井波律子訳『三国志演義』全7巻 : 夢の国・亞洲文化宮

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井波律子訳『三国志演義』全7巻

20090104


 原 作:羅貫中

 刊行年:2003年

 出版社:筑摩書房(ちくま文庫)






図書館の返却期限を気にしつつ、マイペースで全7巻を読み終えた。
今、充足感で胸がいっぱいである(笑)。
というのも、最近これほど長編の物語を読み切ったことがなかったし、
かなり複雑な内容で、理解するのに時間がかかったからだ。
1冊読むのにエンタメ系小説の倍は時間がかかったと思う。
7巻の内容はだいたい次の通り。
第1巻 ・劉備、関羽、張飛の桃園の契り ・黄巾の乱 ・董卓、呂布、曹操、孫堅の登場 
第2巻 ・曹操の勢力拡大 ・孫権が江東の支配権を継承
第3巻 ・諸葛亮登場 ・長坂の戦い ・赤壁の戦い
第4巻 ・孫権と劉備関係悪化 ・馬超、父の復讐で曹操を攻撃 ・劉備、蜀を領有
第5巻 ・関羽、曹操、張飛、劉備死去
第6巻 ・諸葛亮が南方制圧 ・諸葛亮と司馬懿の駆け引き、攻防戦激化 ・趙雲死去
第7巻 ・諸葛亮死去 ・魏で司馬氏実権掌握 ・蜀滅亡 ・晋王朝成立 ・呉滅亡

膨大な人数と複雑な人間関係
読みながら、巻頭の登場人物紹介に何度も目を通した。
有名な人物ならすぐわかるが、ほとんどは初対面である。
特に、魏蜀呉が滅亡の一途をたどる最終巻では敵味方が入り乱れ、頭の中は混乱するばかり。
詳細な相関図がほしいところだが、これだけの人数だと書ききれないだろう。
しかし各巻末には年表と詳細な解説が掲載されており、これらによってだいぶ頭の中も整理された。
年表、解説、本文の順に読むのも一つの手だと思った。

詳細な解説
今回、原作自体に歴史的地理的年代的誤謬が多いことを知った。
訳者は矛盾する箇所について様々な資料にあたり、正確な記述を補って「注」で解説する。
私など間違いがあったとしても素通りするしかないが、これは専門家をも納得させる作業として
貴重だと思う。

故事を尊ぶ姿勢
本文にはよく故事が引用される。
「呉越同舟」、「項羽と劉邦」の物語だったりすると、自然に以前観たドラマの一コマが浮かんだ。
越王勾践の忠臣范蠡、劉邦を補佐した張良(張子房)、劉邦側の策士で武将の韓信などの名は
何度も挙がる。
その他にも殷や周、春秋戦国時代の人物が度々引用されるところから、
歴史上の英雄を奉り伝承していく姿勢を感じた。

「まずは次回の分解(ときあかし)をご覧ください」
『三国志演義』は全120回にわたり、各回必ず上記の文章で締めくくられる。
訳者によって表現は違うだろうが、この井波律子訳では「分解(ときあかし)」という言葉が
使われている。
毎回次が読みたくなるような終わり方で、まるで連続ドラマを見ている気分だ。

善の劉備(蜀)・悪の曹操(魏)
『三国志演義』は勧善懲悪の世界である。
実際には曹操は詩文に長け、人材を登用する手腕はピカイチといわれるが、
この物語では悪者の部類に入ってしまっている。
殺戮を繰り返したのは曹操ばかりではないはずなのだが…。
読んでいるうちに蜀側を応援したくなる。そんなつくり方だ。
最終巻では諸葛亮の命を受けた姜維<キョウイ>が大活躍し、自然に彼の味方になっていた。
また、曹操の子孫が愚昧なのを見て「ざまーみろ」なんて思ってしまう。
愚昧なのは劉備の息子劉禅も同じなのに…。
(同時に、趙雲に命を助けられたのになぜ?とも思う)
どうしても蜀に肩入れしてしまうのである。
また、諸葛亮と司馬懿の頭脳戦は見事で、どちらも魅力的な人物には相違ない。
司馬懿は打倒曹氏を秘めて隠遁生活を送り、孫である司馬炎がその悲願を達成する
前段階をつくるのである。
それでもやはり蜀側の諸葛亮が一枚上手だと感じる。
この物語では諸葛亮が一番好きだ。

読んだ人の数だけある三国志
翻訳書は原作に忠実だろうが、小説ではかなり自由度がきくのでないだろうか。
と言っても原作自体、史実とだいぶ異なる箇所もあると思う。
北方謙三著の『三国志』では、劉備の「徳」は忠臣が作り上げたものという見方をとる。
曹操に対しても有能な面を強調し、魅力的な人物に仕上げてあると思う。
また、『演義』では劉備より前に死去する馬超が、北方三国志では最後まで生きて、
英雄の興亡を見届ける役割を担うのである。
私が好きになったのは北方氏がつくった馬超だったのだと、今回わかった次第。
きっと北方氏は馬超が好きで、こういう設定にしたのだろう。
また、最近読み始めた吉川英治著の『三国志』では劉備がカッコイイ!
この三国志をベースに描いた横山光輝著の漫画『三国志』では、劉備のおメメがキラキラである。
最初この美男子劉備には非常に違和感があったが、これは吉川三国志を読んだ横山氏の
見方なのだと思った。
なお目じりのつりあがった曹操にも納得。読み進めるほどに悪人相になっていくところが面白い。

いつの間にか本書と離れてしまったが、これからいろいろな三国志を読んでいきたい。

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