海堂 尊『ひかりの剣』 : 夢の国・亞洲文化宮

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海堂 尊『ひかりの剣』

20090508



  出版社:文藝春秋
  
  刊行年:2008年8月



<あらすじ>
1988年。医療系大学の剣道の頂点を争う医鷲旗大会に向け、帝華大学、東城大学の剣道部員は日々稽古に励んでいた。帝華大学の清川吾郎はずば抜けた才能を持ちながら練習態度は不真面目だ。しかし顧問の高階がライバル校東城大学へ転勤したこと、マネージャーとして入部した朝比奈ひかりに負けたことで変わっていく。一方、東城大学の速水晃一は責任感が強く、部員からの信頼も厚い。新しい顧問、高階が稽古をつけてくれないことに納得できず対戦を申し込むが、挑戦した者は全員あっさりと負けてしまう。高階は、医鷲旗大会まで東城大学に稽古をつけないという約束を、清川とかわしたのだった。


<感想など>
海堂作品の中では異色のスポーツ小説。医療風景はベッドサイド・ラーニングと手術見学のみで、この場面はちょうど『ブラックペアン1988』と重なっている。毎日練習している速水たちがほとんど練習しない高階に勝てない理由として、高階は「毎日手術室という命を削る闘いの場にいる」ことを挙げる。両者が置かれている世界の大きさが全然違うことを示唆しているのだ。後に医療現場で活躍を見せる清川、速水の未熟さ、成長過程が興味深い。

スポーツ小説と言ってもどこか謎めいた雰囲気が漂っている。
冒頭で速水が寒稽古に訪れたときの冷ややかな天空の様子、新学期開始時期の桜の花びら、勝負前に吹き起こる風など、自然現象が神秘的なイメージをかきたてる。
また、朝比奈ひかりと彼女の祖父「おジイ」が現実世界とかけ離れた存在に見えるのだ。
ひかりの剣のもとに倒れる清川や速水は、まるで妖精の掌で弄ばれる兵<つわもの>のよう。

以下の3行は想像です。
隠遁生活を送るおジイは、実は妖術遣いである。孫娘は幼いころからおジイに鍛えられ、秘伝の術を授けられる。彼女はさらなる修行を重ねるため、また秘薬の研究に取り組むため、帝華大学の薬学部に入学する。

思わずこんな背景が頭に浮かんでしまった。武侠ドラマの観過ぎだろうか。あるいは平行して読んでいる『封神演義』の影響か。
稽古に不熱心だった清川がおジイのもとで修行を始め、速水は高階からの指示で真剣の素振りに励む。高みを目指す男たちの姿は魅力的だ。

神秘的な場面と、医学生の実態を描いた場面とが折り重なるように、物語は展開していく。
清川と速水の直接対決はどうなる?という興味が、最後までぐいぐいと引っ張っていってくれた。

今後の海堂ワールドにも、おジイや朝比奈ひかりを登場させてほしい。未来を描いている作品にもぜひ!! と言ってもそのころもおジイは元気でいてくれるだろうか。あ、でもおジイは仙人のような存在だもんね!(笑)

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「ひかりの剣」 海堂尊 :TK.blog

『ひかりの剣』  著者:海堂尊  出版社:文芸春秋 <簡単なあらすじ> 1988年・・・医学生といえども普通の大学生のように部活...

コメント

タイトルのひかりって朝比奈さんのひかりなのかな?

またまたこんばんは♪
孔雀の森さんに教えていただいたこちらの本、やっと読みましたよ~^^
『ブラックペアン1988』と同時進行ということで、高階が裏ではこんなことに
関わっていたのか!と感心。「スナイプAZ1988」で忙しいはずなのに
速水、清川の洞察力はすんばらしいですね~^^

>以下の3行は想像です。
隠遁生活を送るおジイは、実は妖術遣いである。孫娘は幼いころからおジイに鍛えられ、秘伝の術を授けられる。彼女はさらなる修行を重ねるため、また秘薬の研究に取り組むため、帝華大学の薬学部に入学する。

なるほど!んでもってめちゃ面白い想像でお腹かかえて笑っちゃいました(笑)。
いやいや、ありかもですよ。おジイの存在はかなり謎なので朝比奈ひかりとおジイを
主人公にした外伝を心から願っております。おジイは仙人なので未来の話でも
全く問題なしに登場してくれるはず(笑)。

やっぱりひかりちゃんのひかりかな~

TKATさん:
海堂作品、着々と進んでますね。
この作品では高階先生の裏側(表か?)を見ることができて
さすが未来の院長!と思いましたよ。
で、速水のことがますます好きになってしまった私です(笑)

私のおかしな想像、笑ってもらえて嬉しいです(笑)

>朝比奈ひかりとおジイを 主人公にした外伝を心から願っております。
武侠?それともファンタジー?いずれにしてもリアルな世界を描く
今までの海堂作品とは一線を画す作品になりそうな気がします。
でも私の想像とは違って、意外に現実的だったりして…。
またまたしょうもない妄想が果てしなく続きそう…。

こんなふうに他の小説と同時進行する作品では、登場人物の
奥行きがますます深く感じられ、一層楽しくなります。
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