平野啓一郎『決壊』上・下 : 夢の国・亞洲文化宮

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平野啓一郎『決壊』上・下

20081127


発 行:新潮社

刊 行:2008年6月



<あらすじ>
凄惨な殺人事件が相次いで起こる。最初の被害者は妻と3歳の子がいる営業マン、沢野良介。遺体に残された「悪魔」による犯行声明は全国を震撼させる。やがて良介と最後に会った兄、崇が容疑者として浮上する。良介のブログに残されていた、ハンドルネーム「666」の文が崇の状況と一致すること、崇に犯行時刻のアリバイがないことがその理由だ。彼は一貫して無実を主張するが、警察側は彼を追い詰めていく。そんな中、マスコミの報道は加熱を極め、遺族の疲労はピークに達していた。
<感想など>
図書館でこの本の貸し出し手続きをしていた時、司書さんが「あら?」と声をあげた。
「この本の小口、真っ黒よ。こういう装丁初めてだわ」
見ると、本の上部、底部、側面が真っ黒だ。
金色に塗られた本は見たことがあるけれど、黒は私も初めてである。
なんだか気味悪いモン借りちゃったなと、その瞬間思った。

読み終えて、作者はどうしてこの本を書いたのだろうと、素朴な疑問が浮かんだ。

登場人物の心理描写、学校や警察の風景、ネットでのやりとりなど、すべてがリアルで、
綿密な取材を経ているのはよくわかる。
そのリアリティにぐいぐい引っ張られ、読む側には休む間もない。
作者の考え方は崇を通して語られ、難解ではあるがその主張は伝わってくる。
途中から「作者=崇」と思えてきて、彼の再出発を願いながら読み進んだのであるが…。
結末には唖然として言葉もない。
いったいこれまでの作者の主張は何だったのだろう。
被害者の妻子は再生の道を歩み始めるが、血を分けた遺族は次々に崩壊するのである。
この展開の意図は何だろう。ここに描かれているのは究極の絶望だ。
赦しがたい行為に対する怒りを、作者はどう処理するつもりだろうか。
作者自身、夢も希望もないように思えてしまうのである。

これを読んでいる最中に、大きな殺人事件や爆破予告のニュースが流れ、
まるで予知夢を見ているようだった。
今になって図書館で感じた薄気味悪さがよみがえってきた。

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