荻原 浩『四度目の氷河期』 : 夢の国・亞洲文化宮

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荻原 浩『四度目の氷河期』

20080812


出版社: 新潮社

刊 行: 2006年9月



<あらすじ>
“僕”こと南山渉(ワタル)は小さな町で研究所勤めの母と二人で暮らしている。渉は成長するにつれ、自分の眼や髪の色、骨格がほかの友だちと違うことを意識し、やがて「父はクロマニョン人」と思い込む。小学校高学年になると、一人で石器を作ったりクロマニョン人関連の本を読み漁ったりして、「氷河期」に関する知識は大人顔負けだ。そんなある日、河原で同い年くらいの子に声をかけられる。

<感想など>
タイトルを見て、自然科学関係の本だと思った。
実際には一人の少年の幼児から高校時代までの自伝的小説だったが、最初の直感は半分当たっていた。
自分を「クロマニョン人」と決めつけてからの、渉の知識欲はすごい。
科学雑誌に始まり、『人類進化の大いなる道』、『クロマニョン人たちの生活風景・想像図』を読破していく姿とこれを消化していく過程から、彼の自然科学に対する畏敬がうかがわれる。
学問的な記述は興味をそそる書き方だ。渉の熱意や感激が含まれているからだろう。何だか楽しくなってくる。
理科が大嫌いだった中学時代にこれを読みたかったな。

思春期の心と体の変化も、描写が細かい。
声変わりや背丈の急激な伸びに戸惑いながらも、客観的な眼で冷静に自分を見つめている。
サチへの感情、クラスメイトとの距離のとり方、自分を「決めつける」大人への反発などが、時には甘酸っぱく、時には塩辛く画面に映る。
文字から映像が浮かんでくる、そんな作品だ。

母親像が面白い。
最初のうちは、研究者の知的論理的な側面が陰に隠れ、大人しく、慎ましやかな感じが前面に出ている。
これは主人公の目から見た母親だ。
物語が進むにつれ、書斎の蔵書と母親の像とが重なってくる。
研究者としての母はどんな人なのだろう。
母親が主人公となった物語を読んでみたいと思う。

全459ページ。約18年の出来事は余りにも多すぎて、最後の方は冗漫な感じを受ける。
シビルスク行きは取ってつけたようで、そんなに急がなくてもいいのに…と思う。
最後の方では、彼がクロマニョン人だった(と思い込んでいた)頃が懐かしくなった。

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