グラン・トリノ : 夢の国・亞洲文化宮

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グラン・トリノ

20090430

 
2008/アメリカ/1時間57分(劇場にて鑑賞)
監 督  クリント・イーストウッド
原 題  GRAN TORINO
出 演  クリント・イーストウッド  ビー・バン  アーニー・ハー
      クリストファー・カーリー

<あらすじ>
妻に先立たれた後、ウォルト(クリント・イーストウッド)はますます偏屈になり、別居する息子たちも寄りつかないほどだ。ある晩、彼が大事にしている‘72年制のヴァンテージ・カー《グラン・トリノ》を、隣家の少年タオ(ビー・バン)が盗もうとして失敗。その背景には、彼と同じモン族の若者たちからの指図があった。タオの母親と姉スー(アーニー・ハー)は、償いとしてウォルトの家でタオを働かせてくれと頼む。こうして交流するうちに2人に父子のような絆が生まれる。ウォルトは隣家に集まるモン族の人々とも親しくなり、互いに助け合うようになっていく。ある日ウォルトは、タオに暴力を振るったモン族の不良たちを懲らしめるが、これに怒った彼らはひどい報復をする。タオやスーを守るために彼が考え抜いた手段とは…。
以下はラストに関する記述を含みます。
<感想など>
序盤のウォルトは醜い面を曝け出している。孫娘の前で平気でつばを吐く。亡き妻の遺言を伝えに来た神父(クリストファー・カーリー)に罵詈雑言をあびせる。隣に住む一家に偏見の眼を向ける。嫌われ者でいいや!という開き直りが実に不快だ。

しかしそんな彼が隣家との交流を通して徐々に変わっていく。そのきっかけは彼に対する隣家のアプローチである。相手の強烈な拒否反応を突破してしまう強引さは、モン族の習慣というより、一家の生き方のようにも思える。さらに自分たちの習慣にウォルトを巻き込んでいくところがほほえましい。スーの聡明さと母親の素朴さ、さらに親戚の人々の温かさが、頑固な老人を翻弄する。とまどいつつ彼らの習慣を受け入れていくウォルトの様子は見ていて楽しい。

ウォルトと一緒に過ごすタオの眼もどんどん変わっていく。最初のうち焦点の定まらなかった彼の眼が、次第に輝きを増していく。ウォルトが生きることに喜びを感じていく過程は、タオの成長の過程とも言えるだろう。自分の行動が人のためになっているという喜び。人のために尽力する喜び。人は人の中で生きて人間らしくなるのだなあと、あらためて思う。

同じ民族が仲たがいしたり、家族が疎遠になったりする状況は悲しい。
モン族の不良たちが同じ民族の少年を攻撃する背景には、これまでに彼らが受けた屈辱など複雑な事情があるのだろう。
「何で俺たちがこんなトコに住まなければならないんだよ」という前の世代に対する恨みがあるような気がする。先祖を敬い隣人に心を開くタオの家族とは対照的だ。
また、ポーランド系のウォルトが交流しているのは、イタリア系の理髪師、アイルランド系の現場監督、そしてモン族一家と、互いに移民してきた人々である。
手を取り合う異民族がいるかと思えば反目しあう同郷人もいる。これをアメリカの縮図と見ていいだろうか。
また、もし病院の検査結果を家族が知って、心配する言葉をかけていたら、彼の最期は変わっただろうか。

人生の終焉を自分で創る。そんな不可能とも思えることを、ウォルトは実行する。
綿密に構成された最後の数時間は奇跡にも思えた。
不良たちはウォルトの銃の腕前に恐怖感を抱いている。彼らの刑期を延ばすため「丸腰」になる。目撃者も多数いる状況を作る。タオを前面に出さないようしばらく閉じ込めておく。彼が出てきたときにはすべてが終わっている。
息を呑んで画面に見入ったラスト前は、今も鮮明に残る。

エンドロールに映るタオの隣にいるのは、ガールフレンドではなくてウォルトの愛犬デイジー?
それがまたまた涙を誘った。

trackback

グラン・トリノ :龍眼日記 Longan Diary

朝鮮戦争帰還兵であるウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は 愛する妻を亡くし1人暮らし。 古い一軒家に愛犬と自慢の車グラン・トリノとともに暮らしているが 頑固な彼は隣人とのつきあいもない。 そんなある日隣りに住むアジア系移民一家の息子タオ

コメント

ほんとに見事な作品でしたね。
前半はイーストウッド扮する頑固爺さんの演技に惹きつけられ
後半はおっしゃる通り,彼のセッティングした最期の見事さに言葉もなく・・・
>人生の終焉を自分で創る。そんな不可能とも思えることを、ウォルトは実行する。
なんか忠臣蔵みたいな魂をもったサムライにも通じるところがあるじゃないですか。
こんな死に方ができるウォルト老人のようなキャラは
なかなかいるもんじゃないし
こんなキャラを創って見せてくれる
イーストウッドのような監督もそうそういるもんじゃないです。
イーストウッド・・・・唯一無二の存在だなぁって改めて感じましたよ。

ななさん♪
最近すばらしい洋画を続けて鑑賞し、またななさんから貴重な情報をいただき、
他の洋画への興味もわいてきました。
>なんか忠臣蔵みたいな魂をもったサムライにも通じるところがあるじゃないですか。
おお!!忠臣蔵とは思いもしなかったですが、
言われてみればなるほど!!という感じですね。
とにかくメッチャかっこいい!!
私が観たことのあるイーストウッド監督作品は、ほかには
『硫黄島からの手紙』だけで、出演作は本作のみです。
今後も監督業、俳優業ともにお元気で続けていただきたいものです。

心に染みる作品でした。

孔雀の森さん、こんばんは。
人はいくつになっても変われるし、異民族であっても年が離れていても
分かり合える人とは分かり合えるんだよなぁ・・・としみじみ思いました。
明るくて聡明なスーの存在は大きかったですね。
彼女達がウォルトの隣人で本当によかった。
>人は人の中で生きて人間らしくなるのだなあ
同感です。その通りですね!

すばらしい洋画との出会い♪

sabunoriさん、こんばんは。
先日の「スラムドッグ$ミリオネア」に続き、またまたすばらしい洋画と出会い、
こちらの方にも目を向けてみようと思っています。

>明るくて聡明なスーの存在は大きかったですね。
ほんとに。彼女のきっぱりとした姿勢には、私も感銘を受けました。
縁とは不思議なものですね。
隣どうしでもこうした「出会い」を逃してしまう場合もあるでしょう。
おっしゃるように、ウォルトは隣人に恵まれてよかったですね。
イーストウッド氏の作品を楽しみにしている私です。
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いろいろな出会いを
大切に♪

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