三浦しをん『ロマンス小説の七日間』 : 夢の国・亞洲文化宮

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三浦しをん『ロマンス小説の七日間』

20080416

ロマンス
出版社: 角川書店
種 類: 文庫
刊 行: 2006年9月(初版は2003年) 



<あらすじ>
遠山あかりはロマンス小説の翻訳者。現在、中世の騎士とお姫様の物語を翻訳中だ。そんな中、恋人矢野神名(カンナ)の退職、父親の骨折、友人まさみのストーカー事件などさまざまな騒動に巻き込まれ、あかりの感情は揺れ動く。その心模様が微妙に仕事に影響し、翻訳は次第に原作から遠ざかり、いつしかあかりの創作と化してしまう。締め切りまであとわずか。果たしてこの仕事は成功するのか。物語のラストはどうなるのか。あかりと神名の関係やいかに…。
<感想など>
第一章は翻訳中の小説から始まるので、てっきり西洋が舞台のファンタジー小説だと思った。しかし途中で突然翻訳者が登場し、物語のラストを読んでしまう。ああ、やっぱり、という彼女の思いはよくわかる。私も後の展開が気になってつい先の方を読んでしまったことがある。そして想像していた通りだったりする。もう楽しみはない。後悔しても遅い。けれど主人公あかりは、何と物語を作り変えてしまうのだ。

その物語にいつしか引き込まれていった。主人公はアリエノールという女領主。(どうも西洋の貴族の世界はよくわからない)政略的に結婚させられる相手はウォリック。プレイボーイでメチャクチャ強い騎士だ。そして彼に付き従う元海賊のシャンドスと、敵対するハロルド。ベタなラブストーリーだが、その裏には翻訳者あかりの心模様や日常が見え隠れして想像が広がっていく。

物語とあかりの日常は平行して描かれ、彼女の恋人神名に対する気持ちも変わっていく。
今まで当たり前のようにいつも一緒にいた恋人。
思い通りに動いてくれる、頼りがいのある恋人。
しかし彼は自分の知らない世界へ一歩ずつ歩き出そうとしている。
自分のことで精一杯で、彼に対しあまりにも無関心すぎた自分。
あかりは翻訳(創作?)を進めるうちに、自分の内面と向き合うことになる。
そんな彼女とともにクライマックスへとひた走る物語が面白い。

あかりのまわりには、頑固一徹な父親や、実家の卓袱台、銭湯の風景など、昔懐かしいにおいが漂っている。また、あとがきで、作者は「神名とあかりには携帯電話をもたせなかった」と語っている。読み返すとなるほど、連絡手段は神名の部屋の電話だけだ。途中で神名は今まで持っていた携帯電話を解約したことになっている。
二人の間に流れる緩やかな時間は、こうして作られたのだな。

あかりはこの創作の後、原作に忠実な翻訳に取り組むらしい。こちらの方も是非読んでみたい。
でも本書に収められた創作の方が、面白さの点では数段上ではないか。(笑)

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