モンゴル : 夢の国・亞洲文化宮

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モンゴル

20080417



2007年/ドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴル/2時間5分(劇場にて鑑賞)
監 督  セルゲイ・ボドロフ
原 題  MONGOL
出 演  浅野忠信  孫紅雷(スン・ホンレイ) クーラン・チュラン

これまでドラマや小説で見てきたのは、大帝国を築いた後のチンギス・ハーンだった。
領土を拡大するため闘い続ける男である。
私の中では非道で権力欲にまみれた男のイメージが先行し、決して憧れの対象ではなかった。
しかし今回、草原の覇者のイメージは大きく変わった。

テムジン(チンギス・ハーン)の誕生は12世紀半ばだ。
9歳のとき彼は父イェスゲイと未来の妻を探す旅に出る。和平のためメルキト部族から妻を選べと言う父に、テムジンははっきりと自分の意思を伝える。
「ボルテを妻にする」
かつてメルキト族から妻を奪った父は、彼らとの和平を望んでいた。
しかし途中の村で、テムジンは一人の少女を射止める。彼女、ボルテもまたテムジンに強い眼差しを送る。いや、ボルテの方が先に射止めたのだ。
(恋愛面に期待できるかと、ちょっと浮き足立つ:笑)
意外だったのは父の対応だ。何と息子の選択をあっさりと認めるのだ。その上、自分の意思を貫いた息子をほめたたえる。政治よりも子供の自由を尊重した父の態度に、一つの固定観念が打ち砕かれ、嬉しくなった。


しかし敬愛する父が毒殺され、テムジンの人生も大きく変わる。
もしこの父子関係が続き、思い通りにボルテを迎え入れていたら、テムジンは草原の覇者にはならなかったかもしれない。
亡き父が支配していた他部族に捕えられ、逃げ、また捕えられ、逃げる…。
苦難の連続だ。
氷の中に落ちてもうダメかと思いきや、少年ジャムカに助けられる。(奇跡的だ!)
彼にはいつも援助してくれる人物がいる。
首枷をはめられていたときは一人の老人が常に気遣ってくれていた。
逃走用の馬を差し出した男もいた。
そして盟友のジャムカ。
忘れてならないのが灰色の狼だ。テングリ(天の神)の象徴にも見える狼が、いつもテムジンを守っている。ぬらりと姿を表した狼が鋭い眼差しを向けると、テムジンは魔術にかかったように頭をたれる。まるでテングリがのり移ったかのように。

テムジンとジャムカが誓いを立てたとき、中国の義兄弟の契りを思い浮かべた。
しかし彼らの誓いは絶対的ではなく、敵対もありうるのだ。
テムジンとジャムカが肩を寄せ合い、あのモンゴル音楽特有の低音で歌うところがいい。
無二の好敵手であると互いに認め合っているのがわかる。
一見「友情の絆で深く結ばれた」2人だが、心の奥底に流れているのはいかに相手を支配下に置くかという策略。怖い。
最初ジャムカはテムジンを支配していた。妻ボルテ奪還のため一肌脱いだジャムカは完全に優位に立っていた。ボルテをテムジンの元に返してもその優位は保たれると思い込んでいたのが甘かった。
支配者、被支配者の関係は、一瞬の判断と運で決まるのだ。

盟友ジャムカの配下にある者を奪い、追ってきたジャムカに顔色一つ変えないテムジン。
しかしジャムカはそこで争わずくるりと背を向け帰っていく。
実に潔い。

妻ボルテとメルキト部族の男との間にできた子を、テムジンはわが子として慈しむ。
父が自分に愛情を注いだように、その男の子にも無限の愛を傾ける。
しかし幸せは長くは続かない。ジャムカの攻撃を受けたテムジンらは、女子供を逃してから闘いに挑む。敗戦したテムジンは奴隷としてタングートへ。
再び屈辱の時代だ。
獄に繋がれたテムジンの顔はボロボロでひび割れている。生きているようには見えない。
そこへボルテが…

テムジンはいつもボルテに助けられる。
彼女には中国人との間にできた女児がいた。テムジンはその子もまたわが子として慈しむ。
2人の子供はいずれも彼の子ではない。しかしその裏には、身を挺してテムジンを救ったボルテの姿がある。2人の子はボルテの愛の証であり、テムジンの命の象徴だ。
父と離れ離れになっていた10歳の息子が、両親の愛情表現を見て、真の父と認めた場面。
彼は妹に見せないよう毛布をかけてしまう。
草原の男はこんなに幼いうちに大人になっていくのだ。

彼が頂点に登りつめた条件を考えてみた。
父子関係、テングリ(天の神)への信仰、ボルテとの出会い、幼い時の屈辱、生への強い執着、雷を恐れないこと、ジャムかとの出会いと訣別、家族への愛情、獄に繋がれた経験、僧侶との出会い…

彼は決して一人で頂点に登ったわけではない。

さて役者の存在をすっかり忘れていた。
チンギス・ハーン(浅野忠信)、ジャムカ(孫紅雷)、ボルテ(クーラン・チュラン)の各人の中に、役者の顔は全く見えなかった。
彼らが正真正銘の歴史上の人物だと思い込んでスクリーンに見入っていたことを、今になって気づいた。
この作品、もう一度劇場で観たい。また新たな感動に出会うために。

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