにつかまった女の子たちが逃げないことに対する理不尽さ。
彼女が「商売」の次に学んだのは、「抵抗」ではなかったか。

ようやくたどり着いた女の子だけの学校。先生は黒板の前で一人の子を懸命に指導していて、教室の「異変」になかなか気づかない。映画全体の中では安らげる一時である。
バクタイは持ち出した母親の釘紅を鉛筆代わりにする。最初、口紅は買えるのに文具が買えないことに疑問を感じたが、やがて戦争前に買った口紅では?と思うようになった。ならばお母さんの宝物に違いない。
真っ白なノートに引かれる赤。女の子たちの顔を彩る赤。血の色ではない赤。「赤」が彼女にとっては特別な色彩に思えてくる。

さて、私は抵抗を貫くバクタイの姿を期待していたのである。アッバスに「撃たれたら倒れればいい」と言われても、倒れずに走り続けてほしかった。
また、男の子たちには無意味で残酷な戦争ごっこをやめてほしかった。交通整理の巡査には、バクタイの言葉に反応してすぐに駆けつけてほしかった。

ところがバクタイが抵抗することをやめ、倒れこんだ直後に、冒頭のシーンが再現される。
これまでのバクタイの努力は何だったのだろう。彼女が学んだことは何だったのだろう。
これまで積み重ねてきたものがすべて爆弾一つで無になることのむなしさに、「絶望」の二字が浮かび上がる。
これからバクタイは抵抗を諦めてしまうのだろうか。
やりきれなさばかりがつのる作品だった。

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始めましてこんにちわ。 ブログ始めますがまだ書くことは決まってません。 趣味日記的なものになると思います。

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