長江に生きる-秉愛の物語 : 夢の国・亞洲文化宮

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長江に生きる-秉愛の物語

20090321


 2008年/中国/1時間57分(劇場にて鑑賞)

 監 督  馮 艶(フォン・イェン)

 原 題  秉 愛



<あらすじ>
湖北省長江のほとりに、秉愛は夫、息子、娘と暮らしていた。彼女は脚の悪い夫をいたわりながら、毎日家事や畑作業に明け暮れる。彼女は子供たちに十分な教育を受けさせたいと願っている。そんな時、三峡ダム建設にともなう移住計画が持ち上がる。彼女の家は135メートルラインより下にあるため強制移住の対象となる。ところが村の指定する移住先は自分の畑から遠い山地で、水道も電気も通っていない所だという。その土地が気に入らないなら村外へ行けとも言われる。あまりにも理不尽な命令に怒った夫妻は、担当職員に対し断固として移住しないと宣言するが…。
7年間にわたって撮影したドキュメンタリー作品。


<感想など>
中国のドキュメンタリー映画やTV番組では、必ずといっていいほど苦境に耐える人々が映し出される。
彼らを眼にしたとき、いつも「かなわない」と思う。
「自分なら耐えられない」のは当然。それ以前に信念に従って生きる姿勢が自分とは全然違うのだ。
そして、こうしてフワフワの座席に2時間余り座っている間に、彼らは何をしているのだろう、なんて考えてしまう。

秉愛には最初から降参した。彼女は化粧もせず着る物も構わずひたすら働く。手は節くれだって皺が刻み込まれている。そんな彼女がふと見せる横顔が美しい。鼻筋が通り、切れ長の眼が遠くを眺めている。背筋をピンと伸ばした立ち姿も頼もしい。脚がすらりと伸び、走ったら速いだろうなと、つい想像してしまう。
ふと、化粧をさせ、ゴージャスな服を着せ、変身させたくなる。彼女は美人である。

どんなに辛くても、彼女はいつも未来を見ている。
好きな相手と別れ、長江のほとりなら楽な生活ができるだろうという親の言葉を信じて、
顔も知らない相手と結婚した秉愛。
脚が悪い夫にかわり大黒柱となった秉愛は、想像以上の貧困で苛酷な生活を送ったと話す。
彼女の一男一女に向ける眼差しは優しく、子供たちもそれぞれしっかり者だ。
秉愛の中には生き抜く姿勢が貫かれ、そんな彼女の精神が夫や子供にも影響していると思う。
夫や子供たちにとって、秉愛は「妻」「母親」であると同時に、尊敬に値する人物だ。
彼女自身そういう人間になりたいと語っている。彼女がいつも前向きである背景がよくわかる。

移住をめぐる村民の話し合いが興味深い。
135メートル以下に住む人々の移住先を、どう決めればよいのか。
○○さんの家は条件に合うとか、△△さんは勘定に入るのか、等等、各家庭の状況把握から、土地の分配方法に到るまで、話し合いはいつまでも平行線をたどる。
そのうち、こうした話し合いも実を結ばないのでは?と思えてくる。
結局国の命令が絶対的なのだ。
秉愛と夫に対し、担当者は脅しをかけながら「OK」のサインをもらおうと必死になる。
彼らは国からの命令を遂行しなければならない。理不尽と思いながらも、あの手この手で相手(秉愛夫妻)の正論をたたこうとするのだ。彼らの立場も複雑だ。

巨大な国家プロジェクトの前で、秉愛のように果敢に抵抗した者がどれだけいるだろうか。
非力とわかっていても諦めず食い下がる姿勢には頭が下がる。
山の上で風に吹かれながら担当職員と言い合う場面は圧巻。エンドレスの様相を見せる。
彼女たちの権力との戦いはいつまで続くのだろう。

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