海堂尊『螺鈿迷宮』 : 夢の国・亞洲文化宮

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海堂尊『螺鈿迷宮』

20080514


出版社:角川書店


刊行年:2008年2月(初版は2006年)


<あらすじ>
天馬大吉は東城大学医学部の学生で留年を繰り返している。ある日、幼なじみで新聞記者の葉子が企てた「陰謀」により碧翠院桜宮病院に潜入させられる。桜宮病院の院長は桜宮巌雄、副院長は娘の小百合で、碧翠院院長は巌雄の妻華緒<ハナオ>、副院長は小百合の双子の妹、すみれである。大吉はボランティアをするはずだったが、ある看護師の不注意により腕を骨折し、入院する羽目になる。
<感想など>
『ナイチンゲールの沈黙』と『ジェネラル・ルージュの凱旋』の後に続く物語。
といっても、登場人物のほとんどが新メンバーである。
確か『ナイチンゲールの沈黙』の終盤で、今回の舞台、碧翠院桜宮病院に対する疑惑をにおわせる台詞があったと記憶している。また看護師小夜が育ったのがこの病院である。しかしその台詞を言った刑事も、小夜も、『螺鈿迷宮』には登場しない。
なお、白鳥の機転は相変わらずだ。姫宮は謎めいた姿から、少しずつ実像を表わしていく。
続きがあるなら、彼らはさらに活躍(?)し続けるだろう。

先日海堂尊氏がテレビ番組の中で、日本の解剖率が2パーセントであると話していた。この「2%」をどう解釈すればいいのかわからなかったが、先進国の中では低い率なのだという。また、解剖に代わるAIという遺体の画像分析システムが、死因の特定に大きな役割を果たしているとのこと。しかし遺族の意向によりこれが行われないまま火葬される場合が多いとも語っていた。
これは『ナイチンゲールの沈黙』の中でも取上げられた問題ではなかったか。
今回は前の作品から引き継いだ諸問題と終末期医療に対する提言を、桜宮巌雄の口から語らせている。

碧翠院桜宮病院の医療行為の中には、確かに裁かれるべき悪事がある。しかしすべてを「悪」と言い切っていいものだろうか。終末期医療を行えばと赤字は必至という状況で、碧翠院の役割は画期的だった。
善と悪の境界について考えさせられる話である。
また、そう遠くもない将来こうした問題に直面すると思うと、見過ごすことはできない。
そんな現実面と、「螺鈿」で埋めつくされた非現実的な世界のギャップは余りにも大きい。

相変わらず登場人物も事件も多くて把握するのが大変だ。
中盤まですべてが中途半端な感じだ。しかし終盤でそれぞれが密接に絡んでいることがわかると、バラバラだったパズルピースがカチッとはまった時の気分になった。(でもピッタリしすぎてやっぱりドラマだと思った。)
この「カチッ」は姫宮の「音」でもあるのだ。

2時間ドラマを観終わった気分だ。
しかしこれで終りではない。不気味な笑いが地の底を這っている…。ゾクッ…。

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「螺鈿迷宮」 海堂尊 :TK.blog

『螺鈿迷宮』   著者名:海堂尊  出版社:宝島社 <簡単なあらすじ> 落ちこぼれ医学生の天馬大吉は、新聞社に勤める幼馴染...

コメント

天馬大吉は田口先生に似てる?!

こんにちは!やっと読みましたよ~。

>看護師小夜が育ったのがこの病院である。
小夜だったんだ!確か誰かがこの病院で働いてたか育ったか何か関係があったな~と思いつつ、読みながら全然思い出せなかったんですよ。すっきりしました!ありがとうございます^^

>この「カチッ」は姫宮の「音」でもあるのだ。
ほんとそう。この「カチッ」という音は読んだものしか意味がわかりませんね(笑)。姫宮のちょっとしたラブロマンスも期待したのですがこちらは今後に期待?!

ラストは不気味ですよね~。どこかでまた登場するのかしら。ブルブル…

言われてみれば似てますね~

TKATさん、こんにちは♪
天馬くんと田口さん。おっしゃるとおり、似てますね。
これからも2人は海堂作品で共演することがあるかしら。
ちょっと楽しみでもあります。
私も姫宮のラブロマンスを期待していました。
たぶん、きれいなお姉さんだと思うのですが、まだ全部を出していない様子。これからの活躍が楽しみですね。
あのラストから、まだ物語は終わってないのがわかります。
やっぱりどこかで出てくるんでしょうね、名前を変えて。
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