長恨歌 : 夢の国・亞洲文化宮

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長恨歌

20090309



 2005年/香港・中国/1時間49分(香港版DVD)

 監 督  関錦鵬(スタンリー・クワン)

 原 作  王安憶『長恨歌』

 出 演  鄭秀文(サミー・チェン) 梁家輝(レオン・カーファイ)
       胡 軍(フー・ジュン)    蘇 岩(スー・イェン)
       呉彦祖(ダニエル・ウー)  呉 麗(ウー・リー)
       黄 覚(ホァン・ジュエ)   黄 奕(ホァン・イー)




<あらすじ>
1947年の上海。王瑤(鄭秀文)は親友の蔣麗莉(蘇岩)と撮影所を訪れた時、カメラマンの程任路(梁家輝)に見初められる。程の勧めで出たミス・コンテストで瑤は賞を獲得。そんな彼女を国民党幹部の李忠徳(胡軍)が愛人として囲う。瑤は李を深く愛するが、命を狙われる身となった彼は行方をくらます。
新中国成立後、瑤は看護師として倹しい生活を送っていた。やがて彼女は富豪の息子、康明遜(呉彦祖)と付き合うようになり妊娠。しかし彼は父親と事業を展開するため香港へ。瑤は出産、子育てのためには結婚証明が必要と考え、不治の病を患った男性との婚姻手続きをとる。
文革が終った1970年代後半、瑤は下放先から戻った程と再会を果たす。やがて程が労働改造所で一緒だった老克腊(黄覚)と知り合い恋仲に。老克腊はヤミ市で危険な商売に手を出していた。


<感想など>
タイトルの文字から、人々の嘆き、恨み、悲しみの叫びが聞こえてくるようだ。
スポットライトを浴び高級娼婦となった王瑤に心中穏やかではない蔣麗莉。
自分は死んだことにしてくれと程に頼む李忠徳。
狂ったように吼え、額を壁に打ちつけ床に転がる瑤。
身ごもった恋人よりも父を選ばざるを得なくなって泣きぬれる康明遜。
瑤と娘の薇薇に送金するが、2人を捨てたも同然である。
瑤に揺れて張永紅(鄭希怡)に裏切られた老克腊。
もし永紅の話に即座に乗っていたら結末は違っていたかもしれない。
一番恨み節を唄いたいのは程任路ではないかと思ったが、彼の語りに恨み言は一切ない。
と思っていたら、最後に初めて涙を流し、瑤の愚かさをなじるのだ。

彼の気持に気づきながら、時には思わせ振りをして他の男に揺れる王瑤。
そんな彼女を、程はただ見守るだけである。
程の心にいつも瑤がいることを知った彼の妻(孫清)は、とうとう出て行ってしまう。
彼女の心にも怨嗟が渦巻いている。
罪深いのは一体誰なのだろう。

恨みつらみが充満しているような物語だが、不思議なことに画面からはそんなドロドロの状況は
うかがえない。
黒光りする家具調度品。陶器の茶器。茶葉が揺れるガラスのグラス。
かたや、指ではがれてしまうようなボロボロの壁。タバコの煙が充満する部屋。
きれいなものも、汚れたものも、画面の中で一分の隙もないほど綿密に構成され、
一様に美しく見えるのである。
さらに、王瑤という人物は決して美人に見えないのに、艶かしい表情や憂い顔が
瞼に焼き付いて、観終わった今でもはっきりとその顔を思い出せるほどだ。
また、彼女とベッドを共にした3人の男性は、いずれも彼女を守れなかったという点で
不甲斐ないのだが、鑑賞している間そうした負の面は感じられない。
(瑤自身が男から「守られる」対象ではない、つかみどころのない人間なのかも)
重くシリアスな内容なのに後味が苦くないのは、美術的効果によると言えるだろうか。

印象に残る場面は数多い。
程任路と王瑤が最初に入った喫茶店は、2人が文革後再会した場所でもあると思う。
最初はモダンな雰囲気の漂う店だったが、再会の時には内装が変わり、服務員の態度も冷淡だ。
時代の変化を象徴する場面として印象深い。

下放先で程任路が老克腊から「奥さんは美人か?」と訊かれるシーン。
「とてもきれいだ」と微笑みながら答えた程の脳裏には、きっと王瑤の姿があったと思う。

さて李忠徳がブラジルで死去したとの報があった後、瑤は程任路に
「もう少したったら話したいことがある」と言う。
ようやく瑤が程の気持ちにこたえるときが来たかと思った矢先…。
「時すでに遅し」である。
実は私は、終盤に王瑤と李忠徳が再会する場面を思い描いていた。
しかし、もしそういう展開になっていたらこの作品は平々凡々に終っていただろう。

さて最も客観的に王瑤を見て理解していたのは、親友の蔣麗莉ではなかったか。
謙虚に見える瑤だが、李忠徳からコンテストでのドレスを「地味だ」と言われた時
意外にも彼に挑戦的な言葉を投げつける。彼女は明らかに人とは違うオーラを放っていた。
程任路がいかに王瑤を想い続けても瑤は振り向かない。
この状況を、蔣麗莉は早くから予期していたのではないか。
ラストの学生時代のシーンで、彼女が瑤の内面を述べる言葉の中に、私は予言のような意味合いを
感じてしまった。

涙に暮れる程任路の言葉が長恨歌そのものに聞こえた。

trackback

長恨歌 :香港熱

1947年から1981年までの上海を舞台に王琦瑤(鄭秀文:サミー・チェン)という 1人の女性の生涯を友人である程先生(梁家輝)の目を通して描いた作品。 第二次世界大戦後、国民党から共産党へと政権が変わり、やがて文化大革命へ。 彼女の人生も時代に翻弄される。 ...

コメント

香るような作品

孔雀の森さん、こんばんは。
>タイトルの文字から、人々の嘆き、恨み、悲しみの叫びが聞こえてくるようだ
本当にその通りでした。
それでもそれぞれの人物はそれなりに幸せな人生だったのでしょうか?
李忠徳のブラジルへ渡ってからの人生なども覗いてみたい気もしました。

彼らの人生

sabunoriさん、こんにちは♪
李忠徳のブラジルでの人生、見たいですね。
広大な大地の上で、時には王瑤のことを思い出していたのでしょう。
李忠徳にしても、康明遜にしても、当時の社会ではあの選択肢しかなかったのだと思います。何だか切なくなりました。
彼らが幸せな人生をおくったと信じたいです。
ステキな作品を紹介してくださったsabunoriさんに、感謝!です♪
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